1年前にシリーズ化しよう!と考えていた「トランポで100kmほどバイクを陸送してそこから走り始めるツーリング」に出ることにした。旅の共はあやのすけさん。
往路の車の中で年齢の話からオムツの話になって、オムツの話からオムツ履いて放尿ってなかなか難しいという話になったところで、「そういえば昔、大便をかじっていた頃にですね‥」とあやのすけさん。
いきなり何のカミングアウト?!とそのまま伺っていたら、グレートバリアリーフの話が出てきたあたりで「ダイビングをかじっていた頃」と話の筋が見えてきた。よかった、そっちの人じゃなくて。

山陽自動車道を100kmほど下り方面に走ると、広島からだと防府や山口南インター辺りになる。カブで山越して日本海へ向かうか、瀬戸内海沿いを走るか‥と空模様を伺うと、山には雲がかかっていて、海側は青空だ。
ということで、カブで宇部の常磐公園へ。常磐公園といえば、僕らの世代は桃色ペリカンの「カッタくん」を思い出す。

鉄の塊のSLにマグネットで設置されたキャッシュは正直探すのが面倒だし正直苦手だ。常磐公園のD51 にはジオキャッシュが仕掛けてある。
ここはスポイラー(ネタバレ)写真が用意されているので、「ああ、この板ばねのところですよ」と写真と見比べて言いながら目線を落とすと、コンテナがポン置きしてあった。

宇部市が彫刻との関わりを長く深く続けていることを以前訪れた時に知った。常磐公園はその広さも相まって、彫刻作品を並べるにはとても向いている環境だ。樹間に見える芝生の上には当たり前のように彫刻作品が置いてある。

大きな作品だと、中に入れるものもある。

これはひとつひとつ石を積み上げていったという作品。現地で積み上げ作業をしたのだろうか。

昨秋の展示でも見たこの作品は、昨年の第29回展の大賞作品。ビエンナーレ(2年に1回開催)で第29回ということで、もう60年も続いている。第1回展は1961年だそうだ。

昨年の展示の中で僕が良いなと思ったのはこの作品。風で揺らいで、映り込んでいる風景もゆらゆらと揺れる。
どこに展示されても同じという作品よりは、展示場所の環境が作品の見え方感じ方に影響して、作品と環境との一体感が生まれる作品が好きだ。
風や映り込む風景を味方につけるこの作品も、都心部で見るのとこうした広い空間で見るのとでは感じ方がかなり違うだろう。

こちらは第28回展の大賞作品。土をステンレスの外殻で包みこんでそこから植物が生えることでその土地に溶け込もうというコンセプトの作品だが、上の方の植生はやや残念な植物に乗っ取られていた。

せっかくなので、聖地巡礼。シン・エヴァンゲリオン劇場版のポスター写真の踏切付近。

同じ踏切でもこちらは宇部沿岸部の工業地帯の、敷地内専用道路を往来するトレーラーが宇部伊佐専用道路を跨ぐ時に降りてくる遮断機。
シン・エヴァンゲリオン劇場版の最後のシーンで宇部新川駅から工業地帯へつながる道を映しているが、その工業地帯内を走る道が宇部伊佐専用道路だ。
この道はそのまま河口に架かる宇部興産橋というかっこいいトラス橋へつながっていて、規制がないので一般車でも渡れるのかと思ったら、橋の手前で通行証がないと進入できないことになっていた。

あやのすけさんがこの日メインに考えていたのが、南西部の先端にあるくぐり岩だ。
いくつか並んで開いている海蝕洞の先にくぐり岩がある。この日のこの時間はかなり潮が満ちていて、砂浜を回り込んでこの海蝕洞のある崖の向こう側へ行けない状態だった。

子どもが覗き込んでいる先には、かろうじてくぐり岩が見える。この穴を子どもが抜けようとしたが、子どもでも難しい大きさだった。
抜けた側の海岸には翡翠や琥珀が見つかることがあるということを子どものお父さんが教えてくれた。

これは昨年訪れた際に撮影したくぐり岩。水平線の向きからわかる通り、30度くらい傾いた地層の崖に穴が開いている。なかなか面白い場所なのだ。

諦めきれずに崖上からアプローチできないかとしたから見えた展望所へ行ってみたが、ここからではくぐり岩自体も見えなかった。
防波堤の中に池でもあるのかと思ったら、ソーラーパネルが敷き詰められていた。

山陽小野田市の縄地ヶ鼻公園。この公園は園内にB-29の爆撃でできたクレーターが残っている。

それだけでなく、公園の海に面した岩の海岸では、不思議なことに全くタイプの違う岩の露頭が観察できる。ということで岩を観察して何故このような状態になったのかを推察するアースキャッシュが設置されている。

その中の岩のひとつ。泥岩と砂岩がミルフィーユ積層したものがグナグナに褶曲している。何をどうやったら岩がこんなにクニャリと曲がるのか‥。

今回、僕のメインは持世寺温泉という硫黄の香りのする温泉で、普段ツーリング途中に温泉とか考えない自分が珍しくとても楽しみにしていた。が、到着してみると半年前の水害で営業を停止中‥。
9月の半ばだというのにジリジリと熱く太陽の照る1日で、汗もじっとりかいて温泉に入る気満々だったのでこれはショック。近くの温泉を探して10分ほど移動。

こんなことでもなければ絶対に訪れないだろう、といった感じの山の中の集落にある「源泉かけ流し くすくすの湯」は、設備の整ったとても綺麗な温泉だった。
なにより感心したのは下駄箱の番号の数字が大きくてみやすいこと。こういったところがありがたいと思う年頃になってしまった。

車で佐波川河口のポンポン山(小島山)へ。
もともと島だったものが、干拓で陸繋したと思われる河口の小山。登り口に鳥居と山頂に祠のある山で、以前訪れた時にとても良い山だな、と思ったところ。

この日、終始あやのすけさんが広がる田んぼを見て「広い‥」と感じ入っていた。
山口市のちょうど真南あたりの沿岸部は、棚田のように不定形ではなく区画の整った様子から察するにおそらく田んぼにすることを目的に干拓されてできた土地だ。ソーラー発電の進出も見受けられたが基本的に綺麗に四角い田んぼ。
高いところから海と広い田んぼを見比べると、場所によっては海面よりも低い箇所もあって、不思議な感じもした。
宇部や山陽小野田は山陽自動車道からも少し南に外れているので、理由もなく訪れる地域ではないが、こうしてほじくってみると見どころも沢山あって充実した1日を過ごすことができる。
こういった、やろうと思えば誰でもできて、見つけようと思えば誰でも見つけられる楽しみを、これからも細々と継続していきたい。
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