CRF250L 岡山B級名所ツーリング

岡山県の瀬戸内市に「海沿いを走れるダート」「岬の尾根の先まで続くダート」があるというのを知ってしまいました。

それだけのために岡山まで行くのもなぁ‥と思って周囲について調べてみると、GoogleMapが旗だらけになってしまったので、あやのすけさんをお誘いしてそれらを巡りながら目的のダートを目指す旅に出ることにしました。

岡山県内までバイクを運んで、朝8時にスタート。

車の多い市街地を抜けたら、基本的に海沿いをひたすら舐めるように走ります。12月初旬、日が昇ると寒くもなく快適に走れます。

岡山市の南東部は海岸からかなり離れたあたりまで広い畑です。綺麗に区画された畑の中を自由に流れる水路の両岸のダートを走ったりしながら海に向かい、最初に到着したのは海のそばの亀石神社。

ここには亀の形をした石が祀られています。見どころは、潮が満ちていたらこれらが水没して海面に頭を出す様子。

残念ながら干潮なのだけれど、そのおかげで干潟が顕になっている。この様子からすると潮が満ち始めたら一帯は一気に水面下になるんだろうな。

実は潮位は予め調べていました。潮の引いた時間だと分かっていながらこの辺りを訪れたのは、その近くにある飯盛島のトンボロを見るためです。

ところが潮位が低すぎでした。こんなに陸繋していると、島へ渡ってもありがたみがない。

謎名所「Mount Rei」。Googleマップに観光名所としてマークされているのに、現地に来てみると何もない。コメントは割と絶賛するようなものが多く、彼らには何が見えているのか僕らにはさっぱりわからない、不思議スポット‥。

「Mount Rei」と「Mount Rei #2」があって、こちらは#2の方。Reiって霊か?Mount Reiって霊山ってことか?

牛窓の別荘地には上からみると五角形、3層構造の別荘が日当たりの良い山腹の海側へ窓を向けて並んでいます。おシャレです。こういう庶民が買えなそうな別荘やクルーザーを見ると僕たちは「いったいどんなワルいことをしたらこんなものが買えるんだか‥」といつも罵り合います。

庶民にはその下の畑の傍にひっそりと建っている茶色の小さな小屋くらいがお似合いだな、とかいう話。

コーナーを抜けると、堤防の内側が池になっていました。

その中にある水没ペンション。

写真で見るのと現実を生で体験するのとはかなり印象が違って、結構な驚きがあります。

「もともとは塩田だった場所が80年代にリゾート開発されて「鹿忍グリーンファーム」というペンション村になりましたが、2000年頃に閉鎖されてポンプの稼働をやめてしまったために、塩田という海面とほぼ一緒の土地に水が溜まり始めて2013年頃には水没した」

という情報がみつかりました。こうなったのは割と最近のことなのですね。

今は水鳥の楽園になっているようです。

牛窓神社。

僕は神社に用事があったわけではなくて、神社から歩いていく展望所に行くために神社にバイクを停めたのですが、神社業を生業とされているあやのすけさんはこの神社が琴線に触れたご様子でした。

この日は氏子さんが境内に大勢集まってみんなでしめ縄を作っていて、そのことにも妙に感心されていました。

境内には紅葉が効果的に配されています。ちょど紅葉を迎えていて、光に透ける紅葉の参道はそれはそれはとても綺麗でした。

牛窓神社の参道の一部になるのかな、蕪崎園地 展望台。前島の奥に小豆島。

ここから海沿いの街並みを見ていると、大きくて古そうな灯篭が見えました。牛窓灯籠堂跡だそうです。「高台から見えたあれへ行ってみよう!」というのが良いですね。早速行ってみました。

いつの時代の物かと思ったら、元は江戸初期の灯籠で集落の突端の岩盤に石組みした上に灯籠台を建てたもの。ただ現在の灯籠は昭和63年に再建したものだそうです。

この遊び心。

橋を渡って長島という島へ立ち寄りました。この島はハンセン病の患者の隔離島として、日本で最初にハンセン病の療養所が作られた島です。ハンセン病への偏見や差別が解消し、橋で本州と繋がった現在でもハンセン病の方がこの島で療養されていらっしゃいます。

南側のこの桟橋のあたりは昭和の初期にこの島を隔離島として開拓するために最初に人々が上陸した場所になります。

当時ハンセン病の外見と感染に対する恐れから、患者は差別と偏見に晒されていました。患者はこの島へ隔離のために移送される際、一般の人が使う桟橋とは別に用意された北側の桟橋から島へ入ったそうです。島内でも隔離が徹底されたとのこと。

一度入ったら出られない。多くの入所者がこの桟橋で故郷を思って涙したとありました。

とても悲しい。

現在は資料館が開設され、国立療養所長島愛生園には無料で宿泊してハンセン病の歴史を学べる施設も用意されています。

桟橋跡から向かいの本州の山を見ると、おやおや?

