
2日目。日の出が6時で、宿泊場所から阿蘇まで40kmある。
行って帰る、にはやや面倒臭い距離だけれどせっかく阿蘇の朝の風景をみられるなら、と暗い中1時間弱走って外輪山に辿り着いた。平日の朝5時台、交通量はほとんど無かった。
外輪山の上を走るミルクロードに到着した時点で、薄暗がりのなかでもこりゃ雲海にはならないな、と分かったので、大観峰を選ばずにかぶと岩展望所からカルデラを望むことにした。
雲がたっぷり出ている時は外輪山の中でも標高の高い大観峰以外は霧の海に沈むことがある。なので、雲海が出ていないのならかぶと岩展望台から眼下の内牧の夜景と大観峰をセットで望むのも良い。雲海のない日の大観峰からのカルデラの景色は今ひとつパッとしないのだ。

せめて朝焼けでも‥と思ったけれど雲が多すぎて焼け方も今ひとつ。

とぼとぼと車まで戻ることにした。
せっかく早朝に阿蘇へ到着したんだから、阿蘇でも巡れば良いと思うところもあるけれど、この日は宗像沖の島へ渡ろうと考えていた。船の便数が多くないので残念ながら阿蘇をうろつくのに時間を割けない。
元来た道を戻るのも面白くないので、オートポリスのある県道12号を走ってみた。並走して小国を通る国道よりも交通量少なくて適度にワインディングで、距離は伸びてもこちらの方が走って楽しい道だった。

この写真見る限りでは、ハイエースって絶対にCRF積み込めなさそうな間口だな‥。

2時間ほどかけて宗像の大島へ渡るための港に到着した。船着場の施設が妙に綺麗だ。

トコロテン方式で積み込んだ順番に反対側から車が出ていくのではなく、車はあらかじめバックで積み込んでおいてまっすぐ下船していスタイルのコンパクトなカーフェリー。バイクの積み込みは船の上でUターンすることになる。

小さい船だと思ったけれど、キャビンは4層もあって階段も複雑で、初めて乗ったら絶対に船内で迷うぞこの船(←面白い)。実際カーデッキに戻るのに迷いました。

海の中にポツンと綺麗な形の岩塊が飛び出している。これは夜間に灯台がないと危険が危ない。

パっととびうおが飛び出してきたのでパッと写真を撮ったけれど、写ってるかな?

大島上陸。帰りのフェリーの関係でこの島に滞在できるのは3時間。

トンボロ現象で渡れる島がある。これから満ちるのかな、引くのかな。

すぐ近くにもトンボロの島。なんだ、この島は海岸線を巡るだけでも面白いな。
大島はバイクだと15分もあれば外周を1周できる。

オツトメ。

今回この島に来た理由は、島の北部に綺麗に整備された砲台跡があるという情報をNHKのニュースで紹介されていたから。
というわけで、この日のハイライトはここ。

とても綺麗に公園として整備されていて、「戦争時代の遺構」という雰囲気は外観からではあまり感じられない。
小高い丘のようになった監視壕へ。

横長の監視窓から見える、玄界灘の水平線‥シンプルに美しい‥。
当時の兵隊さんにとって、この美しさが癒しにつながったのだろうか。仕事で見慣れてしまうのには勿体無い景色だ。

