
こっそりと、いえ宅地だからひっそりと夜明け前に出発します。
前夜のうちに、オーナーさんと千葉のお方にお世話になったご挨拶は済ませておきました。

薄暗いのでまだ夜景が楽しめるんじゃないかと十文字原展望台に上がってきましたが‥モヤってます。
太陽も雲の向こうでわずかに赤みを見せるだけで、あれあれ、この日は晴れが確定じゃなかったの?

寒いので、昨日に続いて鶴の湯にやってきました。ここは24時間入湯できますが、夜明け前だからか誰もいません。

すごい、本当に良いお湯。ほんのり硫黄臭。体に染みそう。

カブを身近に感じられる距離で風呂に浸かるの、悪くない、むしろとても良い。
5時台だというのに僕が風呂から上がる頃にはもう地元の方らしいおじさんがやってきました。愛されてるなぁ。

やまなみハイウェイの枝道を散策していたら、やっと陽が差してきましたが、あいかわらず寒い。最後の手段でアウターの上にカッパという手があるけれど、そこまで行く少し手前くらいの寒さ。

九重“夢”大吊橋を遠望。この橋は、谷を挟んで両側の集落を結ぶため、とか本来の橋としての機能というよりは単純に人造の観光資源として作られた感じ何して、どうも好きに慣れないんだよな。他にこのあたりには自然を活かしたみるべきところがたくさんあるでしょうに。

寒いので風呂に入ろう。筌の口温泉共同浴場。

‥お湯がない。月曜の朝早く、清掃されていました。

このお風呂、係の人がいないときは現金を箱に投入するのですが、

無茶苦茶カメラでチェックされています。
浴室が魅力的なので、また来てみよう。

近くの山里の湯さんは営業時間外。早起きツーリングあるある。
ここは炭酸泉だそうです。七里田温泉下ん湯を超えるだろうか。ここもまた来てみよう。

ふだんぎの湯、大人500円。

貸切の露天風呂です。日差しもあってやっと温まることができました。

そのすぐ近くの河原湯温泉。200円。

残念、ここも清掃中のようで湯が抜かれていました。

筋湯温泉にやってきました。到着して驚いたのは、この温泉街はこれまで全くノーマーク、僕の頭の中の地図には存在していませんでした。そのくらい温泉巡りってこれまで僕の遊び方ではなかったのです。
共同浴場薬師湯へ。

偶数日は男性専用だそうです。

少し離れたところに共同浴場岩ん湯があります。

こちらは今日女性専用。

薬師湯へ入ってみましょう。

なんと、シンプルでおしゃれ!壁と浴槽のタイルが黒く、洗い場は木の板敷き。400円。

これはまた贅沢というかなんというか‥今回のツーリングのお風呂はバリエーション豊かで、お互いの振り切れた魅力がお互いを引き立てあってるな。

入り口を開けたら即浴槽なので、男湯・女湯を間違えて入ってしまうとその瞬間に、きゃーっ、のび太さんのえっちー!になってしまう。

ここも別府方式の脱衣場と風呂場が一緒の部屋ですが、ついたてがあるだけで脱衣する方、入浴する方の空間が隔てられている安心感がありますね。屏風的発想か。

出たり入ったり、思い切りのんびりしましたよ。

次は奇数日に岩ん湯に入ろう。朝の7時から入浴できるなんて、朝活の友だ。

焦らず、ゆっくりと躙り寄るように阿蘇へ近づく。

牧ノ戸峠を超えた先、この先のツーリングを占う阿蘇方面の景色は‥阿蘇五岳が見えない‥。

新緑のトンネル、木漏れ日の道を延々と走ります。これを気持ち良いと言わない人はいないだろう。魂が抜けそう。

さて、先日黒川温泉あたりの衛星写真をみていて見つけたものがあります。

小萩山稲荷神社の近くに温泉マークとハートマークがあるのです。温泉マークは幅が50mもあります。
この衛星写真が何年前のものかわからず、今でもこれが草に埋もれず存在するのかもわかりません。現地の斜面の傾斜からすると、地上からではほぼ気がつけないところに描かれているはずです。ちょっと確かめてみたくなるじゃないですか。

