SuperCub 庭と宇宙

CT125用のオーリンズツインショックは右側だけ取り付けることにして、もう1本はあやのすけさんのカブに取り付けることになりました。

感覚的な話ですが、このCT125のサスペンション2本分の仕事が10だとして、これをそのままカブ110に組み込んでも10の仕事にはならなくて、車重の重いCTにあわせた必要以上の12くらいの仕事をしてしまいます。そこで片側だけの組み込みです。

反対側にノーマル長のサスを取り付けていることからカブの純正長よりも長いこのサスペンションは全体長を少しだけ押し込んで組み込むことになります。おそらくダンパー室のガスは圧縮された状態になっています。

このことからもこのサスペンションは1本でもダンパーは元々のセットより少しばかり圧減衰の強いセットになって、このサスペンション1本と反対側のサスのでカブを支えるには十分な反発力があると考えられます。

単純に1本だから仕事量半分、ではなく強くなったダンパーと重たいCT125用のスプリングからスーパーカブには8くらいの仕事をしている。これに反対側のサスペンションが2の仕事を補足すれば、スーパーカブにはこのサス1本でも満足のいく足ができちゃうんじゃないかと。初日に色々組み合わせた結果、左側がキタコのサスペンション、右側がオーリンズというのが一番しっくりきました。

あやのすけさんには朝早くにガレージへ来てもらって、ササっと組み替えました。早速様子見セッティングツーリングということで、西方面へ。

家を出て早々に驚いたのが、ギャップを乗り越えた時の衝撃の少なさ。これまではリアの飛び跳ねに身構えてしまうような凹凸に突っ込んで行っても、着座のままトトトっと乗り越えてしまう。ポン付けだというのにこの乗り心地の良さは衝撃的です。

走っては止まってを繰り返しながらそれぞれが自分の走りに合わせて右側のオーリンズだけでなく左側のキタコのサスペンションのプリロードもいじりながら調整していきます。

最終的に、丸1日走って僕のセットは
キタコのプリロードはほぼ全抜き
オーリンズ側は
プリロードリングの締め込み 上端9mm
リバウンドアジャスター 全締めから7クリック戻し。

リバウンドアジャスターを緩めればリアの伸びが早くなってクイックなハンドリング、締めればダルなハンドリングになります。タイヤはミシュランPilotMOTOGP、空気圧は2.0kgf/cm。

ものすごい接地感で、安心して心地よく移動できる。カブ、恐ろしい子‥になった。

アスファルトが剥がれて荒れたような悪路でも、落ち着いたリアサスの動きで安心です。荒れた路面が目に入ると、まだ信用ができていないので気持ちは構えていてしまうのですが、バイクは何事もなかったかのように衝撃を受け止めて走り抜けます。

誰も来ないような展望所にやってきました。誰も来ないようなお社を調査しないと気が済まないあやのすけさん。

「自販機で飲み物を買いたいです」とインカムから聞こえてきた直後に、ガソリンスタンド‥の給油機が自販機に差し代わっているお店を見つけて、笑いが止まらない。

この坂の上に住む方々が駅へ向かうための隧道。坂を登っても民家しかないので登るのをやめておきました。

新しいダムに沈んだ橋の構造体の一部が展示保存されていました。1890年にドイツから70本を鉄道用に購入した橋梁で、それを道路用に転用したものの一部分だと碑に記されています。今見るとものすごく薄く感じる鋼板で、一つひとつのパーツにバラしたら不安になりそう。

山口県の山の中。

大岩が山肌に覗いた「ライオン岩」というものがあります。

昔はもう少しライオンっぽく見えていたように思う。緑が岩を覆い過ぎてしまっているのだろうか。あやのすけさんにはゴリラに見えるらしい。

ほじほじ系ジオキャッシング。

鹿野の漢陽寺の裏には山を80m以上掘り抜いて錦川のここよりも高い位置から水を引いた隧道の出口があります。おかげで川よりも高台になっているこの地域で稲作ができるようになった、とのこと。

