SEROW 再び呉

つい先日の呉・江田島のジオキャッシングツーリングでは時間と仕込みが足りなくてキャッシュを設置する方が不完全燃焼だったので、年末年始の大寒波がやってくる前に呉へまた出かけてみました。斜面に広がる複雑な宅地にある目的地へGoogleMapをセットして案内のままに進んでいったら、これを直進しろと‥セローなら問題ないけれど、車だと閉口モノです。

最初に訪れたのはすずさん家(がた)。原作者のこうのさんの住居があった土地で、漫画の中ですずさんが嫁いできた北條さんの家の間取りが再現されています。奥がコンクリートの壁になっていますが、昔はここに防空壕があったのでしょうか。

実は以前、劇中の呉湾を見下ろす描写を頼りにすずさんの家を探してこの辺りに来てみたことがあります。概ね合っていましたが、ここは細い道を入った先なので、バイクでウロウロするだけでは見つけるのは難しかったでしょう。

こうのさん書き下ろしのイラストと挨拶文。

ああ、あのシーンはココね、という案内があります。

これ、座っても良いんだろうか‥。

すずさんの落書きが‥!

この土地は呉市に寄贈され、呉市が整備したということで、この訪問日の前日に公開になりました。キャッシュを仕掛けることであんまりワイワイして良いような場所ではないのでどうしようかと思いましたが、そもそもワイワイするほどジオキャッシャーが居ませんので、キャッシュを置かせてもらいました。

戦艦大和の塔。碑文を読むとこれは僕と同い年でした。戦争が終わって約25年経って建てられ、それから約50年間ここにあります。手前の白いものは主砲弾を再現したもの。

最初は大和の塔を主題にキャッシュを仕掛けようかと思ったのですが、この狭い公園内には「○×翁の像」って書いてあるのに人物が載っていない台座だけの記念碑がありました。戦中の金属の供出で銅像を取り除いて台座だけになってしまったのだそうです。

見下ろした先には戦艦大和を建造したというドック。ここのキャッシュの題材は戦争と呉、ということにしました。

アレイからすこじまの近くにある工廠神社。階段を登ってみます。

階段の先にまた階段‥しかも奥へ行くほど急傾斜。見るだけでため息が出そうな階段を延々登るのか、とため息が出そうになったところに‥

おおおお、旧呉海軍工廠の港湾監視所。

超至近で見られる‥どころか、上に登れます。頭頂部(?)には防空用の銃座の跡が残っています。

少し先まで進むと海上自衛隊の港に浮かぶ潜水艦や、

おおすみ型輸送艦「おおすみ」が停泊しているのが見えます。神社そのものを探しましたが、ここは神社の跡が残っているだけで、社はないとのことでした。

音頭の瀬戸公園内の高烏砲台跡地へ来てみました。道沿いにいきなり兵舎跡が見えてちょっと驚いた。とても整備状態が良いです。

さらに驚いたのはその先で駐車場と砲台跡が隣接している。さらにさらに驚いたのは砲側弾薬庫が弧を描くように並んでることからここがまさに砲床跡なのに、その砲床をぶった斬るようにスロープなんか設置してる。

知っている限りではこの界隈で一番訪れやすい戦跡ですね、これは。

地下弾薬庫へ降りる階段は緩く封鎖されています。

これまで100年の歴史の臭いがプンプンと漂ってくる砲台跡ばかり巡ってきたので、ここまで周辺の整備状態が良いとなんだか嘘くさいニセモノっぽさを感じてしまう次第です。

砲床の様子から、ここも近隣の砲台と同じように直線的に敵艦を狙うのではなくて山越えの弾道で敵艦を狙うカノン砲が設置されていたのが分かります。そうなると山頂付近に観測所があるはずなのですが、山頂になる箇所には清盛像が立っていました。おそらく以前は観測所がこの辺りにあったんじゃないかと思います。

今日のハイライト、倉橋島の早瀬砲台跡。前回訪れた時は存在こそ知っていましたが具体的な場所がわからず、地形や手記などいろんな手がかりを元に見つける大冒険になって、それだけに自分史に残る驚きと感激がありました。今回は山の地形のどのあたりに施設群が並んでいるのかが分かっていたので、至近の道からショートカットで。一般道路から1分も山を登ると辿り着けました。

以前来たときよりも、さらに周辺の環境が厳しくなってる?全く手が入っていないようで、自然に戻る一方だと思うのですが、切り出した自然石を組んでつくられた兵舎の壁だけは今も頑強にとても綺麗な状態で姿を保っています。

兵舎の内部。こうなっているということは、もともと床材などを敷かずに地面に直接構造物を置くように建てていただけ、という状態だったのでしょうか。振り返ってみれば先の高烏砲台の兵舎も床が土でした。ここには割れた瓦が散らばっているので、抜けた屋根の上には瓦が載っていたのかもしれません。

バラバラになった自動車もそのまま。こちらはそう遠くない時間で自然に還そう。

2棟並んだ兵舎の奥に砲床が並んでいて、山道はさらに奥で傾斜がきつくなります。道といっても塹壕の名残みたいな窪みで、猪が地面を延々と掘り返した跡だけが続いています。

道を歩いていてこれが出現すると、思わず声が漏れる‥前回もそうでしたし、他のここを訪れた方々もそのようです。山頂の観測所は周囲の環境も含めてそんな雰囲気が出来上がっている場所です。観測所と兵舎にキャッシュを置かせてもらいました。

委細は前回訪れた時の記事にまとめているので、興味がありましたらご覧ください。今回はこの先にある第二堡塁砲台跡へは行きませんでした。ちょっと一人で行くような場所じゃない。この第一堡塁砲台跡も予備知識なしに一人で訪れるには怖い雰囲気がありますし、なにより整備されていないので道に迷う可能性さえあります。訪れる際はできれば複数名でどうぞ。

阿賀マリノ大橋経由でキャッシュを2つほど見つけて帰りました。いやー、今回は振り返ってみると茶色というかオリーブグリーンな写真ばかりだな‥。夏場にこうやってバイクを降りて歩き回ろうとは思いませんから、こういう遊び方は冬の愉しみですね。

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