各種講座のまとめ

ライン取り講座

ライン取り講座

ライン取り講座 初級編

ジムカーナでは次から次へとコーナーがやってきます。サーキットを走るレースのように体制を立て直せる直線部分がほとんど無いので、ジムカーナはコーナリングが終わったとき(コーナーに進入し終わった時点)のバイクの位置と向きでハッキリ言ってタイムが決まります。それだけに、ライン取りをどう組み立てるかが非常に重要です。
特に教習所等のコースを使わない広い駐車場コース等のパイロンセクションは、クランクやS字などと比べるとつかみどころが無くてどう走ったらよいのか決めかねている方も多いと思います。でも、複雑なパイロンセクションも分解して考えると、「同一方向に連続するターン」「切り返しのあるターン」「回転」でできています。そこで、ここではそれぞれのターンについてラインをどうとるか、また複合的に組み合わさったコースではどのように考えるかについて述べていきます。

と、その前に、ジムカーナで早く(<速度的に「速く」ではない)走るための大原則は

「アクセルをより長く早く開けられて、それがムリならより短く走る」

です。「長く」≧「早く」>「短く」といった感じ。これを基本にして考えていきます。
また、この説明で使っている図のラインは全て「リアタイヤの通る位置」とお考えください。

楕円旋回

楕円旋回01
パイロンを2本立てて、楕円旋回=「同一方向に連続するターン」をするだけでも結構奥が深いです。パイロンに一番近づいたときにバイクがどこを向いているかで、アクセルを開ける早さが変わってきます。
進入Aはパイロンに接近した後も大きくターンをしてアクセルをON、進入Cは接近直後にONできます。逆算して考えれば、できるだけ早くアクセルを開けるためには「楕円旋回の基本は大きく進入して、パイロンにピタ付け直後に脱出」ということになります。

楕円旋回02同じ「大きく進入するといっても、左図のように脱出時にピタ付けできないと、走る距離が長くなってしまう分不利です。180度ターンの練習では、パイロン間の距離をよく考えて「このスピードなら、この位置から進入すればピタ付けできる」という感覚をつかんでください。
車種によるラインの違いについて
軽量車は小旋回しやすく、コーナリングスピードも落とさずに進入できるので、パイロンに比較的近いところから進入して、非力なことを利用して車体が傾いた状態から積極的にアクセルを開けることが可能です。重量車は奥まで進入してターンし、立ち上がりでパイロンを通り過ぎる手前あたりからドガーンっとアクセルを開けられるラインを試してみてください。

8の字

8の字01
「切り返しのあるターン」でも、パイロンに最接近しているときにバイクがどちらを向いているかという考えは一緒ですが、楕円旋回よりもパイロン通過時には速度が落ちます。できるだけ次のターンへ向かって速度を上げるためには、なるべく早くアクセルをあける=パイロンを通過した直後からアクセルを開けられる進入をよりシビアに考える必要があります。また、切り返しが遅くなると、次のターンへの負担になります。そこで、

1)通過したパイロンになるべく近いところから切り返し動作に入れるように
2)2つのパイロン間を結んだ線を越えたときには切り返し動作に入っているように

といったことを最優先に考えて訓練してみましょう。

参考映像。リアタイヤの通る位置に注意してみましょう。

回転

回転01
パイロン最接近時にバイクがどちらを向いているかという考えは回転も同じですが、同じ立ち上がり時の向きでも、より早く開けるためには回転円の中心をどこにおくかということを考えなくてはいけません。図のように同じ360度ターンでも、パイロンより奥で回転するか手前で回転するかで、アクセルを開ける位置が違ってきます。できるだけ早くアクセルを開けるためには、「回転目標のパイロンを、自分が描く回転円のどこに置くか」ということを考えましょう。

回転02

また、回転はくるくる回る練習だけでは「回転だけ」しか上達しません。タイムアップのためには、パイロンに進入して回転して脱出する一連の動作全てをスムーズにつなげる必要があります。いろんなスピードから進入して回転動作へ移行する訓練をしましょう。

ライン取り講座 応用編

応用編01

上の図のようなコース図が配布されたら、皆さんどのようにラインを考えますか?先の基本編に従って、楕円・8の字・回転にコースを分解して考えると次のようになります。

応用編02
大きく入ってピタ付けして出る、セオリー通りのきれいなラインです。でも、このようなコースの場合、(コースの大きさにもよりますが)次に挙げるラインの方が圧倒的に有利です。

応用編03
薄いグレーの線がセオリー通りのライン。ターンする順番にパイロンに番号をつけておきました。このようなラインになった根拠は、パイロン一つ一つを片付けていくのではなく、いくつかつなげて考えられるパイロンはまとめてひとつのセクションとして扱い、仕事の数を減らすことで効率よく片付けていくためです。では、どのようにセクションがまとめられるかというと、

応用編04
このようになります。セクションの切れ目ごとに色分けしてみました。一つ一つ解説していきます。なお、説明のためには次のセクションで何をするのかがわかっていないと難しいところがあるので、後ろのセクションから説明していきます。

セクション6:パイロン7のターン
パイロン7に大きく入らず近づいて進入するのは、折り返した後パイロン6に進入するのが楽になるからと、セクション5でパイロン6を深くターンしなくて済むためです。

セクション5:パイロン4~6のターン
それぞれのパイロンに対して「大きく進入・小さく脱出」を繰り返すとアクセルを開けたりブレーキをかけたり する回数が増えてしまい、速度も出ません。図のようにパイロン4の脱出からパイロン6の進入まで一気につなげることで、長くアクセルを開けられるので、よりタイムを稼ぐことができます。こういったセクションをみつけられるかどうかが、ジムカーナでのタイムアップのキモだと思います。

セクション4:パイロン4の回転
パイロンに近づいて入って、離れて脱出という通常のセオリーとはまったく逆のラインですが、セクション5で一気に走りきるためにはパイロン4を大きくスタート側に膨らんで脱出する必要があります。このセクションの進入を大きく取ると、セクション3にストレスがかかります。

セクション3:パイロン3のターン
セクション4の回転に大きく入る必要が無いので なるべく大きく振らずに直線的に抜けます。

セクション2:パイロン1~2のターン
考え方はセクション5と同じで、パイロン1から3までを一気につないで直線的に大きく加速していきます。

セクション1:スタートからパイロン1のターン
スタートラインの横幅があるときは、たとえわずかでもどうすれば次の進入に有利な位置や向きになるのかを考えましょう。パイロン1に近づいて進入して、通り過ぎた後でセクション2の加速がしやすい位置につけられるようターンします。1発目に失敗すると、なし崩しに次のターンもダメダメになってしまうので、ここではベストよりもベターを目指して確実に進入できるようにします。

というわけでまとめ。

ライン設計の基本は、次のセクションへ向かう立ち上がりの向き最優先

その上で悩んでしまったときは、

1)アクセルを早く・長く開けられるセクションを生かすライン
(ex:セクション1・2・5)