監視壕の一層下はトンネル状になっていた。通り抜けると通路の壁のには砲弾を保管していたと思われる凹みがある。

この島には20kmほどの射程を持つ砲台が4門設置されていたとのこと。今はアートイベントの名残になる作品がのこされている。

草を焼いた跡。この時期に野焼きしたのかどうかは別にして、誰かがこうして管理し続けないと、こういう施設はあっという間に草木に覆われて埋もれてしまう。

こちらもアートイベントの作品。似たような形状・大きさのものを目にすると、人は勝手にそれらを関連づけてしまう、と解釈すれば良いのか。

造花というか造葉で覆われていることの意味が掴めなかったな。単純にここに設置したビジュアルだけを求めた作品ではないはずだ。

キース・ヘリングのキャラクターのポーズみたいになっている通路や階段も、軸のずれたバランスの構図の作品みたいで、十分楽しめる。

瀬戸内海では得られない、広さと単純さとぼ〜っとできる感。
こちら側の時間ではなく、沖を往く船の移動する速度で世界が動いている。

振り返ると、漫画の一コマを切り出したような、こちらも時間が止まったかのような景色。

監視壕を外から見ると、屋根に土が盛られている。
この作りのせいで監視壕が半地下みたいに見えるのか。

建物を埋め込んでいる土は海の視界の妨げにはなっていない。

広島界隈の砲台跡は海からは見えない山の影から放物線を描くように砲弾を打ち上げるタイプで、このように海から丸見えの砲台設置はほとんどみられない。もっとも、瀬戸内の砲台は主に明治の終わりごろの設置で、こちら砲台は昭和11年の完成なので、まるでタイプが違うのかもしれない。航空機の飛ぶ以前と以後の時代という違いもあるのか。
そういえばここは構造物が全部コンクリート製で、石とレンガとコンクリートのハイブリット構造の明治期の建物とはその点でも違っています。

暑いけれど、せっかくなので、歩く。

情報によると、この整備された砲台跡とは別にコンクリート製の放棄された施設があるはずなのだけれど、事前に情報がつかめずさっぱりどこにあるのか分からない。

藪漕ぎしてみた。

ギリギリ道みたいなところをしばらく歩いて抜けたけれど、結局何も見つからなかった。

うーん、この茂みを戻るのか‥。

島の北西部にある灯台。

手付かずの自然が広がっている。

ここから海岸線に降りていくと洞窟があるっぽいのだけれど、いきなりロープを伝って降りるようだし、もう道がなくなっているしで諦めよう。

島の高台、御嶽山(みたけさん)展望台。
島の南側には九州本土が横たわっていて、福岡市街まで見渡せる。北側の、手付かずの自然と何もない水平線とはまるっきり雰囲気が違うのが大変面白い。

とはいえ、ここもぼ〜っとできるところ。

山を降りながら、木々の作るトンネルの向こうに見える水平線にドキっとする。まだこの島の景色に慣れきっていない証拠だ。

世間様的には平日の火曜日なので、食事をできる店が選べるほど開いていない、というかむしろ開いていてくれて本当にありがとう、と思えるお店に立ち寄った。
Kitchen KAIKYUさん。小さな店内のアメリカンな雰囲気も良いし、大きな窓から見えるビーチも南国リゾートっぽい。こんな洒落た島に来たつもりはないのに、ちょっと別世界な感じが楽しめる。そんな時の飲み物はもちろんコカ・コーラ。

引き潮だったみたい。トンボロの砂州が豪快に島とつながっていた。

もうひとつのトンボロの島も渡れるようにつながっている。

港近くの宗像大社 中津宮。横を通りながら気になったのは、

変わった模様の鳥居。近づいてみると、

無数にパンチングされた竹。キャプションが見当たらなかったのでアート作品ではない様子。

境内を抜けた先に清水の湧くところがあるようなので降りていくと、ものすごくUターンした川のほとりに、

湧水がある。頭から水をかぶるような暑さではないけれど、肘から先を冷たい水で濡らして涼を楽しんだ。

戻る道の景色もいいなぁ。歩く楽しさ、見る楽しさ。
13時発のフェリーで島を後にした。これを逃すと16時20分発になっちゃうからね。

往路では到着時間が早すぎて開いていなかった王司パーキングエリアの肉うどんを昼飯なんだか晩飯なんだかわからない時間に注文した。うどんだと重たく感じたので、蕎麦にしたけど。甘辛い肉やスープに救われる。これにゴボ天を載せると満足感が倍増。

9月中旬だというのに、想像以上に九州の景色は夏だった。
気温や日差しはさすがに「盛夏」を過ぎていたけれど、僕が子供の頃に感じていた真夏ってこんな感じだったよな、と何度も思い返した2日間だった。8月はもう、足の間に内燃機を挟んで走り回るには暑すぎるんだな。
たっぷりと九州で2日間、夏の空を楽しみ尽くしたのに、自宅付近に帰ってくるとダメ押しの巨大な積乱雲が、その真下に猛烈な雨を降らせていた。



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