CRF250L 滝と梅と林道と冒険

昔、冬でもジムカーナの練習をしていた頃は、日中の最高気温が10度を下回るような日は練習しませんでした。タイヤが暖まらないので、走っても練習にならないからです。

近頃は雪山へ行く日は除いて、最高気温が10度を下回る日はツーリングへも出かけません。0度近い中の連続走行が楽しいとは思わなくなってしまったからです。昔は我慢している自分に酔っていたように思うけれど、最近は酔いもしません。寒いものは寒いもの。

この日の予想最高気温は12度。梅園と林道を目指して朝イチ集合で出発したけれど、山間部に入ったとたん、グイグイと気温が下がってきました。セローにハンドルカバーをつけてきたあやのすけさんが正解。僕は年中夏グローブなので、ナックルガード+グリップヒーターでは一桁気温の長時間移動は楽しくはない。移動区間だけは厚手の冬グローブを着用するようにすればよかったと、山間部の自販機コーナーまで来て気がつきました。

自販機コーナーでタバコの値段を見て軽く驚いた。平成元年ごろの感覚でタバコって250円くらいのものだと思っていたので‥セブンスターが600円!ハイライトやわかばが500円越え!?

オートバイの値段は平成元年ごろに比べて20%ほど価格が上がっているように思うけれど、タバコのインフレ率すごいな。値上げ分ほぼ税金なんだろうけれど。

調べてみたら現在定価の約6割が税金。紙巻きタバコの売り上げ数は本数ベースで15年前から26%にまで減っているけれど、税率を年々あげていくことでタバコ税は年間2兆円がほぼ横ばい。なんだかこれから人口が減って税収減になるなら税率をあげればいいじゃない、っていう末恐ろしい未来の縮図のような嫌な話だな。

先週みつけた貴重な抜けられる林道を先週とは逆ルートで走行してみます。林道に入ると気持ちのほとんどが走りにフォーカスするので寒いとか言ってられなくなる。前日までの雨でコンディションも非常に良くないので、余計に走りに集中できます。

前輪を側溝に落としていた軽自動車はまだ放置されていました。自分の車だったら道具持ってきて速攻で引き上げに来るけどな。この車は県外ナンバーだし、推察しきれない事情があるのかもしれない。

もう1本、別の林道へ。このガードレールに食いつく木に名前をつけたい。

どうみても自動車を走らせることを前提で作った道幅なのに、結構な距離がひたすらダート。ここへ来るまでの舗装道路はこの道の手前側も奥側も道幅がこの半分くらいしかなくて、よっぽどそっちの方が走りにくい。

巨木がバーン!ではなく、細い枝が網の目のように道を塞ぐ、とてもオシャレ感の漂う倒木。写真で見るほど平板ではなく、手前にも奥にも枝を広げていて、立体感のあるバリケードになっています。

先週はこんなものなかった。ここ数日の雨がきっかけになって、すごいタイミングで倒れてきたということかな。

この男のノコギリが火を噴く時が来た。

ギコギコ‥。

熱い仕事を終えた漢の風格。

こんな平坦で安心感のあるオフロードが淡々と続く。よほどのことでもないと事故もしないし、走っていてただただ楽しい道です。季節を変えてまた来てみなくては。

ダートを抜けた先に滝山大滝という細いけれど表情豊かな五段滝があります。見た目に涼しく、ここも夏場に訪れるのが楽しみ。

地図に気になる場所としてマークしていた滝の近くを通ったので立ち寄ってみたら、以前来たことのあるところでした。

紙の地図の頃は紙面上では縮尺が変わらないので、一度走った道や訪れた場所は道の形やランドマーク同士の方角や距離感で確実に覚えていきました。ところが携帯の地図の時代になってからは地図自身の縮尺が変わってしまうため位置感や距離感に全くつかみどころがありません。一度訪れた場所も頭の地図では座標が曖昧で、その場所の名前で覚えていかないと情報が積み上がっていかなくなってしまいました。単に老けただけなのかもしれないけれど。