2) 目的のパイロンの手前、または次のセクションに対して進入を大きく取れるライン
(ex:セクション1・4・6)

3)走る距離を短くできるライン
(ex: セクション3)

で組み立てを考えてみてください。

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セットアップ講座

セットアップ講座

セットアップ初級編

■基本的なセッティングのはなし
「セッティング」って何のためにするかというと、「マシンを速くするため」ではありません。「マシンを自分にあわせるため」に調整をするのです。ジムカーナはマシンパワーがあれば勝てるという競技ではないので、それぞれのマシンのそれぞれの持ち味を自分の乗り方にあわせて調整することが、タイムアップのポイントといえます。
オートバイの楽しみ方は人それぞれですが、このセットアップ講座が「走るために生まれてきたオートバイ」の楽しみを十二分に享受するための手助けになればと思います。
■タイヤのはなし
◆空気圧調整
ビギナーの方のバイクを借りるとハンドルが切れ込む状態のマシンがよくあります。大抵の場合、タイヤの溝がないか、空気圧が低くなっているかのどちらかの状態です。減った溝は埋めようがないですが、減った空気圧はいくらでもつぎ足せますので、まずは空気圧をメーカー基準値にしてみましょう。
そこで一是非持っていてもらいたいのが自分用のエアゲージ。いろんな人のエアゲージを持ち寄って空気圧を測ってみるとゲージごとに誤差があるもんです。ここで大事なのは今後厳密にセッティングを出していくために、自分専用のエアゲージを用意することです。
空気圧を標準値に設定するだけで、かなりハンドリングは素直になるはずです。
タイヤの溝がなくなってくるとタイヤ形状や接地面積の変化からタイヤ本来のハンドリングを得られなくなります。タイヤの溝が減っている場合は交換してくださいね。
◆バイアスとラジアル