小萩山稲荷神社へ向かう道は、山の稜線まで若葉のシートで完全に覆われていて、ものすごいスケール感の緑の洪水。
ここがこんな景色だっていうのは知っているし、油断しているわけでもないのですが、もう全く勝てない。ここも魂がシュゥ〜っと抜け出してしまいそうなスケールと綺麗さ。

神社到着。

展望台へ向かいます。

3年訪れない間に、思わず寝そべってしまいたくなるような曲線の椅子みたいな台ができていました。ここは日差しを遮るものがないので、景観の邪魔にならないように屋根でもついたらさらに快適になりますね。

阿蘇の外輪山のつくる地平の向こうに阿蘇山が見えるところなんだけどな。水分多そうな空気で全く見えません。

振り返ってハートの山を見上げると、ハートの下のとんがったところが見えてる‥そこから赤い乗り物に乗った人がガタゴトと急斜面を降りてきていました。

つがたく:「すみませーん、あのハートをつくられた方ですか?」
おじさん:「はい、そうです」
ええええ〜〜〜っ!?なんとなんとなんと!ハートを見にきたら、作者の方に出会ってしまいました。
つ:「あれって、衛星から見られることを考えてつくってるんですか?」
お:「もともと管理する草原がものすごく広いので、周辺の草を刈るためにこの乗り物を購入したのだけれど、これで何かできないものかと考えて温泉マークを作ることにした。ここは熊本空港から飛び立つ飛行機の航路になるので空から見えるかな思って」
なるほど!納得。飛行機から見ることを目的にしていたのか!
つ:「温泉マークはものすごく綺麗な形をしていますね。ハートは練習でつくった、って感じですか?」
お:「ハートは私が勘で走って刈った。温泉マークの方はドローンを飛ばしてもらって、指示を受けながら刈って行ったのよ」
「草の伸びるのが早いから、年に3回は刈らないと埋もれてしまう」
「今なら草の丈が短いから、温泉マークの中へ行ってみてもいいよ」
え、いいんですか!?
※牧草地はよその土地の細菌やバクテリアの混入を防ぐために、土のついた靴やタイヤで踏み込んではいけません。今回は許可をいただいたということで特別に踏み入っています。

巨大なキャンバスからガタゴトガタゴト帰っていくおじさん‥ブログやSNSへのご出演も許可いただきました。ありがとうございます。
こういう売名を目的としない、さりげない仕込みが世の中を面白くするんだよ。

ハートマークへは獣道のような踏み跡が続いているので、迷わずやってくることができます。ここ、ハートの一番下の尖ったところね。

右上のカーブ部分。大きすぎて何の形状なのかは人の目の高さからでは掴みきれない。

キャンバスはいくらでもあるなぁ。

温泉マークへは道がないので検討をつけて歩いていると、マークの湯気の部分の先っちょに到着しました。

下のアーチの部分。こっちは全体がハート以上に大きいのでそれこそ何だかわからない。

飛行機雲が伸びていく‥温泉マーク、見えてるかな。

旅客機とはちょっと違った金属音の小型のビジネスジェット機が割と低いところを飛んで行きました。あれなら温泉マークもハートもバッチリ見えるだろうな。

目を凝らすと、阿蘇五岳がうっすらと見えてきた。大丈夫、心の目でははっきりと見えていますよ。

若葉の草原の季節は久しぶりなので、視界がほとんど草原になってしまう沢の道へ。

正面だけでなく、左も右も若葉色。
この一本道は左の丘の上まで続いているけれど、この先にはゲートがあって入れません。

あれ?開いてるよ。
月曜ということもあって作業で人が入っていくのに、ゲート閉じずにいるのかな。僕は入りませんよ。

谷の向こうに平板な濃い緑の森がモコモコと続いて外輪山がバシっと潔くその縁を切り揃えている景色。スケールが大きくて単純な景色に距離感を失ってしまいます。

先のゲートの反対側の出口へ行ってみます。

あれ?開いてる。
開けてある、というよりは閉じてない、という感じの中途半端さから誰でもウェルカム感は受けないので、行ってみたい気もするけれどやめておきます。大人になったな。

