
「剣山スーパー林道」
名前からして超険しそうな、日本で最長の林道。しかも四国の南東という、広島からでは超超アクセスの難しい地域。色んな意味で超超超難易度高めの道。学生時代から30年以上、剣山スーパー林道には憧れを抱いていました。
最近やなせたかしさんの自叙伝を読んで、その生涯と人物と作品に大変興味と感心と感銘をうけました。アンパンマンより前の、詩人・絵描き(さらには番組構成作家・司会者・アートディレクター)としてのやなせたかしさんの多彩な仕事ぶり、特にシレっと日本の文化に歴史を刻む作品の数々を知って、これは作品や仕事を生で見てみたい!と思っていたところ、本のおわりにやなせたかし記念館の話が掲載されていました。高知県‥それもスーパー林道からそう遠くない‥。
そこに「ふっ」と今ならスーパー林道が全線走破できる(<スーパー林道はよく一部通行止めになっている)という情報と、GWは晴れるという情報とが加わって、このGWの高知行きを決めました。たまたまあやのすけさんも連休中にカツオ&スーパー林道ということでしたが、残念ながらお互い日程が合わないのでソロ活動でスタート。
連休前日の夜にいつも通り家族に晩御飯を作ってから家を出て、道中くたびれたら寝るといういつものスタイルです。

実は荷造りも仕事から帰ってきてからバタバタとはじめました。
これまでの経験からツーリングの規模に応じた持ち出し品のリストをつくってあって、それをもとに適当にカバンに荷物放り込んできたので、現地でサイドバッグを車体に取り付ける時に詰め替えるというくらいにはいいかげんな感じ。
野宿で2泊できる機材を持ち出したつもりだけれど、ミニマル装備を心がけて随分経つので、もう本当に荷物少なめです。
18Lのサイドバッグにハンモック・シュラフ・お湯を沸かすだけの調理道具・着替えを詰め込んで、帽子やらおやつやらを小さめのシートバッグに収めたらおしまい。まぁ、今回はなんといっても林道のロングランですから、重たいのも嫌だしね。

四国の山中を走る際、気をつけなくてはならないのがガソリンスタンドの場所です。林道へ入る前の最終地点となるGSの、さらにもうひとつ手前のエリアで開いているGSを見つけたら念の為入っておきます。林道直前でも念のために入りました。
僕のCRFはビッグタンクですから、走る距離からしたら余裕のよっちゃんイカなのは分かっていても、転倒してガソリンがダバダバ漏れるとか、何が起こるかわかりませんからね。

10年以上前にGROMで酷道439号線を徳島から高知へ向けて走った時に、特に印象深かった分岐点。ああ、こっちへ曲がるとスーパー林道なのか、と感慨深く見上げた看板は今も健在でした。
でね、国道193を南下してあらかじめGoogleMapにマークしておいたスーパー林道の入り口を目指したわけです。そこから右側、西の高知側に向かって林道が伸びているのです。
が、林道入り口まであと1.5kmほどの峠のトンネルを超えたら、左側、東に続く林道がちらりと見えました。この林道は、どこに続くんだろう?と地図を見てみて‥ガーン‥僕が今まで目指していたマークは剣山スーパー林道「西コース」の入り口で、剣山スーパー林道は国道193号を挟んで「東コース」もあるんだった‥マークしたのが随分昔なのですっかり忘れていました。

ここまで来たのに全線制覇しないなんて有り得ません。西コースへの入り口を素通りして、国道193号を南に下り、東に向かう県道に乗り換えて30km先の東コースの東入り口を目指します。

自分が染まってしまうんじゃないかと思ってしまうくらい視界のほとんどが若葉の黄緑の世界で、それはそれでとても目は潤ったんだけれど、あらためてスーパー林道入り口までのアクセスの険しさを思い知らされました。
四国特有の、谷間を走る幹線道路に対して山のはるか高いところにある集落。これもどうしてこういう生活をするのか調べてみたいなぁ。

ついに、やってまいりました!東コースの東入り口。扱いが終点になっていますね。こう道って東京側が起点になるんじゃないのかな。

沢沿いの舗装路を離れたあたりから、未舗装路が始まります。
‥と思ったらダートは一部だけでしばらく峠までは約15km、ほぼコンクリート舗装。

コンデジの撮影モードがおかしかったのか、やけに緑が濃ゆいけれど、終始黄緑の塊の中に突っ込んでいく感は確かにありました。もう、この時期を選んだことを何に感謝すれば良いのだろう、っていうくらい気持ちよくて、何度も頭の中で何かが弾けて汁が吹き出しました。