ダンロップ/Qualifier
そこでラジアルタイヤを履ける車種をお持ちの場合は、是非ラジアルのハイグリップタイヤを試してみてくださいね。バイアスタイヤとラジアルタイヤの構造上の違いは、タイヤのゴムの下に巻いてある化学繊維の巻き方が、バイアスは斜めにクロスステッチしてあるのに対してラジアルはタイヤの回転方向に対して垂直にぐるぐる巻いてあります。これがどういうことかというと、バイアスの場合、路面からのショックを化学繊維が柔軟にゆがんで「抵抗なく」受け止め、乗り心地をよくしています。ラジアルは、というとその点化学繊維が伸びない分タイヤ自体が路面の抵抗を受けます。「抵抗を受ける」ということは発熱しやすくなるというわけで、バイアスと同じゴムの質だとすると当然グリップは高まりますし、ゴム質を硬くしても高剛性&耐久性とグリップ力という相反する要素が両立して得られるというわけです。
メーカによって各種取りそろっているタイヤですが、お好きなメーカーの最もハイグリップなタイプを是非試してみてください。一度履くとやめられなくなること請け合い。
■サスペンションのはなし
サスペンションについてはライディング講座の方でもちょっと触れましたが、バイクを物理法則に従って安定して走らせるために大変重要な役割を持っています。タイヤのグリップで負いきれない加重をサスペンションが引き受け、反力をタイヤを地面に押しつけてる力として利用しているんです。
サスペンションの仕組みは、簡単にいうとバネとダンパーでできています。バネはご存じの通り、押されたら縮んで押さえる力が抜けると伸びるものです。ダンパーは粘度のあるオイルが狭い穴を通過する抵抗でバネの伸び縮みのスピードを調整するものです。サスペンションがバネだけだと、ショックを吸収して縮んだバネが伸びて、その反動でまた縮んで‥を繰り返して一度ギャップを踏んでしまったらしばらくビヨンビヨンしてしまい、車体の挙動に落ち着きがなくなってしまいます。一般的なテレスコピックタイプ(フロントがスイングアーム状じゃなくてフォーク状になっているタイプ)のフロントサスペンションは図のように密閉された筒の中にバネとオイル、残った空間に空気が入っています。
◆バネ(イニシャル調整)について
主にサスペンションの硬さを決定します。バネが縮み始めるのに必要な力が加わるまではなにも働きませんが、それ以上の力が加わったときに縮みはじめて力が蓄えられます。調整機構としてイニシャルアジャスターというバネを閉め込んでいくネジがついているバイクはこれを閉め込んでいくことによってバネが沈み始める初期加重を調整できます。
沈み始めるのに5kg必要なサスペンションのイニシャルアジャスターを+1kg分締めこむと、バネが沈み込み始めるのに6kgの荷重が必要になるので、バネ自体が硬くなるわけではないのですが、見かけ上硬くなったような気になるのです。イニシャルアジャスターがついていないバイクは、バネとフォークのフタとのあいだに金属製のカラーが入っているので、同径で長さの違うものを利用して調整ができます(微調整はちょっと難しいですけど‥)。
◆オイル(伸び側ダンパー調整、沈み側ダンパー調整)について
フォークが沈んだり伸びたりするのを緩慢にしているのがオイルです。当然、オイル粘度が高いと伸び縮みがさらに緩慢になって、見かけ上サスペンションが硬くなったように感じられます。バイク用品屋へいくといろいろな粘度のオイルを売っていますので、既製のものでしっくりこない場合は調合して好みの粘度をつくります(メーカーによって番手が同じでも粘度が違うので注意)。アジャスターがついているタイプは、フォークが沈むスピードを調整しているのが「沈み側ダンパー調整」、伸びるのを調整しているのが「伸び側ダンパー調整」といいます。調整機構はオイルの通る穴の大きさを変えてオイルの流れ易さを変化させています。
◆空気(油面調整)
サスペンションは密閉されているので、オイルを入れた残りの容積は空気になります。フォークが沈んでいくとサスペンション内の容積は少なくなっていきますが、液体のオイルは縮みませんから、空気がどんどん圧縮されていきます。水鉄砲の吹き出し口を塞いで棒を押し込んでいくと、最初は押し込みやすいですが、空気が圧迫されていくに従って押し込みにくくなっていくと思います。フォークの中の空気も同じ状態で、フォークが沈むに従って反力が強くなって沈み込みにくくなっていきます。オイルの油面を上げてやると空気の量が減りますから、圧縮で縮む許容量が少ない分すぐに硬くなる(見かけ上硬い)フォークを、逆に油面を下げて空気の量を増やしてあげるとググーっと沈み込んだときに硬くなる(見かけ上柔らかい)フォークを作ることができます。フォークにエアバルブがついているタイプは空気を注入してやると、フォーク内の空気が最初から加圧されて油面を上げた場合と同様の効果が得られます。
■バイクと体に優しいハンドルまわり
◆レバー
ブレーキレバーやクラッチレバーの調整はお手軽な調整なので手をつけた方も多いかと思います。レバー位置の調整だけでも乗りやすさは格段によくなりますね。レバー調整機能で一番近づけた状態でもまだ遠いと感じている方はレバーホルダー自体をちょっと上向きにつけてあげるとさらにレバー位置が近づきます。
それでもまだ遠いと思う方は‥ホンダ車でしたらブレーキレバーの調節用のリングを外してUの字にへこんだ部分を更に削りこんであげるとかなり近づきます。カワサキ車などダイヤルを回して調整するタイプは、穴を深く穿ってみたりピンの方を削るともうちょっと近づきます。転倒するとレバーが曲がる、ということでレバーはかなり強く転倒時に路面に打ち付けられている事が分かりますが、ブレーキ側は運が悪いとマスターシリンダのピストンを変形させてしまうことがあるので先端を切り落としている人も居ます。ただし、車検には通りませんし、レバーがショックを受け止めない分車体へのダメージ負担が強くなります。
◆ハンドル
ハンドルを右フルロックまで切るとアクセルをあけにくい、左ターンでアクセルが遠くなる、など気になるときはハンドルの角度を変えてみましょう。セパハンの場合はストッパーがついている場合が多いのでハンドル位置をあげる、とか場合によってはストッパーを削るなどが考えられます。パイプハンドルの場合はハンドルポストのネジをゆるめて手前や奥にに動かすだけでもかなりフィーリングは変わってきます。ハンドルパイプ自体を内側に絞るように曲げるのも改善方法の一つです。ハンドル切れ角が少ないと思う方はハンドルストッパーを削るのも手ですが、あまり削るとフロントフォークがラジエーターやフレームに当たりはじめるので注意。当たらないようにぎりぎりに削ったつもりでも転倒のショックで内に入ってラジエーターが変形してしまう、ってことはよくあります。
◆ワイヤリング
フロントタイヤを浮かせた状態でハンドルを左右いっぱいに切ってみたとき、抵抗がなければ問題ないのですが、ものによっては各種ワイヤーが抵抗になってスムーズに動かない場合があります。特にハンドル角度や高さを変えたときには純正状態だと引っかかる場合が多いです。そういうときは思い切ってワイヤーやコードの取り回しを変えてみましょう。それでもどうしようもないときは少し長いタイプに変更です。メジャーなどで全長を測っておき、いろいろなバイクのワイヤー類と比べてみましょう。アメリカンっぽいカスタム用のワイヤは長目だし、長さの表示をして売っているので便利です。
◆グリップ
グリップはなにも断面が丸くなくちゃいけないとは限りません。特に右フルロックの状態では手首が曲げられすぎてアクセルがあけにくいこともあります。そんなときは薬指や小指の内側や親指の先に突起をつくって、アクセルを回す、というよりは引っかける、または押すといった感じでスロットルをあけられるようにすると楽チンです。
■ライディングフォーム
速い人って、大概フォームもかっこよいですね。車体の挙動に対してあるときは従順に、ある時は積極的に人間自身の重量も走りに利用しているうちに自然にできてくるフォームだと思うんです。ここでは人間自身も車体パーツの一つとして考えてみます。
◆乗車位置(前後)
バイクは重心位置が大体タンクの真下、エンジンあたりに作ってあります。そのため、フラフラするような極低速では前の方に座ると人間の重さが重心位置に近づくのでコントロールしやすく感じます。ただ、これでは強くは曲がれません。バイクが曲がるのは‥車体が傾くことによって車体に固定されているリアタイヤが傾けられ、丁度円すいを転がすと頂点側にカーブしていくようにタイヤの側面が路面とあたることで傾けた方向へ車体が曲がろうとしはじめて、仕方なくフロントタイヤがパタンと内側に倒れてくる‥という原理になっています。強く曲がるためには最初の内向力を強くする必要があります。そこで、できるだけ後ろ側に座ってみましょう。そうすることでリアタイヤにかかる荷重が増し、フロントの荷重が抜けることでよりパタンと倒れやすくなります。ただ後ろに座るとハンドルが遠くなったりして逆に乗りにくくなるので頃合いを見つけて下さいね。
◆乗車位置(上下)
乗車位置をさげたり足つきを良くするためにシートのアンコを抜く方も多いと思います。ここでの注意点は、アンコを抜いて着座位置を下げると人間の重さが重心に近づいてしまう、ということです。重たい頭部が重心位置に近づくと、ロールのモーションは軽快に感じられますが、実は人間が車体の動きに関われる量が減るんです。重心位置が高いほど少しの荷重移動で車体に大きく影響が出ます。逆に高すぎるとロールが「よっこいしょ」といった感じになってしまうので、これも頃合いを見つけて下さいね。フォームでも改善できる面は多いと思います。
◆腕のかたち
車体が傾くことでハンドルが曲がる方向に入り込んできますが、腕でそれを突っぱねてしまうと折角生まれた曲がる力が損なわれてしまいます。特に曲がりはじめの一発目を突っぱねてしまうとダルーっとしたコーナリングになってしまいます。切れ込みが気になるようだったら空気圧やサスペンションをいじって気にならないようにして、左右に傾こうとするハンドルには一切力を入れないのが理想です。そのためには腕を「吊り下げる」つもりで上半身に気合いを入れましょう。肘は軽く曲がっているとハンドルの入りに素早く対応できると思います。
■ギア比
ここではジムカーナを前提とした話になります。レーサーのようにミッション交換できるほど恵まれた環境にあるならいざ知らず、一般的にはファイナル(チェーンとスプロケ)を交換してギア比をかえるのが一般的です。ギアつき自転車のミッションを思い出してもらうと分かりやすいのですが、前を小さく、後ろを大きくするとペダルが軽くなってローギア化します。自分のバイクのパワーバンドを考えて効率の良いファイナルセットを考えてみましょう。ただし、ギア比を下げすぎると頭打ち(レッドゾーン)が早く訪れるということになります。ノーマル比の計算式を記載しておくので参考にして下さい。(ノーマルR×変更後F)÷(ノーマルF×変更後R)×100%計算結果が90%の場合、ノーマルのローギアで100km/hまで出たバイクが、変更後は90km/hまでしか出ないということです。アファム:AFAM/フロントスプロケット
◆ドライブスプロケット
フロント15丁・リア45丁のバイクなら、フロント側を1丁下げることでリア3丁上げ分という計算になります。ただ、前側のスプロケットは丁数を下げすぎるとチェーンの折り返す角度が急激になってチェーンに負担がかかってしまいます。また、チェーンのラインが変わってスイングアームやチェーンスライダーに干渉し始めるので注意してください。スプロケットを小さくするとチェーンが余ってきて、その分リアタイヤの取り付け位置が後ろになってしまう点にも注意。
◆ドリブンスプロケット
ドリブン側で注意すること、大きくしすぎるとチェーンが足りなくなったりチェーンカバーに干渉し始めるという点です。
◆チェーンのこと
チェーンサイズは小さいほどフリクションロスが少ないのでよいのですが、強度が落ちてしまいますよ。また、Oリングつきのチェーンは保ちがよいですが、ノンシールのチェーンに比べるとネットリした抵抗があるのは仕方がありません。でもノンシールだと驚くほど寿命が短いです。スプロケットは520サイズのチェーンに対応した物が一番種類が多いようです。600ccクラスでしたら520でも強度的に問題ないと思います。

