SEROW GW九州ツーリング

連休何日目だっけ‥これ書いてる時点でもう何日目かわからなくなってきたぞ。

10連休6日目、九州4日目の朝は別府市街の車中泊で迎えました。4時過ぎに目が覚めてしまったので別府の街から移動開始。車に積んだセローをどこかへ下ろしてツーリングをスタートするため、GROMを置かせてもらっている豊前と別府の間のどこかへハイエースを投げておかなくてはなりません。

とりあえず立ち寄ってみた十文字展望台からの別府の朝の風景。

別府湾SA近くの道路脇に駐車して、僕の九州ツーリングがやっと始まりました。スマートインターもあるSAなので、ここなら帰ってきてからのその後の流れもスマート。

走り出して10分そこそこ、朝日を浴びる由布岳がドンっと現れた瞬間に、不思議な高揚感に襲われて涙が溢れました。過去に2回、いきなり脳内麻薬がドバっと出てくるような感覚ありましたが、今回で人生3度目のライダーズハイです。

単純にすごい景色をみて感激、というのとは違うのです。前回はなんでもない針葉樹林を走っている最中でしたし。今回は日本の一般道を走る上で最高のアドベンチャーバイクだと思っているツーリングセローに、自前機材フル装備で旅に出たという満足感やら風景やら時間帯やら‥その瞬間に対するいろんな気持ちとタイミングとバランスとで起こる現象なんでしょうね。

通りすがりに「!」となって、わざわざUターンして二度見した風景。

奇を衒わず、今回は湯布院からやまなみハイウェイという王道を走ります。午前8時前、ほとんど貸切でした。少し脇道へ。

太陽が低いうちにしかみられない風景を楽しみまくります。やまなみハイウェイ、ただ走るだけでも楽しいですが、早朝はそれに加えて美しいです。この時間帯に走るためにいろいろ準備は必要でしょうか、むちゃくちゃオススメしておきます。

牧の戸峠を超えて阿蘇を遠望すると豪快に雲の中でした。これは降りても霧の中かと思って峠を戻って枝道散策しようかと思いまいたが、風呂にも入りたかったので昨日に続いてまた黒川温泉へ。なんか自由でいいな。

定番の‥

この日の共同湯は昨日と違ってお湯もたっぷり、で、ちょっと熱い。でも柔らかく感じるお湯が良いのか長く浸かっていられるのです。寒くて体も冷えていましたから、かなりのんびりと浸かっていました。

今回フル装備といいながら、トップケースの北半球が空っぽという理想的な積載。本当に大丈夫か?と心配になってしまうのですが、チェアもテーブルもこれまでは箱の中に入れていたのをリアシートに載せ、着替えはリュックに入れて背負うというスタイルの結果、普段持ち歩かないタープを持参してもこのゆとりを実現しました。これなら食材買い込んでも困ることがない。一升瓶でも追加で積めるぞ。

最高の景色の中で朝食でも食べようと、昨年訪れた大草原の山へ向かってみます。写真の奥の方の山。山上が大草原なのです。

到着して湯を沸かす準備。

すると、位置情報を手掛かりにパパさんがGROMでやってきました。

外輪山のつくる長〜い横線を遠望しながら、恐ろしいくらい広〜い風景の中で食べる朝ラー。

風景が雄大すぎ。人が作ったものが小さすぎて目に入らない。なーんにもない感じ。

これを前に、パパが飛んだ!

僕も飛んだ!

ここ数日、ミーティングもあって群れすぎていた感がありました。ツーリングでは阿蘇のひとり時間を堪能させてもらおうと思っていたので、ここでパパさんと別れてもう少し奥地を探検‥と思ったのですが、今回は欲張らずに宿泊先を先に確保しようと昨年もお世話になった個人のお庭へ行って行ってみました。

今年もここに、泊まらさせて頂きます。ここは鳥のさえずりしか聞こえない。本当に楽園。本当に感謝。

他に誰も居ないので、自由に、好きなように手持ちの機材を広げます。

「薪、頂けますか?」とうかがったところ、「奥にメタセコイヤが倒れてると思うんだけど、あれなら燃えるでしょう」と刃物持参で来たら‥

ちょっと待て。倒れ方が豪快すぎて‥。

いや、どこから手をつけて良いのか‥。

倒木をチェーンソーでカットしたものが散らばっていたので、こちらを薪に頂きました。太い丸太は薪割り台として使わせて頂きます。

奥の方にメタセコイアが立っていますが、あれで、30年くらい前に植林したものなのだそうです。ホント、長い年月かけて丁寧に綺麗に作られてきた広いお庭。写真に写っている範囲は車の入れるオートキャンプ場として使っていたところで、今は手入れされていないとのこと。本当に勿体無い‥。

斧は宮島でも使ってみましたが、いやいや、今回も驚きましたよ。斧と薪割り台があると、サクサク焚き木が作れます。一晩分なんてあっという間で、楽しい!

