セットアップ講座

セットアップ初級編
- ■基本的なセッティングのはなし
- 「セッティング」って何のためにするかというと、「マシンを速くするため」ではありません。「マシンを自分にあわせるため」に調整をするのです。ジムカーナはマシンパワーがあれば勝てるという競技ではないので、それぞれのマシンのそれぞれの持ち味を自分の乗り方にあわせて調整することが、タイムアップのポイントといえます。
オートバイの楽しみ方は人それぞれですが、このセットアップ講座が「走るために生まれてきたオートバイ」の楽しみを十二分に享受するための手助けになればと思います。
- ■タイヤのはなし
- ◆空気圧調整
ビギナーの方のバイクを借りるとハンドルが切れ込む状態のマシンがよくあります。大抵の場合、タイヤの溝がないか、空気圧が低くなっているかのどちらかの状態です。減った溝は埋めようがないですが、減った空気圧はいくらでもつぎ足せますので、まずは空気圧をメーカー基準値にしてみましょう。
そこで一是非持っていてもらいたいのが自分用のエアゲージ。いろんな人のエアゲージを持ち寄って空気圧を測ってみるとゲージごとに誤差があるもんです。ここで大事なのは今後厳密にセッティングを出していくために、自分専用のエアゲージを用意することです。
空気圧を標準値に設定するだけで、かなりハンドリングは素直になるはずです。
タイヤの溝がなくなってくるとタイヤ形状や接地面積の変化からタイヤ本来のハンドリングを得られなくなります。タイヤの溝が減っている場合は交換してくださいね。
- ◆バイアスとラジアル
そこでラジアルタイヤを履ける車種をお持ちの場合は、是非ラジアルのハイグリップタイヤを試してみてくださいね。バイアスタイヤとラジアルタイヤの構造上の違いは、タイヤのゴムの下に巻いてある化学繊維の巻き方が、バイアスは斜めにクロスステッチしてあるのに対してラジアルはタイヤの回転方向に対して垂直にぐるぐる巻いてあります。これがどういうことかというと、バイアスの場合、路面からのショックを化学繊維が柔軟にゆがんで「抵抗なく」受け止め、乗り心地をよくしています。ラジアルは、というとその点化学繊維が伸びない分タイヤ自体が路面の抵抗を受けます。「抵抗を受ける」ということは発熱しやすくなるというわけで、バイアスと同じゴムの質だとすると当然グリップは高まりますし、ゴム質を硬くしても高剛性&耐久性とグリップ力という相反する要素が両立して得られるというわけです。
メーカによって各種取りそろっているタイヤですが、お好きなメーカーの最もハイグリップなタイプを是非試してみてください。一度履くとやめられなくなること請け合い。
- ■サスペンションのはなし
- サスペンションについてはライディング講座の方でもちょっと触れましたが、バイクを物理法則に従って安定して走らせるために大変重要な役割を持っています。タイヤのグリップで負いきれない加重をサスペンションが引き受け、反力をタイヤを地面に押しつけてる力として利用しているんです。
サスペンションの仕組みは、簡単にいうとバネとダンパーでできています。バネはご存じの通り、押されたら縮んで押さえる力が抜けると伸びるものです。ダンパーは粘度のあるオイルが狭い穴を通過する抵抗でバネの伸び縮みのスピードを調整するものです。サスペンションがバネだけだと、ショックを吸収して縮んだバネが伸びて、その反動でまた縮んで‥を繰り返して一度ギャップを踏んでしまったらしばらくビヨンビヨンしてしまい、車体の挙動に落ち着きがなくなってしまいます。
一般的なテレスコピックタイプ(フロントがスイングアーム状じゃなくてフォーク状になっているタイプ)のフロントサスペンションは図のように密閉された筒の中にバネとオイル、残った空間に空気が入っています。
- ◆バネ(イニシャル調整)について
主にサスペンションの硬さを決定します。バネが縮み始めるのに必要な力が加わるまではなにも働きませんが、それ以上の力が加わったときに縮みはじめて力が蓄えられます。調整機構としてイニシャルアジャスターというバネを閉め込んでいくネジがついているバイクはこれを閉め込んでいくことによってバネが沈み始める初期加重を調整できます。