早起き系ツーリングはお腹が空くのも早い。

こちらは犬連れOKという、花&喫茶さくやさん。道端から見て思わずUターンして二度見してしまうような手作り感のある素敵なお庭と建物です。覗いてみよう。

テラスの薪ストーブから煙は出ていたのだけれど、準備中。早起き系ツーリングあるある。

道の駅うり坊の里の北東に、片俣の丘という地図で見る限りでは中央火山のないカルデラ盆地のような草原が広がっています。道もつながっているので、これは俺たちのジェネリック阿蘇なのではないかと乗り込んでみた。

曇天のせいか、唸るほどの衝撃はありませんでした。特別整備されている感も案内もなく、牧草地にしては放置気味。何のための空間なのかは判別がつきません。

いくつか食事のために立ち寄った施設にフラれ続けて食事難民になった挙句、やっと食事にありつけたのが道の駅ハピネスふくえ。

この道の駅、僕が立ち寄るといつも雨が降るのだけれど、この日も雨が降る予報ではなかったのに食事を終えるとパラパラと雨雲レーダーには存在しない雨雲から雨が降り始めました。目的地にしていた日本海まであと5kmほどだというのに!

北や西はどうやら雨っぽいのでここで折り返し。国道9号線まではパラパラと路面が濡れる程度の雨に降られた。ハピネスふくえ、俺の関所だな‥。

帰りのルートを検討中、僕が保温ポットを先のタンポポの写真を撮ったところに置き忘れたことに気がつきました。

「回収しましょう」とあやのすけさん。おかげで元来た道をそのまま戻る途中、天気も安定したのでちょっとお茶でも、と花&喫茶さくやさんに立ち寄ってみました。

ここが、カブのリアサスのうっとり感もすっかり吹き飛んでしまうような、衝撃的な店でした。

テラスの薪ストーブが気になって、テラス席にしました。

「ブレンドコーヒー、2つ」と接客のおばあさんに頼むと、

「マフィンはいらないの?大きなマフィン」とワンモアしてくる。それじゃマフィンも、とお願いすると、

「アイスクリームはいらないの?マフィンにアイスクリーム」とさらにプッシュ。

全然嫌味じゃない。そのプッシュの仕方がおばあさんの自然さからくるのが伝わってきて、むしろ微笑ましい。ストーブにあたりたいくらい冷えていたので、アイスは謹んでお断りしました。

おっさん二人がつつくには可愛すぎるプレートがテーブルに並ぶ。出てきたマフィンはコーヒーカップよりもデカかった。

このテラスから、建物の裏の山に続く庭へ降りられます。

「お庭は、お勘定が終わってから行ってね」とおばあさん。

中身がギューギューに詰まったマフィンは本当に大きく、また僕の頼んだチョコレートマフィンはものすごく強烈にアルコールの香るトップコートが手強く、とてもじっくりとゆっくりと楽しめました。コーヒーだけ飲んで終わり、よりは断然この方がよかった。

緑の洪水。道路側もその向かいの山も、新緑の黄緑で溢れかえっています。手作り感のあるテラスがまたリラックス効果抜群。

ひとりのお客にこのボリュームの盛り花というのは、ちょっと添えて、というレベルを超えていて気持ちが華やぎます。

さて、すっかりお勘定を済ませるのを忘れて庭へ。

いろいろ手作りなんだろうな。

と、顔を上げると‥庭というより、森じゃないですか。

「ワンちゃん連れて、お散歩にどうぞ」とおばあさんがいうのでちょっとしたドッグランみたいな空間があるのかと思ったら、そんなもんじゃない。

ビオトープになってる。小川の周りにいろんな種類の植物が茂って、季節の花が色を挿して‥これはすごいですよ、お金払って巡る規模。

薪割り小屋とか。薪ストーブのエナジーはここでつくっていたのかな。

足元には杭とロープで立ち入れるエリアや周遊ルートが仕切ってあるのだけれど、至る所が三叉路になっていて、どこをどう行っても一筆書きで巡ることができない迷路のようになってます。山を一巡して終わりなのではなく、自分でルートを選べる自由度がある。