食材を買いに一旦山を下りました。裏通りでたまたまみつけた豆腐屋さんで豆腐由来の食材を晩御飯に買って、とうふアイスも買ってみました。豆乳風味のアイスといったらいいんでしょうか、あっさりしてとても美味しかったです。これはリピート確定の一品。

晩御飯。もうね、結構クタクタで食欲も細くなってしまって、豆腐屋さんで買ってきたものだけ。

贅沢な話ですが本当に疲れていたので30分くらいハンモックで寝ました。日が傾いて気温が低くなって目が覚めました。この時間ならではの近所の風景を楽しむために、またセローで出発。

太陽が低くなったので、山の凹凸がくっきりと見える時間です。箱石峠のワインディングとその後ろに控える根子岳も、複雑な地形と共に昼間よりダイナミックな風景を見せてくれました。

写真では伝わらないだろうなぁ、山肌を貫く道路もとても複雑な形をしています。

ああ、もうこの有機的な地形。飽きない。

さて、明るいうちに食事開始。光源の電池節約できるしね。

今回、厚手のスキレットではなくて、薄いフライパンっぽいスキレットのようなものを持ってきてみました。面が広いので色々炒められるのは良いのですが、火の熱がダイレクトに食材に伝わるので焦げやすい。スキレットの重さと、このフライパンのネガティブな一面、どちらをとってどちらを捨てるか、と秤にかけて考えると‥とても微妙。でも次回もこっちを持ち歩くかな。

これ、学校の先生が黒板を指すのに使う指し棒の、先端がなくて筒になっているもの。伸ばして焚き火に息を吹き込むのに使う棒です。火が弱くなっても底の方で熾火になっていれば、これでかなり回復できます。

大家さん(?)が山菜のお稲荷を差し入れしてくださいました。こういう心遣いがとても胸に沁みます。

大量のカエルの声が聞こえたかと思ったら無音になったり、またカエルの声が聞こえたり‥を繰り返す夜。でもだんだん静かになってきました。

焚き火台、というか火起こし器、本当に頼もしい。底を石でかさ上げして空気の流入できる隙間を確保しています。

真夜中、昨年体験した「無音」を今年もまた体験することができました。昨年は本が読めるほどの月明かりの下、周囲もはっきりと見えるのに全く何も音がしない、という体験でした。今年はそこまで明るくはなかったのですが、人工音も自然の音も全く何もしない夜。風もなくて本当に無音です。これだけ広い空間の中にいて音が全くしないと耳がさらに音を探そうと敏感になるのにそれでも音がしない。本当に怖いくらいの不思議体験。

昨年少々寒い思いをしたので、今年はサーモフレクトというアルミを蒸着した不織布を持ってきました。これでシュラフを包んで寝るのですが、断熱・保温に対して信じられないくらい効果があるようです。朝まで寒さを感じることなく眠れました。

朝。日が昇る前に阿蘇山を見に出てみます。草原の入り口に、昨年にはなかった看板が。

昨年、牧草地に出入りすると自分が牛の病原菌のキャリアになってしまうので控えるべきだということを知りました。以来、気を遣っていますが、今年は立ち入りを禁じる看板がこの界隈に立てられていました。

雲海を見に大観峰まで足を伸ばそうかとも思いましたが、大観峰方面はうっすらと白いだけでしたので行きませんでした。後で知ったのですが、この日は薄い雲がいくつも積層した綺麗な雲海がでていたそうです。

このあたりからも、低地に霞が溜まった風景が折り重なるプチ雲海が見られました。

GWの夜明け直後、過去にも東から西へ飛行機雲が一条伸びていきました。これに陽が射すとピンク色の帯になったりしましたが、ここ最近は大気の霞がひどくて、開けていく陽の強さを感じません。飛行機雲も染まりません。

でも、いい風景。

陽に射される側。

阿蘇より激しい噴気!ここで朝ラータイム。

と、問題発生。トップケース内に鍵を閉じ込めてしまいました。車載工具を駆使して無理やり開けましたが、この一瞬一瞬が大事なときに、何という無駄な時間を過ごしてしまったことか。

陽が昇るにつれて丘の起伏の見え方も少し弱くなってしまったので、泊地に戻ります。

戻るとそこは、東から陽が差し込む一番素晴らしい時間を外してしまっても、それでもやっぱり素晴らしいところ。

東側はひらけた牧草地になっていて、そちらの風景もシンプルでとても良いのです。

つい数年前まで、阿蘇にいる時間はできるだけ多くの経験値を増やしたい、と6時には荷物を片付けて走り回っていました。

この庭を使わせていただけるようになってからは一人でここに居て何も経験しない時間を経験するというのが他では得難い時間だと思うようになって、耳にだけ意識を集中して全周囲から聞こえてくる鳥の声を聞き分けたり、見ることだけに集中して新緑の木々の美しさを楽しんだり、のんびりとコーヒーを淹れることに集中してみたり、ほぼほぼ100%自分時間を過ごすことを楽しむようになりました。

これ、ハンモックだよ。いったいどこから来た?

