GB250 春の鉱山と桃源郷

三次の近くに「天国に一番近い里」という場所を見つけて、その周辺に何かないか探してみると、ループ道路と銀鉱山跡があったのでそれらをひっくるめて巡ってこようという春の1日。晴れ予報の春の週末ということでGWくらいの服装で出発したら、山間部はほとんど10度以下で日差しの下でもずっと寒いツーリングでした。

早い時間に出てしまったので、日が高くなるまで急がずのんびり。

色だけ見ると春。気温は冬‥。

犬伏山ループ。坂道を下るに従ってRがだんだん小さくなっていく。ここ、道を作るだけでなくループの内側の植生やら遊歩道やらも一緒にデザインされているので、見た目に中心へ引き込まれるようなグルグル感が強調されて映えるループになっています。あと、写真の撮り方も重要。

水平に撮ると映え感が少しダウン。

久喜・大林銀山のここは道路脇にある水抜き坑。石見銀山は世界遺産として登録されたことで有名になりましたが、ここは石見銀山の一翼を担った山中の鉱山です。

「この銀山がいかに重要視されていたかは、慶長5年(1600年)、関ヶ原の合戦で勝利した徳川家康が、わずか20日余りで大森と共にこの久喜・大林を接収していることからも伺えます。」と、現地の看板より。

トロッコが軌道に載っている。チェーンで繋がれていますが、押し引きすると少し動きます。坑内からは水が流れ出てきてきます。

入り口から少し進んだところで塞がれていますが、素掘りの坑内と崩落を防ぐ杭などが生々しく遺されています。

天井大事よね。この坑道、トロッコの軌道は約2500m、明治38年に銀297トン、鉛209トンを産出したとか。

道と川を挟んだ対岸には、産出した鉱石を溶かして精製するための施設の跡がかなり広い範囲で残っています。

「純度が低く不採算または分離に失敗した滓のかたまり」と書いてあります。こういうのが投げてあるのが生々しい。

熔鉱炉跡という穴がたくさんあるのですが、それらから出る煙は最終的に1本の煉瓦造りの煙道に集められて山頂の煙突から排煙したとのこと。写真が見づらいですが、中に人が入って動き回れるくらいの大きなトンネルです。

昔の人はどうやって銀が掘れる土地をみつけたのか。地形や岩石からだけでなく、重金属にも負けない植物が生えているかどうかで発見した、というのは面白いですね。

少し西へ移動して大横谷間歩の入り口。道路から100mくらい山へ歩いていくと、ぽっかりと黒い穴が。

杭を使わず、岩をそのまま掘りこんで作っていった穴です。

中は下へ何層かありますが、ハシゴは外してあるとのこと。ということは落ちたら出られない!特に制限はされていませんが、立ち入りはしないようにと書いてありました。もともと先の久喜銀山の坑道がこの坑道の水抜き用のものだったらしいのですが、掘り進んでいくうちに鉱脈が見つかったのであちらの方がメインの坑道になったそうです。

道小間歩。ここへ移動する途中も「○○間歩群」という看板がたくさんありました。坑道の入り口がたくさんあるんでしょうね。この道小間歩も道路から100mほど山へ入っていったところに入り口がありました。

坑道入り口。

内部は7度くらい。

観光用ではないので、岩盤はそのまま、中は真っ暗。

誰もいませんでしたし、観光とかまるで無視な様子で全然飾ってない。こういうのが良いですね。

「天国に一番近い里」。到着したのがお昼前で、人と車がいっぱいでした。

山の中でもこの辺りだけ黄色・桃色・白・紅‥色彩が溢れています。

写真じゃ伝わらないけれど、別世界でした。さすが桃源郷。

蕎麦が食べたくなって近場の蕎麦屋。ストーブのそばにいても体の芯から冷えていたので、あったかいのにすればよかった‥。

あんまり寒いので、ちょっと歩いてみようと赤名湿地へ立ち寄りました。

日向を歩いて温まるかと思ったら、そもそも気温が低くて全然あったまらない。湿地特有の植生のようですが、季節的にも早かったようです。

誰も居ない湿原の池。とても綺麗。

寒いんだから高いところに登らなきゃ良いのに、蛇行する江の川が見られる展望台といわれたら登らざるを得ない。

目の端に「‥駅」と見えたので止まって振り返ると、高架がプラットホームになっていて、真ん中に駅があります。

団地の階段みたいな駅の入り口。JR三江線の宇都井駅はホームと待合室が地上約21mの高さにある「日本一高い」駅だそうです。ホームまでの階段は116段!

6階に相当するところに駅があるってことですね。エレベータもありませんし、ここ使って通勤する方、大変!

山を降りてきても、まだ寒い。走っている間中とにかくお腹の底からくる震えが止まらない感じ。

平野部も結局寒くて、春をナメてました。路面の濡れているところもたくさんあったので、バイクどろどろ。帰宅後即洗車です。

あらかじめ目的地を決めてそれらを巡って帰るツーリングなんか無茶苦茶久しぶりでしたが、あらかじめ想像していたものを越えるところばかりで、楽しいツーリングでした。あー、寒い以外は。

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