東コースはとにかく、黄緑。ひたすら黄緑。
西コースの入り口になる国道193号まで、尾根筋の道は長くはないけれど景色も良い、気分も良い。西日本に住んでいながらこんなに良い道を知らなかったなんて‥と後悔半分、まだこんな素晴らしい道が残っていたのかと喜び半分。いやいや、喜びの方が圧倒的にボリューム大きいな。

先に一度通った峠のトンネルを抜けた地点に戻ってきました。道路標識を見ると、県道の表記になっていますね。地図では目の前の舗装路は国道193号なんだけどな。
未舗装路が普通に道路標識で案内されているあたりが、ザ・徳島なのでしょうか。

坂道を1.5kmほど下って、あらためて高知側の西コース入り口へ。よく見るとここでも青い道路標識が普通にスーパー林道側に矢印案内している。

気持ちの良い沢を見つけたので食事タイム。スーパー林道でシーフードヌードルを食べたかったんだ。

食後のコーヒーを‥と思ったらムースになっていました。

基本的に林道にはトイレさえないのですが、途中2箇所ほど食事ができるところがあります。そのひとつファガスの森、ってところに見たことある色のバイクが‥おっとその脇に見たことある顔がこっちを見てる。
西の高知方面からやってきていたあやのすけさんと遭遇しました。
今回スタートの日程はズレていたものの、あやのすけさんが5/3にスーパー林道を走るという話は伺っていたので、それを西から後追いしても僕の日程では追いつけないだろうと思って、今回僕は東から入りました。僕の予定は全く告げていなかったのでどこですれ違うかワクワクドキドキヒヤヒヤ。
僕の予想ではコーナーを抜けた瞬間に「あ!」っとすれ違うんじゃないかと思っていたのに、なんだか峠の道の駅で待ち合わせでもしたかのような出会いです。
しばし歓談。10台くらいのジムニーの集団が高知方面へ出発しようと支度を始めて、これを追い越すのは大変!ここであやのすけさんとお別れして出発しました。

剣山スーパー林道は冬季閉鎖期間を除いても年間1〜2ヶ月程度は天候・土砂崩れ・改修などで全線走行できなくなるようです。今回は連休中のフル開通、しかも抜群の好天、本当にありがたいです。
ところどころ大規模な土砂崩れの跡が見受けられます。これらを車が通行できる幅まで復旧させ続けるのは、山深いこともあって大変な労力がかかる思います。

徳島のヘソという見晴らしの良い高台に出ました。

四国らしい、突出して高い山もないけれど延々山なみが広がっています。

西コースのこのあたりは高所なので、黄緑にむせ返った東コースとは違ってまだ若葉も生えそろっておらず、やや荒廃した雰囲気。
林道は狭くても普通車1台が余裕で走れる道幅だし、広ければ車同士の離合も楽々広さの道がひたすら続いているので、バイクだと余裕たっぷりで無茶苦茶走りやすいです。
「剣山」「スーパー」という名前に気圧されて構えていましたが、剣山そのものも名前こそ険しそうですが山頂は草原ですものね。林道そのものはほぼフラット、そうでないところもそうしようという努力が汲み取れる道がひたすら続いていて、もうなんだか、ありがとうとしか言えません。

山の稜線を見上げると、頂上付近は草原?

ここで見上げていたのは上の3D画像の左端の山のようです。右端の頂上が剣山で、そこからこの辺り一帯の稜線は草原が続いているようです。

コケた。
ジムニーが道を譲ってくれたのでダッシュして駆け抜けているところで、水たまりを避けたら水たまりの周辺もヌカっていてフロントが取られました。加速中だったのでフロントの接地感が一気に抜けてジムニーの目の前でコケた。
コケたのは良いんだけれど道を塞いでしまって、せっかく道を譲ってくれたジムニーにご迷惑をかけまいと車体を起こそうとするのですが‥そういえば荷物ついてるわ。
それでも火事場の馬鹿力でなんとかんるもんです。トップケースをつけていたら起こせなかったろうな。
とりたてて被害はないものの、右の下腕をどこかで打ったようでアクセルをひねるのがちょっと痛い。走れなくはないけれど。