ヤンキーの側頭部の細い剃り込みのような跡が見える。

あれは、今日の本来の目的地、「岬の尾根の先まで続くダート」じゃないか!?すごい、ダイナミック!

今日の目的地、「海沿いを走れるダート」に入りました。

事前に衛星写真などから入念に調べておいたので驚くほどスムーズに辿り着きましたが、普通ではわからないようなところが入り口になっています。

海が見えたとたん、インカムに絶叫とも悲鳴とも言えない声が溢れる。すごい、海沿いのダートというのがこんなにアガるものだとは思わなかった!

山の中ではない、海のそば。にダート。ちょっと頭に汁が分泌されます。一往復半してしまいました。

海辺のダートの先にある入江はパラグライダー発着所として使われる広場になっています。植生が変わっていて、荒涼とした地の果て感たっぷりな世界になっていました。

発着場から尾根筋に上がって南に伸びる半島の先を見ると‥アップダウンする尾根に沿ってダートが走っています。「岬の尾根の先まで続くダート」、これはまたすごい景色だ。

見た目は良いとして、実際は‥「傾斜がキツかろうがなんだろうが尾根を絶対に外さないマン」な道なので、恐ろしく長い急坂のアップダウンの連続です。またそういう傾斜のきつい道は雨水の流れが激しいからか、路面が結構深く掘られていて走れるルートが限られる初心者殺しな道になっています。

ひとりだったらバイク置いて歩いたかも。2台で来て良かった。

なんとか往路は走破!走破したとたんに思うのは、ピストン路だからこの後あの道を戻るのかぁ‥です。

バイクで来られる突端はここ。徒歩ではもう少し先まで行ける。けど、その先は崖というか海。

帰り道で気がついたこと。

路面の状況が悪くなって速度が落ちるとついクラッチを握ってしまうけれど、どんな状況になろうとクラッチは切らず駆動力を殺さないようにして走れば見た目不安な道も驚くほど楽にクリアできることがわかりました。

クラッチを切って駆動力をなくすと、特に上り坂ではすぐに速度が落ちてしまいます。クラッチを切らなくてはならないような状況の路面で停車してしまうと再出発が難しいとか、足をついた時に車体が傾いているともう支えきれなくて転倒してしまう。とか、とにかくそのあとのリカバリーがとても難しくなります。走り続けること(=車体と人間の体幹を同調させてバランスを保ち続けること)、リアタイヤを回し続けること、諦めないことが大事です。

尾根道鳥瞰図。手強いので満足度たっぷり、しっかり汗だく。

ここまででも十分遊んだつもりなのに、なんとまだ12時半です。この先にも旗はまだまだ立てていたので進んでみました。

頭島という橋を2つ経由して来る島に「たぬき山展望台」というものがあるので寄ってみました。なんでたぬき?

おまえかー!

360度のパノラマ‥だけれど、うーん。小豆島はよく見えました。あともう少し進めば兵庫県ですが、岡山市よりも西側に車を置いていたので、あまり足を伸ばすと帰りが面倒臭い。そろそろ戻ることにしました。

岡山の観光ガイドの1ページ目には決して載ることはなさそうなB級観光地ゾーンをCRFとセローで巡る1日というか半日、冬の昼過ぎまでのツーリングにしては中身がパンパンに詰まった内容でした。バイクで走った距離だって200kmちょっとだけれど、僕のツーリングはこういうツーリングで良いのです。

普段のように現地で行き当たりばったり、ではなく今回は事前に目的地の候補を大量に用意しておいて巡れるものを効率よく巡っていく、というスタイル。こういうのは初めてでしたけれど、知らない土地をオンラインでもオフラインでも開拓していくのはとても楽しいバイク遊びのひとつになりますね!

2 Comments

おかぢむ

ご無沙汰です。
水没ペンション群は、寒い時期で良かったです。
夏は虫の発生が酷いので

北の方にも良い林道は沢山あるので、また是非^ ^

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tsugataku

>おかぢむ
ごぶさたしています。岡山は未開拓の地なので良い林道があったら是非紹介して頂戴!オフロードはエンジョイ勢なのでお手柔らかに‥。

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