適度に間伐してあって空気と視線の通りが良い。

これが新緑の季節だからこうだけれど、真夏や秋にくれば全然違う色なのは簡単に想像できます。これは何度でも訪れてしまいたくなるな。

とにかく、広い。ここを愛犬連れて歩いたら、楽しさも倍増しそう。

庭の境界となる柵の外側の世界がもともとのこの山の植生で、そちらは木々は密集して、人が歩けないくらいの笹の下生えに覆われつくされています。そのことからもこの庭は人の手で丁寧に作られているということが見て取れます。

何が良いって、あちらこちらの窪地には水が溢れているようで、そこに水辺の植物が帯になって連なっている。谷を越える橋も手作りだ。

いや、まいった。あやのすけさんからも感嘆の声しか漏れてこない。

ギンリョウソウだ。

これは本当にリフレッシュできた。大満足だ。

緑に囲まれたお店へ

マスターにお話を伺うと、もともとはこの森の山側の平坦地にキャンプ場をつくっていたのだけれど、道路側の土地を持っていた方がその土地を手放すということで購入したところに息子さんが戻ってきたので何かはじめようと20年ほど前に建物を建てて喫茶店を始めたとのこと。

山の持つ地形とか力とか魅力とか、色々引き出してこれだけ品の良い空間を作ったり維持したりするのは大変なご努力だと思います。お店もとても素敵です。お会計、忘れていませんよ。

「アイスクリームは、よかったの?」

ありがとうおばあさん、また次にいただくことにしますw

ここは宇宙の駅。UFOにハシゴが架かっているのはなかなかシュールだ。

僕はここを訪れるのは3度目か4度目なのだけれど、製作者の山崎さんというおじいさんには初めてお会いできました。おじいさんが居るときはいろいろ説明してもらえるというのは何かで知っていたので、ガイドをお願いしました。

美男子が近づくと鳴くという象。ワイヤで首と鼻が動くなんて、知らなかった‥。このワイヤで空気圧でもかけて鳴き声が出るのかと思ったら、

「ぱおぉーん」

おじいさんの口から声が漏れた。

足回りを強化した僕たちのカブより滑らかな足回り。

この宇宙人は、頭を叩くと宇宙橋を渡って良いか声で教えてくれるらしい。

「にゃーん」

背後から声が聞こえてきた。

「この橋、どこかで見たことない?」

ありますあります。錦帯橋ですね!これは逆さ錦帯橋だそうです。

UFOにはそれぞれ製造順にそれぞれ番号がついている。これは何号だったろうか。

タラップも何もかも手作り、しかも重機は使っていないそうだ。

「宇宙人が攻めてきた!脱出しなくては!さて、脱出口はどこにある?」

って、UFOってそもそも宇宙人の乗り物じゃないんですか?

床に床下収納の蓋みたいなところがあったので、ここですか?と指摘すると、

「そう!脱出しよう!」とうながされた。

あやのすけさん、入れます?

「下には大きな猪がおるけぇの!」

イノシシ?

別のUFOは天頂部が開口して展望できるようになっていた。

これらの構造体、コンパネとツーバイフォー材でできています。設計から切り出しから組み立てまで全てこの愉快なおじいさんの仕事。もしかしたらおじいさんが宇宙人なのかもしれない。

7号機は2001年宇宙の旅の宇宙ステーションのように外周が通路になっている。

外周路は通路で中央部につながっている。ボスコニアンのエナミーベースのようだ。

お決まりのように、中央部にはまるでドンキで買ってきたカラーボールのようなベースの未知の動力源が中空に浮いている。ボインボイン叩いて遊べ‥刺激を与えることができる。

懇切丁寧に30分以上かけて一緒に歩いて説明していただきました。UFOの番号が飛び番なのは、中にはいくつか地球の台風に負けて吹き飛んでいったものもあったようです。山崎さん、これからも楽しい制作を続けていってください。

カブの足回りに感動するツーリングのはずだったのに、終わってみればおばあさんとおじいさんに楽しませてもらった思い出の方が強く残る1日になってしまった。雨だったり忘れ物だったりとネガティブな出来事が、おかげであり得ない出会いにつながってしまう。こういう予想外な展開の1日というのが掛け値なしで「面白い」ので、また家を出て遊びに行かなくては!

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