CRF250L 3月の九州野宿旅(3日目)

朝、CRFの上にまじめなおかしミレービスケットが置いてあった。どなたか存じ上げませんが地域の方の優しさを感じました。

頭スッキリ、気力もシャッキリ。昨日までの体調不良が嘘のようです。旅の途中の睡眠って大切。

5時半スタートで、目指したのは来た道を少し戻ることになるけれどもちろん日南フェニックスロード。東の太平洋側が大きく開けた海岸線から登ってくる太陽を見ながら疾走するなんて、ロマン溢れかえるじゃないですか。

海岸線の鬼の洗濯板に反射する朝日とか、最高‥なんて考えていたら、待てよ、その最高のロケーションはここじゃないぞ、と思い立って、

青島へやってきました。島全体が鬼の洗濯板に囲まれた島です。

でも、うーん、思っていたのと違う‥本当は桃色に輝く海面と黒い岩のコントラストの利いたシマシマの絵をイメージしていたのだけれど、朝焼けの色が薄いんだな。黄砂がめちゃくちゃ飛んでるという予報だったしな。

鬼の洗濯板は硬い砂岩は波風に耐え、間に挟まれた礫を含む層がボロボロと崩れて縞模様をつくっています。

落胆して帰ろうかと振り返ると、太陽が昇ってきました。昇ってきたというか、水平線からウニューっと生き物のように伸びてきた感じ。

直視できる明るさだったので、水平線からぷつりと切り離されて浮かんでくるまで眺めていました。直視し続けたことで、生まれて初めてあの輝く球を、遠方にある恒星だと飲み込めたように思いました。地球の100倍もある大きさの玉を、ものすごい距離から見ていることを頭の中できれいに理解したように思います。

九州に良い道は数え切れないくらいありますが、悪い道の代表と言えば延岡〜宮崎間の国道10号線だと思っています。追い越しができず、ただひたすら南北の移動のためにだらだらと走り続ける地獄の100km。北から降りてくるルートでは、その先に続く宮崎を境とした日南フェニックスロードの素晴らしさを引き立てるために何役も買っているんじゃないかと思うような、どうしようもない道です。逆に宮崎方面から北に行く場合、天国から地獄に突き落とされるような、そんな道。

本当ならこの道を避けるために宮崎から左上に抜けて日本の秘境椎葉を超えて阿蘇へ向かおうと考えていたのですが、たまたま開いたYahoo!地図を見ると椎葉の南側が通行止めじゃないですか。そうなると阿蘇へ向かうには高千穂を通るルートになるので、いやでも車の後ろにひっついて国道10号線をしばらく北上することになる。

ところが。経験を積むってこういうところで活きるんですね。国道を通らない海岸線の道を選んでみると、ひたすら田畑の中を抜ける交通量のほとんどない快走路じゃないですか。気が向いたらふらりといつでも太平洋の潮騒を感じる海岸に出ることができます。

3月だというのに、田植えが終わってる。小学生の頃に習った二期作ですね。50年近く経って学んだ知識が経験とつながったよ。

真面目にきっちりと延岡まで北上してから高千穂を目指す国道に準じたルートを選ばず、日向の手前から山の中へ入りこんでショートカットなんだか走行距離を増やすんだか分からないような道を抜ける先々で、川沿いのダートやら満開の桜やらを抜けていくことができました。

有名なところに立ち寄るわけでもなんでもない区間ですが、交通量もほとんどない道を時間をかけて走ることが楽しい。日差しの下を走っても暑くもない。GW頃がバイクのハイシーズンだと思っていたころもありましたが、ジムカーナもツーリングもこの季節が一番辛さを感じず純粋に楽しめるんじゃないでしょうか。

ドローンの映像のよう。下の旧道を新道の高架から見下ろすところ。旧道の方が断然面白そう。

矢筈岳展望所というところがあったのでウネウネと登ってみました。

山肌に山桜を這わせた豪快な風景。このあたり、ロッククライミングができる花崗岩の山だそうで、対岸の山の展望所も景色がよさそうです。北の方には矢筈岳トロッコ道という素掘りのトンネルがあったり、掘り下げ甲斐のあるエリアです。阿蘇からもそう遠くないので、また訪れたいところです。

そんなローカルな風景を楽しんだり、人の集まる観光地へ来てみたり。

標高が上がっても桜の足が遅くなっている感じもありません。これは、もしかしたら、高森のサクラミチが最高に最高なのでは‥!?