沈み始めるのに5kg必要なサスペンションのイニシャルアジャスターを+1kg分締めこむと、バネが沈み込み始めるのに6kgの荷重が必要になるので、バネ自体が硬くなるわけではないのですが、見かけ上硬くなったような気になるのです。イニシャルアジャスターがついていないバイクは、バネとフォークのフタとのあいだに金属製のカラーが入っているので、同径で長さの違うものを利用して調整ができます(微調整はちょっと難しいですけど‥)。
- ◆オイル(伸び側ダンパー調整、沈み側ダンパー調整)について
フォークが沈んだり伸びたりするのを緩慢にしているのがオイルです。当然、オイル粘度が高いと伸び縮みがさらに緩慢になって、見かけ上サスペンションが硬くなったように感じられます。バイク用品屋へいくといろいろな粘度のオイルを売っていますので、既製のものでしっくりこない場合は調合して好みの粘度をつくります(メーカーによって番手が同じでも粘度が違うので注意)。アジャスターがついているタイプは、フォークが沈むスピードを調整しているのが「沈み側ダンパー調整」、伸びるのを調整しているのが「伸び側ダンパー調整」といいます。調整機構はオイルの通る穴の大きさを変えてオイルの流れ易さを変化させています。
- ◆空気(油面調整)
サスペンションは密閉されているので、オイルを入れた残りの容積は空気になります。フォークが沈んでいくとサスペンション内の容積は少なくなっていきますが、液体のオイルは縮みませんから、空気がどんどん圧縮されていきます。水鉄砲の吹き出し口を塞いで棒を押し込んでいくと、最初は押し込みやすいですが、空気が圧迫されていくに従って押し込みにくくなっていくと思います。フォークの中の空気も同じ状態で、フォークが沈むに従って反力が強くなって沈み込みにくくなっていきます。オイルの油面を上げてやると空気の量が減りますから、圧縮で縮む許容量が少ない分すぐに硬くなる(見かけ上硬い)フォークを、逆に油面を下げて空気の量を増やしてあげるとググーっと沈み込んだときに硬くなる(見かけ上柔らかい)フォークを作ることができます。フォークにエアバルブがついているタイプは空気を注入してやると、フォーク内の空気が最初から加圧されて油面を上げた場合と同様の効果が得られます。
- ■バイクと体に優しいハンドルまわり
- ◆レバー
ブレーキレバーやクラッチレバーの調整はお手軽な調整なので手をつけた方も多いかと思います。レバー位置の調整だけでも乗りやすさは格段によくなりますね。レバー調整機能で一番近づけた状態でもまだ遠いと感じている方はレバーホルダー自体をちょっと上向きにつけてあげるとさらにレバー位置が近づきます。
それでもまだ遠いと思う方は‥ホンダ車でしたらブレーキレバーの調節用のリングを外してUの字にへこんだ部分を更に削りこんであげるとかなり近づきます。カワサキ車などダイヤルを回して調整するタイプは、穴を深く穿ってみたりピンの方を削るともうちょっと近づきます。転倒するとレバーが曲がる、ということでレバーはかなり強く転倒時に路面に打ち付けられている事が分かりますが、ブレーキ側は運が悪いとマスターシリンダのピストンを変形させてしまうことがあるので先端を切り落としている人も居ます。ただし、車検には通りませんし、レバーがショックを受け止めない分車体へのダメージ負担が強くなります。
- ◆ハンドル
ハンドルを右フルロックまで切るとアクセルをあけにくい、左ターンでアクセルが遠くなる、など気になるときはハンドルの角度を変えてみましょう。セパハンの場合はストッパーがついている場合が多いのでハンドル位置をあげる、とか場合によってはストッパーを削るなどが考えられます。パイプハンドルの場合はハンドルポストのネジをゆるめて手前や奥にに動かすだけでもかなりフィーリングは変わってきます。ハンドルパイプ自体を内側に絞るように曲げるのも改善方法の一つです。ハンドル切れ角が少ないと思う方はハンドルストッパーを削るのも手ですが、あまり削るとフロントフォークがラジエーターやフレームに当たりはじめるので注意。当たらないようにぎりぎりに削ったつもりでも転倒のショックで内に入ってラジエーターが変形してしまう、ってことはよくあります。
- ◆ワイヤリング