 

セットアップ中級編 ~発進・加速~

■実際の走行に関するセッティング
セッティングに関して、タイヤ・サスペンション、その他諸々のパーツごとにセッティングの方法を並べていこうかとも考えましたが、何のためのセッティングなのか、を考えてみたときに「バイクを走らせたときの挙動に対してのセッティング」とした方がわかり易いと考え、「加速」「減速」「コーナリング」に関わる各パーツのセッティングを記していくことにしました。
■発進・加速に関するセッティング
オートバイは物理法則にきれいに従って走るよう設計されています。スタート時には加重がリアに寄り、リアタイヤが地面に押しつけられて空転しづらくなっているんです。その際のサスペンションが縮むことによってタイヤの摩擦力だけでは負いきれない荷重を貯めておいてくれます。右の図は「アクセルONで荷重がリアに寄って、その力がリアタイヤにかかってグリップ力が増す」の図です。
◆ハンドルまわり
クラッチのつながる位置の調節はバイクに自分が合わせるのではなく、自分にバイクを合わせてください。同時にレバーの高さも大切。ホルダーのネジをゆるめて少し回転させてあげると思った以上にフォーリングはよくなっちゃいます(手の小さい人向け)。アクセルの遊びも自分のお好みに。遊びがありすぎると加速のための手首の返しが多くなるのでジムカーナには不適合。ダイレクトな加速感を味わいたい方は遊びゼロにしてみてください。その際左右にハンドルをいっぱいに切ってもアクセルワイヤが引かれてアイドリングが上がらないように必ず確認を。
◆チェーン調整
チェーンが弛んでいるとクラッチミートしたときに急激にチェーンが引っ張られて「ガツン」とショックが出てしまいますし、チェーンがタイヤを回し始めるまでの時間がタイムロスになります。またローギアでの「ガツン」はその場所だけチェーンが強烈に引っ張られるワケですからチェーンの片伸び(一部分だけ伸びちゃうこと)の原因になります。
◆リアサスのイニシャル(バネの締め付け度合い)
長所 短所
イニシャルを強く アクセルに対するリアの押し出し感がダイレクトに タイヤへの荷重負担が増えるので空転しやすくなる
イニシャルを弱く サスペンションが荷重を受け止め易くなるので乗り心地はよい 押し出し感が減る。サスストロークが増えるので挙動変化が激しい
◆リアサスの圧側ダンパー(サスペンションが沈もうとする動きに対する緩衝)
長所 短所
ダンパーを強く サスの動きが緩慢になるのでイニシャルが低くても挙動変化が少ない 高くしすぎるとサスの動きが悪くなる。乗り心地が悪くなる/td>
イニシャルを弱く サスペンションが荷重を受け止め易くなるので乗り心地はよい 押し出し感が減る。サスストロークが増えるので挙動変化が激しい
◆スイングアームの角度
リアのイニシャルを抜いたり、車高調節などでスイングアームが水平に近づいてくると、リアタイヤにかかる荷重は減ってくるので注意。効率よく荷重をリアに伝えるためにはある程度スイングアームの角度が必要です(オフロード車なんかが顕著ですね)。

 

セットアップ中級編 ~ブレーキング~

■ブレーキングに関するセッティング
ブレーキング時にもオートバイはきれいに物理法則に従って転びにくくなっています。減速時、荷重がフロントに寄ることによりフロントサスペンションが沈み込みます。バネが力を貯めこみ、フロントタイヤの摩擦力+バネの反力でタイヤがスリップするのを防いでいるのです。
◆ブレーキ回り
フロントブレーキレバーは市販状態だと遠い場合が多いです。調整機構つきのもので一番近くしてもまだ遠いという人は、調整機構のリングや爪になっている部分を削ったり、レバーホルダーをクラッチ同様少し上向きに取り付けたりしましょう。その際、フルブレーキングで指を挟んでしまわない程度にね。
リアブレーキペダルは普段足首に負担のかからない位置に調整。アクセルの遊びも自分のお好みに。遊びがありすぎると加速のための手首の返しが多くなるのでジムカーナには不適合。ダイレクトな加速感を味わいたい方は遊びゼロにしてみてください。その際左右にハンドルをいっぱいに切ってもアクセルワイヤが引かれてアイドリングが上がらないように必ず確認を。
◆タンク
減速時にからだが前に寄ってしまうのを腕で受け止めちゃう人は思いきって改善しましょう。ひざとくるぶしで体が前へ寄ってしまうのを支えて下さい。タンクが滑ってしまうという人はウレタンやゴムのパッドを貼るとびっくりするほどホールド感が増します。
◆フロントサスのイニシャル
長所 短所
イニシャルを強く ブレーキのフィーリングが良くなる(様に感じる) タイヤへの荷重負担が増える分、スリップしやすくなる
イニシャルを弱く タイヤへの荷重負担が減る分、スリップしにくくなる サスの挙動が増える。その間の安心感がない
◆フロントサスの圧側ダンパー
長所 短所
ダンパーを強く サスペンションの動きが落ち着く サスの動きが鈍くなるのでタイヤの荷重変化が増える
イニシャルを弱く 次にコーナリングするとするとキャスターが立つ分曲がりやすい状態にできる 伸び側ダンパーとのかねあいがあるけど、柔らかくしすぎると挙動が激しくて運転が難しくなる

※イニシャル・圧側ダンパーを弱くすると減速時のサスペンションの挙動変化が激しくなり、サスが落ち着くのに時間がかかるので次へのモーションが遅れてしまいます。が、これはコーナリングに関わることなので、伸び側ダンパーのセッティングとあわせてコーナリングの項で説明します。

◆フロントタイヤの空気圧
タイヤの空気圧が低いと接地面積が増えるのでグリップが増しますが、空気圧によってタイヤ形状や路面への反力が変わるとグリップだけでなくハンドリングが大きく変わります。

 

セットアップ中級編 ~進入とコーナリング~

ジムカーナの場合一つのコーナーを曲がるための順序を「減速→旋回→加速」という普通のライテク講座などに載っている3大要素で分けて考えずに、「進入→脱出」と考えます。減速しながら旋回して「進入」、旋回しながら加速して「脱出」という感じで走ります。

■進入時のコーナリングに関するセッティング(フロント)
進入は主にフロントに気を使います。ハードなブレーキングでリアがホップしようと流れようと、フロントさえグリップしていてくれれば何とかなります。ブレーキングで思い通りに旋回してくれて、かつ、グリップ感を維持できるセッティングを目指して下さい。