自分が走っている目の前の道はひたすらダートなのですが、まわりの植生に気を配りながら走ると日当たりや標高によって若葉の生え方が違っていてとても楽しめました。ここはだんだん標高が下がってきているところ。ちらちら緑が見えています。

道程のほとんどが雑木林で、いろんな木が生えているのため色や育ち方も様々でした。常緑の植林が妙に目立ってます。

高所と低所のこの色の違い。また黄緑に包まれてきました。

朝の黄緑に比べると、お昼を過ぎたこの時間になると日差しが強くなって眼に飛び込んでくるのは「黄緑+黒」ですね。日差しを受けた黄緑の明度が高くて、影とのコントラストが強烈!

西の入り口の看板。バイクも車両だろうに、考慮されていない。
そういえば自転車の人も結構いました。遭遇したバイクは、CRF250が一番多かった。次いでセロー。WR、緑のオフ車、大型アドベンチャーなどオフロードを走る前提のバイクだけでなく、スーパーカブも結構な台数走っていました。
あとはオフロードバイクではない普通のネイキッドバイクが数台。
四国アドベンチャーラリーではCB1300が完走できるような世界線ですから、時間さえかけて丁寧に走れば総長80kmを超える剣山スーパー林道はどんなバイクでも走れてしまうんじゃないかと思います。まぁ、それなりに気力と技術は要りますよ。

上記の流れで、9:30スタートした東の入り口からここまで4時間、東の入り口付近のガソリンスタンドから86kmでした。

「僕の顔をお食べよ」

今回の遠征のもうひとつの目的地、やなせたかし記念館にやってきました。展示は3棟に分かれていて、表のひとつは通年アンパンマンがメインの展示なので子供達が溢れかえっていましたが、僕の目当ては裏の方にある2つの建物。
本当に多彩で、ユニークで、素直なお方だったのだと偲ばれる展示の数々でした。特に詩がね、気取ってないのよ。来てよかった。

うちは子どもが小さい頃、ほとんどアンパンマン関連のキャラクターグッズ与えていなかったので、僕自身もアンパンマンにはそれほど馴染みがないのです。

跳ね上がっていない可動橋なんて、ただの橋。
あと15分待てば跳ね上がる時間になったのに、それが待てなかった。鉄道の踏切と同じ遮断機があるのね。

月刊太平洋、したいけれど、年刊かな。

高知龍馬空港の周りに広がる田園の中にポツンとアーチ。以前からマークしていた、太平洋戦争中の掩体壕です。

特にここの掩体壕は、なぜか道が貫いていて通り抜けできるという変わり種。

なので、普通なら近寄れない近さで中を観察できます。

セメントの質が今のものと違うのかな。見たことないような劣化の仕方です。

モヤっとするのが掩体壕に対して道が直交してないんですよね。

他にも近くで見学できるものや、

大きなものは幅45m、奥行き22mとか。零戦の幅は11m程度ですからね、どれだけ大きな飛行機を格納していたんだろう。

田んぼの中に、田んぼの形を無視してドンと生えているこの様相、既視感あるなと思ったら阿蘇のカルデラ、一の宮あたりの古墳だなぁ。

桂浜もはりまや橋も今回はスルーだけれど、せめて龍王岬を遠くから。

この、水平線だけを丸一日眺める日、というのをつくってみたい。僕にはとても難しそうだけれど。
さて、スーパー林道もやなせたかし記念館も掩体壕も太平洋も、今回1泊2日で巡ろうと思っていたものを全て廻ってしまいました。帰るか。
実は転んだ打ち身もちょっと痛いし、なによりくたびれちゃったのもあるし、犬の匂いも嗅ぎたいし。

車に積み込んで出発、途中2時間ほど仮眠して5時間ほどかけて帰宅しました。
というわけでいろいろあったように思いますが、連休の前夜に家を出て、翌朝ハイエースからバイクを降ろしてスーパー林道を走ってその日のうちに自宅に帰ってくるという、実質連休を1日しか消費していないのにたっぷりと楽しむ徳島・高知ツーリングができてしまいました。
って書くとすごい感じもしますけれど、要は体力不足です。気持ちは最長2泊くらいしてやろうと思っていたのにな。体がついてこないわ。バイク遊びもそろそろ年齢にあわせて次のステージなのかもしれないです。



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