フロントタイヤを浮かせた状態でハンドルを左右いっぱいに切ってみたとき、抵抗がなければ問題ないのですが、ものによっては各種ワイヤーが抵抗になってスムーズに動かない場合があります。特にハンドル角度や高さを変えたときには純正状態だと引っかかる場合が多いです。そういうときは思い切ってワイヤーやコードの取り回しを変えてみましょう。それでもどうしようもないときは少し長いタイプに変更です。メジャーなどで全長を測っておき、いろいろなバイクのワイヤー類と比べてみましょう。アメリカンっぽいカスタム用のワイヤは長目だし、長さの表示をして売っているので便利です。
- ◆グリップ
グリップはなにも断面が丸くなくちゃいけないとは限りません。特に右フルロックの状態では手首が曲げられすぎてアクセルがあけにくいこともあります。そんなときは薬指や小指の内側や親指の先に突起をつくって、アクセルを回す、というよりは引っかける、または押すといった感じでスロットルをあけられるようにすると楽チンです。
- ■ライディングフォーム
- 速い人って、大概フォームもかっこよいですね。車体の挙動に対してあるときは従順に、ある時は積極的に人間自身の重量も走りに利用しているうちに自然にできてくるフォームだと思うんです。ここでは人間自身も車体パーツの一つとして考えてみます。
- ◆乗車位置(前後)
バイクは重心位置が大体タンクの真下、エンジンあたりに作ってあります。そのため、フラフラするような極低速では前の方に座ると人間の重さが重心位置に近づくのでコントロールしやすく感じます。ただ、これでは強くは曲がれません。バイクが曲がるのは‥車体が傾くことによって車体に固定されているリアタイヤが傾けられ、丁度円すいを転がすと頂点側にカーブしていくようにタイヤの側面が路面とあたることで傾けた方向へ車体が曲がろうとしはじめて、仕方なくフロントタイヤがパタンと内側に倒れてくる‥という原理になっています。強く曲がるためには最初の内向力を強くする必要があります。そこで、できるだけ後ろ側に座ってみましょう。そうすることでリアタイヤにかかる荷重が増し、フロントの荷重が抜けることでよりパタンと倒れやすくなります。ただ後ろに座るとハンドルが遠くなったりして逆に乗りにくくなるので頃合いを見つけて下さいね。
- ◆乗車位置(上下)
乗車位置をさげたり足つきを良くするためにシートのアンコを抜く方も多いと思います。ここでの注意点は、アンコを抜いて着座位置を下げると人間の重さが重心に近づいてしまう、ということです。重たい頭部が重心位置に近づくと、ロールのモーションは軽快に感じられますが、実は人間が車体の動きに関われる量が減るんです。重心位置が高いほど少しの荷重移動で車体に大きく影響が出ます。逆に高すぎるとロールが「よっこいしょ」といった感じになってしまうので、これも頃合いを見つけて下さいね。フォームでも改善できる面は多いと思います。
- ◆腕のかたち
車体が傾くことでハンドルが曲がる方向に入り込んできますが、腕でそれを突っぱねてしまうと折角生まれた曲がる力が損なわれてしまいます。特に曲がりはじめの一発目を突っぱねてしまうとダルーっとしたコーナリングになってしまいます。切れ込みが気になるようだったら空気圧やサスペンションをいじって気にならないようにして、左右に傾こうとするハンドルには一切力を入れないのが理想です。そのためには腕を「吊り下げる」つもりで上半身に気合いを入れましょう。肘は軽く曲がっているとハンドルの入りに素早く対応できると思います。
- ■ギア比
- ここではジムカーナを前提とした話になります。レーサーのようにミッション交換できるほど恵まれた環境にあるならいざ知らず、一般的にはファイナル(チェーンとスプロケ)を交換してギア比をかえるのが一般的です。ギアつき自転車のミッションを思い出してもらうと分かりやすいのですが、前を小さく、後ろを大きくするとペダルが軽くなってローギア化します。自分のバイクのパワーバンドを考えて効率の良いファイナルセットを考えてみましょう。ただし、ギア比を下げすぎると頭打ち(レッドゾーン)が早く訪れるということになります。ノーマル比の計算式を記載しておくので参考にして下さい。(ノーマルR×変更後F)÷(ノーマルF×変更後R)×100%計算結果が90%の場合、ノーマルのローギアで100km/hまで出たバイクが、変更後は90km/hまでしか出ないということです。