突き出し量を増やす トレール量(バイクが直進しようとする力を生み出すオフセット)が減り、キャスター角(フロントフォークの角度)が立つのでクイックなハンドリングになる。
突き出し量を減らす 増やすことの逆です。

突き出し量を増やすことによって「フロントが曲がりやすい」バイクを作ることができます。ネガティブな面ではハンドルの切れ込み感が強くなっていくことと、タイヤが重心位置に近づいてきますからフロント荷重になりやすいという点があげられます。荷重については人間が後ろに座ることによって解消されますね。も一つおまけで、突き出しを増やしすぎるとフォークが沈んだときにフロントフェンダーが車体にぶつかることもあるので注意。そうそう、車高が下がるから車体接地も増えるぞ。

◆イニシャル
フロントフォークのバネの加圧調整です。進入時は減速していますからフロントに荷重がかかってきます。そこでフォークのバネが縮み始めることでキャスター角が立ってきてバイクがより曲がる形に変化します。ホントに良くできてますよね。このバネにイニシャルをかけて見かけ上硬くしてやると、ブレーキングの荷重がかかってもキャスターが立ちにくくなりますからハンドルが切れ込みにくくなります。悪く言えば「曲がらない」だけど、良く言えば「より強くブレーキングしても良い」状態です。ワインディングなどの走り屋さんなどは加圧してやって路面からの情報をダイレクトに受け止めながら強くブレーキングしていけばよいのでしょうが、ジムカーナの場合ブレーキングは極力したくないので(<特に軽量車の場合)、イニシャルは走り屋さんのようにかける方向ではなく、むしろ抜けるだけ抜く方向で考えても良いのではないかと思います。が、この辺りは走り方によって設定が別れるところです。

◆ダンパー
減速時のダンパーですから圧側のダンパー調整です。調整機構が付いていない場合はオイル粘度で調整。バネを柔らかくしてもダンパーを硬くしたら「動きが鈍いけどよく沈むサスペンション」ができます。下に相関関係を表でまとめてみました。。

イニシャル強 イニシャル弱
ダンパー強 硬いフィーリングのサス。剛性感があるけど曲がらない。下手するとフロントがいきなり滑る。 曲がりやすいけど、下手すると切れ込むハンドリング。フロントの反応悪くて、細かいセクションが苦手かも。
ダンパー弱 ブレーキの入力にダイレクト感。でもアンダーステア。 曲がりやすいけど、切れ込みやすくなる。挙動の変化が激しくて操作が難しくなる。

‥なんだかどれをとってもネガティブだなぁ‥。丁度良いトコ、見つけてね。

◆油面
フォーク内の空気の量の調節です。サスが沈むとフォーク内の容積は小さくなります。そこでフォーク内の空気が加圧されるわけですが、空気が多いとたくさん加圧を許せますね。少ないとすぐパンパンになってしまいます。ということは‥

油面アップ(空気少) すぐ踏ん張るフォーク。これによってストロークを少なくできる(挙動変化が少ない・すぐ落ち着くフォーク)。フィーリングは硬い。
油面ダウン(空気多) フォークが沈んでいく程に踏ん張りの出るフォーク。ストロークも多い(挙動変化が多い・曲がりやすい・切れ込む)。フィーリングが柔らかい。
◆タイヤの空気圧
フロントタイヤの空気圧は進入のハンドリングに関してとても大きな位置を占めます。

長所 短所
空気圧を上げる フィーリングが軽快になる。切れ込み感も無くなる。 接地感が減ってアンダーになる(結構不安)。
空気圧を下げる フロントがよく曲がってくれる。ベタっとした安心感が生まれる。 ハンドル操作が重い・切れ込む。
■進入時のコーナリングに関するセッティング(リア)
◆イニシャル
理屈がわかりませんが、以下のとおりです。

イニシャルをかける 切れ込み感がなくなります。
イニシャルを抜く 切れ込みます。

おそらく、イニシャルが抜けることでリアの挙動が大きくなって、立ち上がりで大きく沈んだリアがブレーキング&進入で大きく伸びる分、フロントに荷重がかかるからかな、って思っています。

◆ダンパー
ブレーキング時のリアダンパー調整ですから、伸び側のダンパー調整です。

ダンパー強 伸びが遅くなる分、フロントに荷重が移行するのが遅くなり、切れ込み感が弱まります。路面追従性が落ちるのでテールが流れやすくなります(ドリフトするという意味では「曲がるバイク」になる)。
ダンパー弱 切れ込み感が増しますが、伸びが速い分ブレーキング時のテールスライドが少なくなります。グリップ走行主体のセッティングです。

◆車高調節
高級サスになるとサスペンションの高さを変えて車高調節ができます。これによって、腰高なマシンがつくれます。お尻があがる、ということはフロント荷重になりますからより曲がるバイクが作れますし、前のページで述べたとおり、スイングアームが立ってくるので荷重がタイヤに伝わりやすくなりその後の加速の荷重も有利です。

 

セットアップ中級編 ~脱出とコーナリング~

脱出はリアが主体です。リアが滑って転ぶ、ってのが一番多い失敗。フロントは浮いてもリアさえグリップしていてくれればなんとかなります。

■脱出時のコーナリングに関するセッティング(フロント)
◆ダンパー
伸び側のダンパー調節です。加速時はリアに荷重が寄りますからフロントフォークが伸びてきますね。

ダンパー強 フロントが沈んだままで居てくれるので曲がりながら立ち上がることができる。路面追従性が落ちるので接地感が薄くなる。曲線的なライン取り、加速力の無いバイク向き。
ダンパー弱 フロントが速く伸びるので路面追従性が高くて安心感がある。直線的なライン取り、加速力のあるバイク向け。
■脱出時のコーナリングに関するセッティング(リア)
加速時にリアに荷重がかかって、サスが沈みます。◆イニシャル

イニシャル強 サスが沈まない分、タイヤにダイレクトに駆動力が伝わって押し出し感が強くなる。タイヤの負担が強くなる分、負荷が負いきれなくなったらテールが流れる。
イニシャル弱 加速荷重に対してサスが受け止める分量が多くなってサスが落ち着くまでの挙動変化が激しく、その間加速感が少ない。タイヤの加圧が少なくなるので強く曲がれない。

◆ダンパー
圧側ダンパーの強弱は、基本的にイニシャル調整と同様のフィーリングがあります。

ダンパー強 サスが踏ん張る分、押し出し感が強くなる。
ダンパー弱 サスが沈み込んで踏ん張るまでの間、押し出し感が弱い。

最初にも書きましたが、セッティングは「バイクを速くする」ことではありません。自分の走りにあわせて「バイクを走りやすくする」ものです。

セッティングで注意する点は2つ。まず、自分の走りの好みが見えていないうちにセッティングをいじっても目標がないわけですからセッティングの出しようがないです。練習を重ねて、「なんだか乗りにくいなぁ」と思うことがセッティングの必然性の第1歩です。
もう一つは、運転技術が上達するに連れてセッティングは変わってきます。空気圧やサスセッティングは昔ベストだと思っていたものが現在ではベストではない、ってことが結構あります。常々自分のフィーリングを信じて運転するのに不具合のないように調節してやって下さいね。