ここは右と左に聳り立つ岩の隙間の奥に滝が見える場所です。思わず口の端から「おお‥!!」と声が漏れる。

二鹿(ふたしか)川沿いに遊歩道が設置されていて、7つの滝を間近で楽しむことができるようです。以前は歩かなかったので、行ってみることにしました。

岩の間から見える二鹿の滝に近づけることにワクワクしたけれど、この滝は川の両岸の岩がつくるトンネルの間に見える様が不思議で魅力を感じるんだな。ということで、道路から見る姿が一番幻想的。

アップダウンのある遊歩道、中には斜度60度くらいある階段も。なかなかハイリスク・バリアブルで楽しい。

ここも夏にまた是非訪れてみたいところです。

滝の注ぎ口に注視してみると‥ん?岩の表面に落書き?

岩に枯山水の庭の文様かと思うようなグナグナした曲線が描かれている。

堆積物の褶曲にしては曲がりすぎだし、節理にしては岩の割れ方はそれに沿っていない。不思議な模様の岩肌が結構広い範囲で見られるのに、これについては説明も何もありません。気になりすぎて今夜は眠くなるまで眠れません。

さらにその先。なんだこれ。

オーバーハングした岩の穴に祠が設置されているのも面白いのだけれど、何より面白いのは遊歩道がダイナミックなループになっているんだな。いろいろと濃い場所だなぁ。

近くに「通れないトンネル」があった覚えがあったのでこちらも立ち寄ってみました。峠に掘られた素掘りのトンネルは、まるでダンジョンの入り口。現在車両は通れません。

トンネルの反対側の入り口は坑道の入り口のよう。

昔は、集落とこのあたりの鉱山を往来するための道だったのかもしれない。今は沢沿いに道が繋がっているので全く使われている形跡がなく、ここも廃道になっていくのでしょう。

集落の案内板に喜和田鉱山という名前があったので探してみたら、林道の先にゲートがありました。もう閉鉱になっているのだけれど、看板に書かれた「喜和田鉱山長」という名前の響きが、良いな。

地域の案内板には「鉱石資料館」があると書かれていました。うろ覚えで以前この鉱山の資料館について調べたことがあったような‥とあらためて調べ直すと、なかなか深い記事が見つかりました。

15年間めくられていないカレンダーが残された「ナゾの鉱石資料館」…山口県の藪の中に存在した“光る石”の“意外な正体”を探ってみた −文春オンライン−

資料についてはなんと2025年に岩国市が科学センターで展示を再開するという情報も。なかなか良いタイミングでの発見でした。

山を下って平野部の梅園へ向かう途中、たまたま森のぞうすいやさんの看板が目に留まりました。幹線道路から少し奥まったところに建つ大きな古民家という外観のお店。

引き戸の玄関をくぐると、外観とのギャップに驚きました。リノベーションされた屋内はとてもシャレています。といってもカッコつけている感じもなく、どこか友達の家に遊びに来たような、ナチュラルさのある内装です。

広い玄関・縁側・襖で仕切られた客間と床間‥というもともとの家の作りをうっすらと感じさせながら、全てぶち抜きにした広い空間にゆったりと4人掛けテーブルを配してあります。縁側だった窓にはカウンター席が横に広がっている。

ぞうすい、最後の一滴まで美味しくいただきました。意外とお腹が太るものです。

この日、本当なら今が盛りと咲き誇る梅の香りに包まれに行くのがメインイベントのはずでした。残念、1週間くらい遅かったようです。

柳井市にある余田の臥龍梅に来てみました。もともと大きな梅の木が生えていて、その原木は枯れてしまったけれど原木から四方に伸びた枝が地についてそれぞれ独立株となった11本の飛び梅がある、とのこと。梅の木としては全国で5か所ある国の特別天然記念物の一つとして数えられています。