- ◆ドライブスプロケット
フロント15丁・リア45丁のバイクなら、フロント側を1丁下げることでリア3丁上げ分という計算になります。ただ、前側のスプロケットは丁数を下げすぎるとチェーンの折り返す角度が急激になってチェーンに負担がかかってしまいます。また、チェーンのラインが変わってスイングアームやチェーンスライダーに干渉し始めるので注意してください。スプロケットを小さくするとチェーンが余ってきて、その分リアタイヤの取り付け位置が後ろになってしまう点にも注意。
- ◆ドリブンスプロケット
ドリブン側で注意すること、大きくしすぎるとチェーンが足りなくなったりチェーンカバーに干渉し始めるという点です。
- ◆チェーンのこと
チェーンサイズは小さいほどフリクションロスが少ないのでよいのですが、強度が落ちてしまいますよ。また、Oリングつきのチェーンは保ちがよいですが、ノンシールのチェーンに比べるとネットリした抵抗があるのは仕方がありません。でもノンシールだと驚くほど寿命が短いです。スプロケットは520サイズのチェーンに対応した物が一番種類が多いようです。600ccクラスでしたら520でも強度的に問題ないと思います。
セットアップ中級編 ~発進・加速~
- ■実際の走行に関するセッティング
- セッティングに関して、タイヤ・サスペンション、その他諸々のパーツごとにセッティングの方法を並べていこうかとも考えましたが、何のためのセッティングなのか、を考えてみたときに「バイクを走らせたときの挙動に対してのセッティング」とした方がわかり易いと考え、「加速」「減速」「コーナリング」に関わる各パーツのセッティングを記していくことにしました。
- ■発進・加速に関するセッティング
オートバイは物理法則にきれいに従って走るよう設計されています。スタート時には加重がリアに寄り、リアタイヤが地面に押しつけられて空転しづらくなっているんです。その際のサスペンションが縮むことによってタイヤの摩擦力だけでは負いきれない荷重を貯めておいてくれます。右の図は「アクセルONで荷重がリアに寄って、その力がリアタイヤにかかってグリップ力が増す」の図です。
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- ◆ハンドルまわり
クラッチのつながる位置の調節はバイクに自分が合わせるのではなく、自分にバイクを合わせてください。同時にレバーの高さも大切。ホルダーのネジをゆるめて少し回転させてあげると思った以上にフォーリングはよくなっちゃいます(手の小さい人向け)。アクセルの遊びも自分のお好みに。遊びがありすぎると加速のための手首の返しが多くなるのでジムカーナには不適合。ダイレクトな加速感を味わいたい方は遊びゼロにしてみてください。その際左右にハンドルをいっぱいに切ってもアクセルワイヤが引かれてアイドリングが上がらないように必ず確認を。
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- ◆チェーン調整
チェーンが弛んでいるとクラッチミートしたときに急激にチェーンが引っ張られて「ガツン」とショックが出てしまいますし、チェーンがタイヤを回し始めるまでの時間がタイムロスになります。またローギアでの「ガツン」はその場所だけチェーンが強烈に引っ張られるワケですからチェーンの片伸び(一部分だけ伸びちゃうこと)の原因になります。
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- ◆リアサスのイニシャル(バネの締め付け度合い)
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長所 |
短所 |
| イニシャルを強く |
アクセルに対するリアの押し出し感がダイレクトに |
タイヤへの荷重負担が増えるので空転しやすくなる |
| イニシャルを弱く |
サスペンションが荷重を受け止め易くなるので乗り心地はよい |
押し出し感が減る。サスストロークが増えるので挙動変化が激しい |