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タイムアップ講座

タイムアップ講座

30秒アップ講座

●まず最初に
まずエンストしてポテっと転けるのを防ぐためと立ち上がりをスムーズにするためににアイドリングをあげてみて下さい。ナナハンで2000回転、400ccで2500回転、250ccで2800回転あたりを目安にご自分が扱いやすい状態にしてみましょう。ローでスロットルを全閉しても安心してバイクがするする進むくらいにしておくと、低回転での恐怖感が和らぎます。
●ブレーキをかけよう
練習会などで初心者の方の後ろを走っていてよく見かけるのが、ブレーキランプがゴールの時くらいにしか点かない人。何故ブレーキランプがつかないかというとエンジンブレーキで事足りるくらいしか加速していないからなんですね。
ブレーキをかける技術がないとアクセルが開けられなくなる、そうするとブレーキをかけなくなる→アクセルを開けられない→ブレーキを‥の悪循環の始まりです。ですからまずは各コーナーの手前では止まっちゃうくらいブレーキをかけてみましょう。いくらなんでもバイクが止まりそうになったらアクセルあけるでしょう?
●アクセルを開けよう
トップタイムが1分30秒程度のコースでまともに走ってきてもトップに1分以上はなされているとしたらアクセルの開けが間違いなく足りません。とりあえずバイクが前に進まないとゴールには到達できませんから、アクセルを開けられるっと思ったところでは確実にアクセルを開けるようにして下さい。それも出来るだけグググイッッと。一つのコーナーごとに1秒縮まったとしてもコースを1周してきたら30秒は確実に縮まります。
アクセルを開けられるようになるとブレーキもかけざるを得なくなります。こうして、すこしづつメリハリのあるライディングにしていきましょう。

■コース外での課題

  • ローギアでレッドゾーンまで一気に引っ張ることが出来るようになること。
    ナナハンだってローで引っ張っても100km/hくらいしか出ませんから恐がらずにどうぞ。
  • グググッと加重が前に寄って、フロントサスペンションを沈める感触を得ながら停まれること。特にフロントサスペンションを沈めるってのがミソです。

コラム:フロントサスの話
サスペンションはでこぼこ道でショックをやわらげる緩衝機構としてのみ思われがちですが、バイクの場合は特に転ばないためのモノでもあるんです。走行中にバイクが転ぶ原因のNo.1はタイヤのスリップ。タイヤのスリップは何故起こるかというとタイヤにかかった負荷に路面とのグリップ力が追いつかなくなって滑り始めるから、というのはいうまでもありません。
タイヤのグリップ力はゴムの柔らかさ、つまりゴムの摩擦力(と中の空気の弾力)で路面に食いついているんですが、こいつらの力というのはたかが知れています。そこでフロントフォークのバネでタイヤを地面に更に押しつけることによってタイヤがスリップするのを防ごうというわけです。
机の上にゴム板をおいて下さい。それをそのままスライドさせて動かすのと、その上に5kgの重りをのせて引きずるのでは‥どっちが滑りにくいか明快ですね。これをブレーキングに置き換えると、フォークを沈めない状態とフォークを地面に押しつけての状態とではどちらがスリップダウンの危険性を持っているかおわかりかと思います。
安全に走るためには減速のためだけでなくフォークを沈めるためにブレーキをきちんとかける、ということです。

●コーナリングにプラスα!
よくあるライテク本によると「‥コーナー手前では充分減速してからブレーキをリリースしてコーナリング、アクセルを開けながら加速して脱出‥」という「ブレーキング・コーナリング・アクセルON」の黄金コンビが健在ですが、これは一般道のようにコーナーの径が大きい場合のはなし。ジムカーナのように極端に小さなRを回らなくてはならないときはブレーキングしながらコーナリング・コーナリングしながらアクセルONをプラスしちゃった方が効率的です。つまりブレーキをかけながらバンクした状態で進入し、アクセルを開けながらバンクしたまま立ち上がる。
ここであなたが不安になるのは「バンクしたままブレーキかけたら転ぶんじゃねーか?」「バンクしたままアクセル開けたらリアがスリップするんじゃなねーか?」ってことですね。答えは簡単、転ぶほどヤらなきゃいーんです。
練習としては広い場所で直線加速します。そのまま少し寝かせてアクセルオフしてエンジンブレーキをかけるとあら不思議、速度が落ちて行くに従って自然にハンドルが切れていって旋回半径が小さくなります。この際、バンク角は一定でハンドルに力を入れないのが条件です。この理屈は10円玉を斜めに転がすとはじめ大きな円弧を描いていたのが速度が落ちるに従ってだんだん円弧が狭くなってやがて中央でグルングルン回ってパタっと倒れてしまう、あれです。あれが自然の摂理なのです。
最初は緩くかけるブレーキングで良いですから10円玉のようにだんだん小さくなっていく円弧を体感して下さい(あ、最後のパタっはなくていーですよ。あと自然の摂理に逆らおうとすると転んじゃいますよ)。そのうちにだんだん強くかけていくようにすれば良いだけです。このときフォークを沈めることも忘れずに。今後何かと便利なので、これをフルロック(ハンドルをいっぱいに切るところ)付近まで出来るとステキです。
アクセルの方は、円弧が小さくなりきったところでそのバンク角を維持したまま少しずつ強く開けていけるように練習です。ちなみに、ハイグリップラジアルタイヤを装着しているジムカーナ上級の人たちは、ステップガリガリ状態のフルバンクからでもローギアでアクセルをドバっとあけて立ち上がっていきます。ちゃんとしたタイヤで荷重がかかっていればそうカンタンにはスリップしないものです。
このコーナリングで大事なことは、ブレーキングしながらの旋回・アクセル開けながらの旋回で自分の技量と自分のバイクでどのくらい曲がるのかをつかむことです。

コラム:タイヤの話
タイヤは大事です。だってバイクをいくらチューンしたってタイヤが悪かったらパワーは路面に伝わらないしハンドリングも悪くなるんですもの。
上のコーナリングの練習で「バンクさせてブレーキかけると乗りにくくなる(切れ込む)」「バンクさせにくい」とった症状を感じたらタイヤの空気圧を疑って下さい。多分規定値よりかなり低くなっているでしょう。ガソリンスタンドで空気は補充できますからまずは規定値に戻して挑戦してみて下さい。それでもおかしい場合はタイヤの変磨耗かもしれません。だとしたら即交換です。