たんぽぽの生える草はらに落ちる木漏れ日も気持ちが良い。

大家さんがコーヒーまで差し入れしてくださったので、滞在時間がさらに伸びました。もう1泊しようとお願いをしていましたが、なんだか十分満たされた気分だし、家族も気になるし、結構くたびれてしまったので、全撤収して引き上げることに。

ところどころ土がむき出しのところは堆肥かと思ったら、モグラが頭を出した跡なんだそうです。車で走り回ってペタンコにするそうなのですが、一晩経つとまた土が掘り起こされたようなところがたくさんできていました。

9時ごろになって丁度出発しようと思ったところで、ライダーハウス泊の二人が「襲撃に行きます」と連絡をくれたので、迎撃に出てみました。10分ほどで、盆地から上ってくる2台のGROMが見えてきました。

箱石峠付近で、突然はじまるジャンプ写真大会。若者、もっと脚力をつけなさい。

パパは新しいポーズを編み出したようです。欽ちゃん走りってご本人は言っていました。

僕の気に入っている草原へ移動して、草原に大の字で寝るという贅沢を。

「気持ちよすぎンぞ、ゴルァァァァァァァ!」と根子岳に向かって叫ぶさなえさん。

産山牧場で皆解散して、僕は長湯温泉を目指します。この帰り方のパターン、もう定番化しつつあって、最短ルートばかりじゃ面白くないので、これまで走ったことのない道ばかり選んで北へ南へ上がったり下がったり。この天気だとどこをどう走ってもこのエリアにいる限り、最高に気持ちよくて楽しい。

たまたまDRUM TAOの施設を見つけました。うちの職場に元TAOの方が居て、TAOの本拠地のだいたいの場所は聞いていたのですが、ここなら太鼓の練習いくらでもできますね。

ゆるゆると別府方面へ。このエリアから去るのはいつも後ろ髪を引かれる思いです。

覚悟はいいかい?

もう分かるね?

ガニ湯。もう、素通りができなくなりまして。阿蘇帰りに河原の露天風呂に入るのが習慣づいてきました。

人間、面倒臭くてもそれを繰り返すことで習慣化してしまえば、もうそれが当たり前と捉えて面倒臭さも吹き飛ぶのです。ここの場合は露天で素っ裸になる羞恥心も吹き飛ぶというオマケ付きで。

虚しい。阿蘇を去る虚しさに加えて、またやってしまったという石川五右衛門の複雑な心境。

別府で地獄Tシャツを土産に買ってきてくれ、というムスコの期待に応えるべく、鉄輪温泉地区の地獄めぐりの売店に寄りましたが、数日前の雨の別府はあれだけガラガラだったというのにこのお天気だと別府は地獄のような大渋滞でした。

ハイエースまで戻ってきて積み込み完了。あとはGROMを回収というタスクをこなして帰るだけ。

ルゥさん宅へ到着すると、ルゥさんはお出かけのご様子。数日ぶりに見る愛車。あれ?

はい?

ふむふむ。

なんと!

スカーン(予想より小さいものが入っていた)!中身は‥

心温まるお手紙と、福沢銀行券の束。うぉぅ、ルゥさん、粋なお土産、ありがとう!

ジオキャッシングでは、コンテナ内の宝物を取り出した場合は等価交換となるものを入れておかなくてはならない、というルールになっています。札束相当のもの‥と思い悩んだ結果、帰りの荷物になってしまうので、と、あのMatsu君から頂いたエンジンオイル、HondaウルトラG2の1L缶をお納めしました。ただのG2ではない、Matsu君からもらったプレミアムG2なんだからね。

船より車の方が、時間に縛られないからいいじゃん、ってこれまで思っていたのに、渋滞で違う形の時間の制約を受けました。広島まで3時間半で帰るところが6時間かかってしまいましたよ。

さようなら九州。また来るよ九州。

いつもいつもそれなりの覚悟と準備が必要な九州ツーリングは、それに見合うどころかプライスレスでかけがいのない体験や経験を積むことができるワンダーランドツーリングです。新しい発見を探し出して行く旅も楽しいのですが、何もしないでそこにいるだけでいい、という新しい楽しみ方もできるようになりました。その辺、年相応になってきたってことでしょうか。

しかし今回は後半何もしていないのにとにかくくたびれた。10連休なのを良いことに好き勝手した、4泊5日の九州紀行でした。

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