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- ◆リアサスの圧側ダンパー(サスペンションが沈もうとする動きに対する緩衝)
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長所 |
短所 |
| ダンパーを強く |
サスの動きが緩慢になるのでイニシャルが低くても挙動変化が少ない |
高くしすぎるとサスの動きが悪くなる。乗り心地が悪くなる/td> |
| イニシャルを弱く |
サスペンションが荷重を受け止め易くなるので乗り心地はよい |
押し出し感が減る。サスストロークが増えるので挙動変化が激しい |
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- ◆スイングアームの角度
リアのイニシャルを抜いたり、車高調節などでスイングアームが水平に近づいてくると、リアタイヤにかかる荷重は減ってくるので注意。効率よく荷重をリアに伝えるためにはある程度スイングアームの角度が必要です(オフロード車なんかが顕著ですね)。
セットアップ中級編 ~ブレーキング~
- ■ブレーキングに関するセッティング
ブレーキング時にもオートバイはきれいに物理法則に従って転びにくくなっています。減速時、荷重がフロントに寄ることによりフロントサスペンションが沈み込みます。バネが力を貯めこみ、フロントタイヤの摩擦力+バネの反力でタイヤがスリップするのを防いでいるのです。
- ◆ブレーキ回り
フロントブレーキレバーは市販状態だと遠い場合が多いです。調整機構つきのもので一番近くしてもまだ遠いという人は、調整機構のリングや爪になっている部分を削ったり、レバーホルダーをクラッチ同様少し上向きに取り付けたりしましょう。その際、フルブレーキングで指を挟んでしまわない程度にね。
リアブレーキペダルは普段足首に負担のかからない位置に調整。アクセルの遊びも自分のお好みに。遊びがありすぎると加速のための手首の返しが多くなるのでジムカーナには不適合。ダイレクトな加速感を味わいたい方は遊びゼロにしてみてください。その際左右にハンドルをいっぱいに切ってもアクセルワイヤが引かれてアイドリングが上がらないように必ず確認を。
- ◆タンク
減速時にからだが前に寄ってしまうのを腕で受け止めちゃう人は思いきって改善しましょう。ひざとくるぶしで体が前へ寄ってしまうのを支えて下さい。タンクが滑ってしまうという人はウレタンやゴムのパッドを貼るとびっくりするほどホールド感が増します。
- ◆フロントサスのイニシャル
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長所 |
短所 |
| イニシャルを強く |
ブレーキのフィーリングが良くなる(様に感じる) |
タイヤへの荷重負担が増える分、スリップしやすくなる |
| イニシャルを弱く |
タイヤへの荷重負担が減る分、スリップしにくくなる |
サスの挙動が増える。その間の安心感がない |
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- ◆フロントサスの圧側ダンパー
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長所 |
短所 |
| ダンパーを強く |
サスペンションの動きが落ち着く |
サスの動きが鈍くなるのでタイヤの荷重変化が増える |
| イニシャルを弱く |
次にコーナリングするとするとキャスターが立つ分曲がりやすい状態にできる |
伸び側ダンパーとのかねあいがあるけど、柔らかくしすぎると挙動が激しくて運転が難しくなる |
※イニシャル・圧側ダンパーを弱くすると減速時のサスペンションの挙動変化が激しくなり、サスが落ち着くのに時間がかかるので次へのモーションが遅れてしまいます。が、これはコーナリングに関わることなので、伸び側ダンパーのセッティングとあわせてコーナリングの項で説明します。
- ◆フロントタイヤの空気圧
タイヤの空気圧が低いと接地面積が増えるのでグリップが増しますが、空気圧によってタイヤ形状や路面への反力が変わるとグリップだけでなくハンドリングが大きく変わります。
セットアップ中級編 ~進入とコーナリング~