僕も競技始める前は空気圧なんて年に数度しか計っていませんでしたが(‥みんなそんなもんだよね、はじめは。え、僕だけか?)空気圧はバイクのハンドリングを大きく左右します。メーカー規定値が基本なのかもしれませんが、ここはそれをちょっと無視して自分の好きな感じになるようにいじってみて下さい。空気を少なくするとタイヤがつぶれますから接地感は高くなるけどハンドリングが重くなる、空気を多くするとその逆です。気に入った結果が規定値と比べて違っていても気にしないで下さい。それがあなたのベスト状態なのですから。ただ、この空気圧によるハンドリングの設定はお手軽ですから是非まめにやって下さい。技量が向上するにつれて好みのハンドリングも変わってきます。常に自分のお気に入りでいられるように。

そこそこ走れるようになってきたら是非ハイグリップタイヤも試してみて下さい。ラジアルが履けるようだったらラジアルも。タイヤが変わるとバイクが別物のようになりますよ。

3秒アップ講座

●次にすること
次は実際にジムカーナで基本となる走りのライン取りやそのポイントについてです。何気なくパイロンを目標にして走るのではなく、「自分がマシンをこう動かしたい!」という目的をもって練習してみてください。
■楕円旋回(オーバル)
パイロンを2本立ててその回りをぐるぐる回るだけです。注意点は進入を大きくとって立ち上がり時にパイロンに最接近するラインを会得すること。ポイントはなるべく早くアクセルを開ける(のが可能なラインを探す)ことと小さく回ることです。自分は練習時まずオーバルを描いてハンドルの切れ込みを調べ、タイヤを片面ずつ暖めます。パイロンの間隔を狭くしてシビアな進入の練習、広くとるとアクセルをドンっと開ける練習になります。ここでバイクの旋回半径を感覚的に掴んでおくこと。
■8の字
パイロン2本立てて8の字に回るだけでブレーキングしながらのコーナリング、コーナリングしながらのアクセルON、切り返しが楽しめちゃうんだからお得な練習方法です。これもライン取りを最優先に出来るだけ速く、小さくを目標にして下さい。
■4本8の字
長方形の4ツ角にパイロンを立てて対角線でクロスするように大きく8の字を描きます。立ち上がり時にパイロンに再接近するライン取りで出来るだけ速く、というのは上に同じです。ここで特に注意するところは外周は同じ方向のターンが2回続きますね。そこで車体を起こさずにバンクしたままアクセルのONとブレーキングだけで旋回半径のコントロールをする感覚を掴んで下さい。車体が外周で起きるということは切り返したあとのターンで曲がりすぎということです。
切り返し~次の進入ではアクセルのONと共に車体を起こし、反対側へ倒しこんだ時の車体の沈み込みとブレーキングを利用してしっかりとサスを沈めてから安心感のあるターンしましょう。
この練習方法は僕がジムカーナ始めたばかりのころ大先輩に「ラインが蝶々のようにならなくちゃいけない」っていわれたのが印象的です。
■スラローム
右図のようにラインを考えて下さい。次に曲がるパイロンからなるべく離れて立ち上がり、パイロンの横でアクセルを開けられるように。下図のようにパイロンを通り過ぎてからアクセルを開けるようでは次から次へとアクセルを開けるタイミングが遅れる悪循環が起こってしまいます。途中から修正はきかないので進入第1で考えましょう。ジムカーナでは教習所のようにスラロームの間隔が一定とは限りません。いろいろなパターンを想定して練習して下さい。
上級編:本番では別のセクションからブレーキングして進入してくることが多いと思うのですが、スラロームの1本目をめがけてブレーキングを終わらせるのではなく3本目くらいまではブレーキをかけながらニュルニュルっと進入してスラロームをする速度になった時点からスラローム気分になると、6本スラロームくらいだったら1・2本スラロームしただけで済んじゃいます。多少進入で失敗しておつりもらっても残り2本くらいだったら大したことないし。
■コンビネーションスラローム
ライン命です。スラロームと同じく進入で失敗したら悪循環の始まりです。ターンを小さく素早く行うのがタイムアップのコツ(オーバルで練習)ですが、パイロンの間隔が狭いコンビネーションは切り返しのスピードも要求(狭くした4本8の字で練習)されます
■クランク・S字
教習所をコースとして使っている場合、クランク・S字をコースに織りまぜているところは多いと思います。コツは「なるべく減速しない(ブレーキをかけない)」「何もできない時間を少なく(コーナリングのみの状態・パーシャル状態をなくす)」です。
よほど大きなクランク・S字を除いてメリハリをつけてアクセルを使えば切り返しの時にブレーキングは不要です。切り返しの加重を利用(リアサスペンションの項参照)して一気に立ち上がりましょう。
■回転
小回りするにはまずフルロックでターンできるようになって下さい。難しいと思った方はアイドリングを少しあげ目にして。
異論はありますが僕は強烈ニーグリップ&リーンアウトをお勧めします。車体は回転の内側に落として、上体は外側に。右ターンでしたら遠くなる左ハンドルを持つ腕は伸びきって、右脇腹もノビノビ。ニーグリップが弱いと車体が不安定になったときにコントロールが出来なくなって更に恐くなっちゃいます。アクセルは軽くあてる程度で、リアブレーキでのコントロールですが慣れたらアクセルでもコントロール可能です。
上級者にはダンサーの回転の様に半周ごとに首を真後ろに振って1点を見つめ、車体がその向きになったらまた後ろを向いて‥という動作をする人がいますが、回転のタイミングをはかる上では有効です。何より目が回りにくいしね。
上級編:回転セクションでタイムを稼ごうと思ったら回転の練習をするだけではだめです。回転までの進入と立ち上がりも同時に練習しましょう。スラロームと同じく、回転セクションへのブレーキングしてきながらの進入で惰性でグルっと回っておけば運が良かったら180°は稼げます。そこからスピードがおちついたところで回転開始。一度回転が始まっちゃったら終わるまでどーしようもないもんね。
■足つきターン
足つきターン動画フルロックの回転ができるようになったら回転方向の足を軸にしてクルクル回ってみましょう。といってもハンドル切れ角のあるマシンならひょいっと足をついてまわれますが、レーサーレプリカなどは回転径が大きいので大変です。足をリアタイヤの後ろの方の地面について体を支え、車体から加重を抜いてバンク角を稼いで転がします。この際、タイヤの状態さえ良ければステップを擦ろうが車体がこすれようが相当バンクさせてもリアタイヤが回っている限りそう簡単には転びません。転ぶとしたらフロントタイヤがグリップを失って逃げるパターンが多いのでフロントタイヤへの意識を集中しましょう。
これはバイクが常に内側に倒れようとしているのをリアタイヤが前に押し出すもんだからいつまでたっても倒れられない‥丁度10円玉のグルングルン(コーナリングに+α!の項参照)がスピードを失わずにいつまでも続く状態です。
慣れてくると片手で、更にアイドリングがうまくあうと両手放しも可能です。