最近阿蘇に来るときは毎回立ち寄って写真を撮っている根子岳さくら通り、残念ながら1週間早かったという感じでしょうか。この一帯、いろんな種類の桜を植えて、長く楽しめるようにしているようです。

花にはまだ早かったように思いますが、一応ハイシーズン対応で、道を規制してイベントも行われていて、人と車があふれていました。

そしてその背景、ラクダ山が燃えています。

阿蘇の山肌も燃えています。野焼きの時期なのですね。3月に阿蘇へ来るのは初めてなので、阿蘇の野焼きの現場を見るのも初めてです。

箱石峠。春と夏の緑も様子が違いますが、秋のうっすら輝くススキ野原が、冬を超えるときれいなキャメルカラーの山肌に。

普通に考えると春の若葉が一番綺麗と言えるのでしょうけれど、これはこれで、ムラなく染まっていてとてもきれいです。

本当にまるっきり頭の中にある阿蘇のイメージと色味が違っていて、情報のアップデートが追い付かなくてとても新鮮に映ります。

そう思いながら進んでいくと、こちらは野焼きの真っ最中で、焼き立てほやほやの真っ黒な山肌になっていました。

ここも好きな道なんだけれど、印象が全く変わってる。

焼いてしばらく経ったところは光を吸い込むような黒々とした色は抜けて、落ち着いた色になっています。

阿蘇はそもそもの日常離れした異世界感が半端じゃないところですが、ここでは低地の緑と入り組んでくすぶった色の丘の風景が新しい異世界感を作り出していました。

場所によっては路面まで熱気が伝わるところも。サーカスのライオン‥って頭によぎります。

ああ、とても荒涼感がある。

雲が多いせいもあるけれど、この色味の弱い世界が後1か月で緑の丘に代わっていくというのがちょっと信じられない。

雪に覆われた景色も全く違った世界に見えるんだろうなぁ。

肉でも食べようと正さんへ。

これまでずっと赤牛丼を食べていましたが、前回噛むことに疲れてしまったので初めて焼肉丼にしてみました。肉の量は赤牛丼と同じようで、米:肉のバランスがものすごく悪く、米が先になくなって肉が余るという幸せな丼ぶりです。

そういえば脱いでないな、というわけではないのですが復興の経過観察をしようと天ヶ瀬温泉に寄ってみました。いつも違う露天風呂を選んできたので、今回こそこの一番露出度の高い神田湯で‥と思ったら、お湯が10cmくらいしか張られていなかったので、残念、あきらめました。神田湯は脱衣場に仕切りもないところなので、橋の下で脱ぎ着できるガニ湯よりも難易度が一段高めだと思います。

薬師湯さんへ。先客のおじいさんと話をしていると、神奈川から来られたという若いご夫婦も加わって、僕が出るころにはさらにお二方のライダーが入ってきて、結構にぎわっていました。フルオープンな露天風呂で混浴になったのは初めてです。

天ヶ瀬から駐車したハイエースまでの70kmはひたすら黙々淡々と走るだけ。九州人、幸せだなぁって思っていたけれど、福岡に住んでいたとしても阿蘇だと「ちょっと行ってくるわ」というには距離を感じてしまいますね。

中国自動車道、王司PAで肉うどん、ではなくゴボ天うどんを軽く食べた頃、

それまで一滴も降らなかった空から豪快に雨が降ってきました。

Relive ‘九州二泊三日ツーリング’

バイクの走行距離1,050km、トランポ分も含めると1,500kmの旅。久々にこんな走り方をしたけれど、思い付きでフッと出かけられるほど体がついてこないんだな、と思い知らされました。

以前「気持ちでは今日はあそこまで行こうと思っているけれど、疲れた体がそれを嫌がる」ってことを体感して、ああ年を取ってきたなと思いましたが、今回は1日の終わりごろどころか日中のツーリング真っ最中の疲労感が半端なくて、以前よりもさらに上のゾーンに突入した感じ。残りの人生で今が一番若いということを活かして、今できることを今片付けていこう。

とも思ったけれど‥内容からも分かる通り実は過去最高に詰め込み過ぎたのでくたびれちゃっただけ?とも。いやホントにムチャクチャ楽しかったよ。ありがとう九州!

1 Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です