ジムカーナの場合一つのコーナーを曲がるための順序を「減速→旋回→加速」という普通のライテク講座などに載っている3大要素で分けて考えずに、「進入→脱出」と考えます。減速しながら旋回して「進入」、旋回しながら加速して「脱出」という感じで走ります。
- ■進入時のコーナリングに関するセッティング(フロント)
- 進入は主にフロントに気を使います。ハードなブレーキングでリアがホップしようと流れようと、フロントさえグリップしていてくれれば何とかなります。ブレーキングで思い通りに旋回してくれて、かつ、グリップ感を維持できるセッティングを目指して下さい。
| 突き出し量を増やす |
トレール量(バイクが直進しようとする力を生み出すオフセット)が減り、キャスター角(フロントフォークの角度)が立つのでクイックなハンドリングになる。 |
| 突き出し量を減らす |
増やすことの逆です。 |
突き出し量を増やすことによって「フロントが曲がりやすい」バイクを作ることができます。ネガティブな面ではハンドルの切れ込み感が強くなっていくことと、タイヤが重心位置に近づいてきますからフロント荷重になりやすいという点があげられます。荷重については人間が後ろに座ることによって解消されますね。も一つおまけで、突き出しを増やしすぎるとフォークが沈んだときにフロントフェンダーが車体にぶつかることもあるので注意。そうそう、車高が下がるから車体接地も増えるぞ。
◆イニシャル
フロントフォークのバネの加圧調整です。進入時は減速していますからフロントに荷重がかかってきます。そこでフォークのバネが縮み始めることでキャスター角が立ってきてバイクがより曲がる形に変化します。ホントに良くできてますよね。このバネにイニシャルをかけて見かけ上硬くしてやると、ブレーキングの荷重がかかってもキャスターが立ちにくくなりますからハンドルが切れ込みにくくなります。悪く言えば「曲がらない」だけど、良く言えば「より強くブレーキングしても良い」状態です。ワインディングなどの走り屋さんなどは加圧してやって路面からの情報をダイレクトに受け止めながら強くブレーキングしていけばよいのでしょうが、ジムカーナの場合ブレーキングは極力したくないので(<特に軽量車の場合)、イニシャルは走り屋さんのようにかける方向ではなく、むしろ抜けるだけ抜く方向で考えても良いのではないかと思います。が、この辺りは走り方によって設定が別れるところです。
◆ダンパー
減速時のダンパーですから圧側のダンパー調整です。調整機構が付いていない場合はオイル粘度で調整。バネを柔らかくしてもダンパーを硬くしたら「動きが鈍いけどよく沈むサスペンション」ができます。下に相関関係を表でまとめてみました。。
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イニシャル強 |
イニシャル弱 |
| ダンパー強 |
硬いフィーリングのサス。剛性感があるけど曲がらない。下手するとフロントがいきなり滑る。 |
曲がりやすいけど、下手すると切れ込むハンドリング。フロントの反応悪くて、細かいセクションが苦手かも。 |
| ダンパー弱 |
ブレーキの入力にダイレクト感。でもアンダーステア。 |
曲がりやすいけど、切れ込みやすくなる。挙動の変化が激しくて操作が難しくなる。 |
‥なんだかどれをとってもネガティブだなぁ‥。丁度良いトコ、見つけてね。
◆油面
フォーク内の空気の量の調節です。サスが沈むとフォーク内の容積は小さくなります。そこでフォーク内の空気が加圧されるわけですが、空気が多いとたくさん加圧を許せますね。少ないとすぐパンパンになってしまいます。ということは‥
| 油面アップ(空気少) |
すぐ踏ん張るフォーク。これによってストロークを少なくできる(挙動変化が少ない・すぐ落ち着くフォーク)。フィーリングは硬い。 |
| 油面ダウン(空気多) |
フォークが沈んでいく程に踏ん張りの出るフォーク。ストロークも多い(挙動変化が多い・曲がりやすい・切れ込む)。フィーリングが柔らかい。 |
- ◆タイヤの空気圧
フロントタイヤの空気圧は進入のハンドリングに関してとても大きな位置を占めます。