コラム:リアサスの話
フロントサスペンションの項でも触れたようにリアサスもタイヤを押しつけるために有効です。その効能は‥リアタイヤのスリップ防止です。アクセルを開けるとリアに加重が移り、リアサスが沈みます。おかげでリアタイヤは路面に押しつけられ、空転せずに路面を蹴ることが出来るわけです。うまくできていますね。
切り返しの時など‥そうですね、スラロームを思い出して下さい。左ターンでパイロンをクリアしてアクセルON、車体が浮き上がって次は右側に倒しこんでいきます。右に倒れたその瞬間、リアサスが一瞬沈むときがあるの分かりますか?期を逸してしまうとその反動でリアがのびて来ちゃうんですけど、その沈んだ瞬間に次のアクセルを開ければかなり強く開けてもリアが滑らずにすむんです。
ブレーキングではフロントサスの動きを、立ち上がりではリアサスの沈み込みを感じながら走ってやると安全に効率よく速く走れます。

0.3秒アップ講座

●最後に
バイクがとりあえず意のままに扱えるかなっってトコまで来たあなたは走ることなら充分楽しめる状態ですね。そこで、ここから先ジムカーナでタイムを詰めるための浅知恵を紹介します。
■あなたの達成度は?
1)速く(うまく)なりたいという気持ちを持つ。
2)バイクが走る状態に(普通に整備)出来る。
3)練習会&大会に(積極的に)参加する。
4)「まずまずかな」っていうくらいバイクをコントロールできるようになる。
5)んでもって、自分の技量を正確に理解する(「この速度で進入したらこのくら
いで曲がれる」、「自分の回転の直径」とか実践出来るデータを正確に)。
6)バイクがもっと走れる状態になる(自分のフィーリングに合わせられる)。
7)自分の技量の理解に基づいてラインを組み立てる(一般論で考えない)。
8)稼げるポイントを見つけられるようになる。
9)下見でつくったベストラインに自分を乗せられるようひたすら精神修行する。
10)未知の領域です。どなたか教えて下さい。このコーナーは5)以降に該当する方へのアドバイスです。
■技量の理解
コースをぐるぐる走り回って、以前追いつけなかった人に追いつけるようになるのは上達が実感できてなかなか嬉しいモノですね。そうして走り込んでいくうちに前を走る人からラインやアクセルを開けるタイミングを盗んでいくのも上達のコツです。
しかし、ジムカーナのタイム計測はコースの下見歩行したあとは2本走るだけ、しかも前を走る人についていくわけにもいきません。ここで提案なんですが、コースをぐるぐる走っているときに「自分がこのスピードだったらここからのブレーキングで曲がれるな」というのを確かめながらその情報を蓄えていって下さい。実際のタイム計測は走り込みでは練習できない小旋回や回転もあります。これは広い場所で別に練習して自分の最小旋回半径や進入スピードに対するターンの大きさ、ターンの大きさに対する進入位置等のデータを蓄えます。何度も練習して確実に正確な自分の力を理解して下さい。
タイム計測では自分が思い描いていた力と実際のでき具合を比較して、「極限状態では自分がどの程度力を出せるのか」を正確に理解して次へ活かせるようにして下さい。
■バイクのセッティング
「もっと曲がればいいのに」とか「軽いフィーリングにしたい」とかいうのはほとんどセッティングで調整出来ます(車種による物理的な限界はもちろんありますけど)。セッティングで勘違いしてはいけないのはセッティングとはバイクを速くすることじゃないんです。自分の走りにバイクを合わすこと、そのおかげでスムーズに走れてそのおまけでタイムがあがる、ってもんです。
セッティングは水物で、一度出したセッティングがずっとその先も良いかというと、まず間違いなくそのようなことはありません。その日の天気やコース、気分によって常に「ベスト」は変化します。大事なことは、自分の走りを理解して、欲しいセッティングを出せるようにトライ&エラーを繰り返すことです。
■下見歩行とイメージトレーニング
当日の下見歩行はコースを覚えるためだけのモノではありません。むしろコースをどう攻略するかの査定の時間です。自分が走行可能なラインをいかに組み立てていくか、という感じです。ですから、コースを上から見た状態で覚えていくよりもむしろ実際の視点で進入位置(向き)を確かめながら覚えていく方が実戦的でしょう。コースを覚えられないのはコース全てを覚えようとするからです。進入の位置(向き)さえ覚えておけば途中は覚えなくて良いところがたくさんあるはずです。
このときに悩ましいセクションもたまにあります。2・3種類のラインが考えられるセクションです。このときの優先順位は‥1)アクセルを早く(長く)開けられる
2)(目的のパイロンの手前、または次のパイロンに対して)進入を大きくできる
3)走る距離を短く出来るの順で決めてます。2と3はバイクによって違うかも知れませんねぇ‥これは非力なバイク用だと思います。このことを各コーナー、パイロンごとにチェックします。例えば狭いセクションだとアクセルを大きく開けられません。その場合はその前後が楽に進入・脱出できる様なラインを考えて、それも無理なら出来るだけ走る距離を短くすることを考える、という感じです。大きなセクションはそこから脱出するときの「向き」を最優先で考え、そのセクションの中身はそこからの逆算です。その「向き」に持っていけるようにラインを組み立てるんです。
慣れてくると一つのコースの中に10カ所は稼ぎどころが見つかると思います(スタートの向きに始まりゴールに飛び込んでくる角度まで)。さすがに2分弱のコースで全部を完璧に覚えてこなしていくのは忙しいので、僕の場合その中から脱出で最もアクセルを開けられる順に3・4つ選び、そこだけは確実にこなすようにします。残りの6・7個所のセクションは出来ればラッキー程度に(といっても捨てませんけどね)。
下見は僕の場合

1回目の下見でコースを覚えるのとセクションの確認。
2回目でセクションごとに立ち止まってライン作成。
3回目で理想ラインを歩く。
4回目では関係ないところをとばして重要セクションの研究。

です。
歩くことよりも目をつむってイメージトレーニングして、どうしても思い出せないところだけを見て回ったりもします。そうして1ヒートにはバイクの挙動のことだけを考えられるようにします。

■精神修行
技術も高まった、マシンもセット出来る、ラインも組み立てられる‥と、この次に待っているのは本番で狙ったとおりのことが出来る、という精神力です。
燃えるとアクセルの開けもワイドになります。前にぐいぐい進んでスピードはあがるでしょう。でも、反面コントロールやライン取りがラフになったり下手すると転倒しちゃったりします。逆に燃えないと何してきたのか分かんない大会になっちゃいます。
ジムカーナで大切なのはこの闘志と冷静さをバランス良く本番で発揮できる精神力を持つことだと思うんです。
初心~中級者の方へいいたいのは「いつも以上のことを狙うな」ということです。どんなに本番で頑張っても頑張ればガンバルほど自分の実力を出し切れないでおわった感を持つと思います。たとえ実力以上の力が出せたとしても自分の予測を越えた高いリスクの上にあるはずです。ここはむしろ普段の練習で血のにじむような努力をして、本番でその通りの力を出すことを考えてみて下さい。
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