自分は、これでも絵描きの端くれだと思っている。たいそうなものではなく、それで飯を食っているわけでもない。せいぜい落書き程度だけれど、それでも絵を描いている時間は楽しいし、描いている以上は絵描きなのだと思っている。
僕はわりとアカデミックなルートでここまで来た。ここで言うアカデミックなルートとは、方法論や理屈を一通り学び、知るだけでなくそれを実践し、経験として積み重ねてきた道、という意味だ。
絵描きは大きく分けて二種類いると思っている。
ひとつは「どうすれば自分も含めて人を騙せるか」を分かっていて、その理屈を使って絵を描くタイプだ。このタイプは常識を理解しているからこそ、常識に沿った表現をするのか、あえて外していくのかを自分で選んでいる。これをタイプAとしよう。
もうひとつは、根本的にセンスの塊で自分の感覚で描くことしかできないタイプ。こういう人は器用には振る舞えないけれど、作為や嘘がない。だから下手なときは下手だが、ハマったときは下手であっても圧倒的に強い。本人の手癖や仕草そのもので描くわけだから、誰にも真似ができない。これがタイプBだ。
さらに言えば、どちらにも属しきれていない人もいるだろう。どちらになるのか分からない、まだ成長過程の人たち。タイプC。結局、先ほど二種類と言ったばかりだけれど三種類あるということになる。
僕はどう考えてもタイプAだ。分かっていてやっている。そしてタイプBに憧れている。
でも最近、少しだけBっぽい仕事ができるようになってきた気もする。
この先、分からなくても手が勝手に動いて線を引く、そんな境地に到達できたらいいなと思ってしまうけれど、それは案外、ボケが始まった老後の話なのかもしれない。



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