この後光市の冠梅園にも行ってみたけれど、「枝?」って感じでいまひとつパッとしないので素通りしました。

沿岸部、御手洗腕を抱き込む像の鼻のように伸びる半島、象鼻ケ岬の峨嵋山のキャッシュを獲りに立ち寄ってみました。以前一人では登る気にならなかった山です。

山頂へ、ひたすら20分ほど上り道。途中椿の花がまとめられていました。梅も椿もあと1週間早ければ見ごろだったのだろうか。自然物相手は時期の読みが難しいです。

駐車場からキャッシュまで直線距離で120mほど、というので舐めていました。急峻な角度の山で、ヘアピンカーブを繰り返しながら登るので、なかなか山頂へ近づきません。途中、水平線やその先の国東半島を見て疲れを誤魔化しました。

2000年にジオキャッシングが始まって今年で25年。このキャッシュはまだスマホが今のように広まる以前の2009年に設置されたもの。これからも末永く生き残ってもらいたいものです。

御手洗腕と像の鼻の半島の先っちょを見ながらお茶。

帰りの山腹からちらりと見えた象鼻ケ岬。面白い自然の造形で、岬がぐるりと回り込むように伸びている。

ここからオンロードをひたすら北上します。田舎であるにも関わらず人が住んでいる地域の道路の綺麗なこと。さすが山口県と言わざるを得ない。何度もこんな田舎にこんな道路が‥!と思わされました。そして交通量も皆無。さすが山口県と言わざるを得ない。快走でした。

調子に乗りました。砂に埋まってしまいました。

ヤモリがイモリに見えました。

緩急つけながら1時間少々、道の駅ピュアラインにしきまでオンロードを激走。途中枝道もたくさんみつけたので、またこの辺りを探り回るという課題ができたな。

オンロードもオフロードも、十二分に楽しいマシンです。

セローの給油ランプが点いたということでガソリンスタンドが開いていなければそのまま帰ったんだけれど、田舎のスタンドが開いていました。16時閉店の10分前にかけこんでブリブリ文句言われたそうで‥田舎のスタンド、良い商売だな。

僕のCRFはビッグタンクなのでフューエルメーター半分しか減ってないよ。

というわけで、林道もう1本。

これも先週はなかった倒木で、他の木にもたれかかるように立っている奇跡の倒木。これなら車には迷惑かもしれないけれどバイクには全然影響ないな‥といってもこの後倒れ方によっては道を塞いでしまいそうです。

これは先週協力プレイで持ち上げて潜り抜けた倒木。土手に載っているのでちょっと跨ぐのは難しい高さになってしまっています。

反対側は太い木の間に挟まるように倒れているので、前後方向に動かせない。

再び、この男のノコギリが火を噴いた!ギコギコ‥。

猪よけのゲートを潜って、無事走破です。いやー、走った走った。滝も良かった。

あやのすけさんのセローと走る度にしばらくお借りしてみています。というのはこのセローの出来がとても良く、CRFをどういじっていくかとても参考になるからです。スペックうんぬんじゃなく、走って楽しいマシンに仕向けていけるのも、このセローが基準になっているから。

この2台、オンロードもオフロードも、走っていて本当に楽しい。毎度口を突いて出てくるのは二人ともバイクはたくさんもっていますが、「これでいいじゃん‥」ってこと。今年もこれからオンシーズンになりますが、いろんな道というかいろんな世界を開拓していきたいと思います。

2 Comments

あろっと

困ってるわけではないけどタンク容量良いなぁw
写真だとセローと比べてめっちゃゴツイですね、素敵。
最近温度上がってきて楽しくなってきましたね!

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tsugataku

>あろっとさん
セローと並べると幅もあってCRFは一回り大きく見えますね。乗ってみてもセローはやや小柄です。そこがセローの良さでもあります。

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