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長所 |
短所 |
| 空気圧を上げる |
フィーリングが軽快になる。切れ込み感も無くなる。 |
接地感が減ってアンダーになる(結構不安)。 |
| 空気圧を下げる |
フロントがよく曲がってくれる。ベタっとした安心感が生まれる。 |
ハンドル操作が重い・切れ込む。 |
- ■進入時のコーナリングに関するセッティング(リア)
- ◆イニシャル
理屈がわかりませんが、以下のとおりです。
| イニシャルをかける |
切れ込み感がなくなります。 |
| イニシャルを抜く |
切れ込みます。 |
おそらく、イニシャルが抜けることでリアの挙動が大きくなって、立ち上がりで大きく沈んだリアがブレーキング&進入で大きく伸びる分、フロントに荷重がかかるからかな、って思っています。
◆ダンパー
ブレーキング時のリアダンパー調整ですから、伸び側のダンパー調整です。
| ダンパー強 |
伸びが遅くなる分、フロントに荷重が移行するのが遅くなり、切れ込み感が弱まります。路面追従性が落ちるのでテールが流れやすくなります(ドリフトするという意味では「曲がるバイク」になる)。 |
| ダンパー弱 |
切れ込み感が増しますが、伸びが速い分ブレーキング時のテールスライドが少なくなります。グリップ走行主体のセッティングです。 |
◆車高調節
高級サスになるとサスペンションの高さを変えて車高調節ができます。これによって、腰高なマシンがつくれます。お尻があがる、ということはフロント荷重になりますからより曲がるバイクが作れますし、前のページで述べたとおり、スイングアームが立ってくるので荷重がタイヤに伝わりやすくなりその後の加速の荷重も有利です。
セットアップ中級編 ~脱出とコーナリング~
脱出はリアが主体です。リアが滑って転ぶ、ってのが一番多い失敗。フロントは浮いてもリアさえグリップしていてくれればなんとかなります。
- ■脱出時のコーナリングに関するセッティング(フロント)
- ◆ダンパー
伸び側のダンパー調節です。加速時はリアに荷重が寄りますからフロントフォークが伸びてきますね。
| ダンパー強 |
フロントが沈んだままで居てくれるので曲がりながら立ち上がることができる。路面追従性が落ちるので接地感が薄くなる。曲線的なライン取り、加速力の無いバイク向き。 |
| ダンパー弱 |
フロントが速く伸びるので路面追従性が高くて安心感がある。直線的なライン取り、加速力のあるバイク向け。 |
- ■脱出時のコーナリングに関するセッティング(リア)
- 加速時にリアに荷重がかかって、サスが沈みます。◆イニシャル
| イニシャル強 |
サスが沈まない分、タイヤにダイレクトに駆動力が伝わって押し出し感が強くなる。タイヤの負担が強くなる分、負荷が負いきれなくなったらテールが流れる。 |
| イニシャル弱 |
加速荷重に対してサスが受け止める分量が多くなってサスが落ち着くまでの挙動変化が激しく、その間加速感が少ない。タイヤの加圧が少なくなるので強く曲がれない。 |
◆ダンパー
圧側ダンパーの強弱は、基本的にイニシャル調整と同様のフィーリングがあります。
| ダンパー強 |
サスが踏ん張る分、押し出し感が強くなる。 |
| ダンパー弱 |
サスが沈み込んで踏ん張るまでの間、押し出し感が弱い。 |
最初にも書きましたが、セッティングは「バイクを速くする」ことではありません。自分の走りにあわせて「バイクを走りやすくする」ものです。
セッティングで注意する点は2つ。まず、自分の走りの好みが見えていないうちにセッティングをいじっても目標がないわけですからセッティングの出しようがないです。練習を重ねて、「なんだか乗りにくいなぁ」と思うことがセッティングの必然性の第1歩です。
もう一つは、運転技術が上達するに連れてセッティングは変わってきます。空気圧やサスセッティングは昔ベストだと思っていたものが現在ではベストではない、ってことが結構あります。常々自分のフィーリングを信じて運転するのに不具合のないように調節してやって下さいね。
update: 2011/02/21 |
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