ここで振り返った景色でも十分現実感のないぶっ飛んだ景色じゃないですか。地図と地形を見比べたりしていたら、半日くらい幸せな時間の潰し方ができそうですよ。

はらへり。山を降ります。

ファームロードから少し外れたところにある薬師湯。鉄輪ゲストハウスのオーナーさんが「場所がすごくわかりにくい。集落の人に場所を尋ねても、知っているはずなのに知らないフリをする」と言われていました。確かに分かりにくい場所にある。

「ついたてはジャンプしたら隣の浴室が見えてしまう。お風呂に潜ったら隣の浴室に行けてしまう」と言われていたのでどんなお風呂?と思っていましたが、現地に来て納得。言われていたそのままでした。
割とぬる湯なので冬だと厳しいかも。100円。

なんといっても、アプローチ路がコレだからね。案内はないし、この道の入り口そのものも分かりにくい。温泉の入り口は道路の反対側だし、道路からみると民家にも見えるしで、なかなか面白い温泉探しアドベンチャーでした。

そば処よしぶさん。

よしぶ、という店名を冠したセットは天ぷらが盛り盛り。この天ぷらの揚げ具合がいつも狙ってコレなんだとしたらすごい。海老も茄も舞茸も、素材に熱が入って味や硬さが変わってしまう直前のところで油から取り上げて余熱で仕上げてるのではないかと思う。決して生ではないのだけれど、新鮮な素材のもつ水分と風合いがパリっとした衣の中で失われていない。
これがたまたま今回は揚げ損ねてこうなっちゃった、とか、次回食べた時には素材に熱が入りすぎて固くなってました、とかだとガックリだけれど、とにかく僕には腹パンパンになるくらいのボリューム。晩御飯いらないな。

でも、まだ食べる。食い道楽は僕の遊びの範疇外ですが、よしぶさんと同じ沿道にあるジャージー牧場カップルさん。宿のオーナーさんにおすすめされました。

牧場の直営店です。注文して、普通のソフトクリーム屋さんが提供してくる半分くらいの時間で手渡しされて、思わず「早っ」と声が漏れました。
お姉さんから受け取る時に上が重くて落としてしまいそうになったくらい、バランスがおかしい。上がとっても濃密。
阿蘇ツーリングの小休止にぜひどうぞ。芝生のお庭にベンチやテーブルも並んでいて、爽やかソフトクリーム体験できます。

マゼノミステリーロード経由で阿蘇の外輪山の縁へ。到着したのはレストラン北山のある交差点。別府を出発して9時間かかって、やっと阿蘇へ到着しました。

ここの有料展望台も以前から気になってたところです。レストラン北山の駐車場は休日だとバイクや人がワラワラいるところなのでこれまではほぼ素通りしていました。

さすがGW翌週の平日の月曜日。展望台貸切です。

そういえば展望台の下に、

ハートの刈り込みがあるって何かで読んだな。これもグーグルマップの衛星写真で見ることができますよ。

内牧が眼下にひろがっています。阿蘇全体もそうだけれど、それ以上に内牧を見ると「戻ってきた」感がある。この辺りは僕にとって広島や千葉に次ぐ、第3の故郷って感じです。

フェリーの時間の制約があるので折り返さなくてはならないデッドラインを気にしながらも、もう1箇所訪れておきたい場所がありました。
産山あたりを走っているとあちこちで目に入る「スズラン自生地」の看板。これも若い頃は気にせず素通りしていましたが、調べてみるとスズランが咲くのは5月中旬ごろなのだそうです。また阿蘇のスズラン自生地は日本の南限となるのだそうで、季節もちょうど良いタイミングですから今回是非、と狙っていたのです。

今年は寒さのせいか少し開花が遅れているそうで、見頃は1週間くらいあとになるのではないかとボランティアガイドの方が言われていました。
最初は小さすぎて見つけられない花も、目が慣れてくるとあちらこちらで咲いているのに気がつけるようになります。5万株の甘い香り、とガイドにある通りにはいきませんが、小さな花を探して巡るのもまた、楽しいものでした。

カブだとね、高速道路ワープができないからね、フェリーの時間に間に合わせるためには往路の限界点がどこなのか、余裕をみておかないと怖いよね。
そう思いながらさらにもう1箇所、どうしても来ておきたかった箱石峠。箱石峠自体はもう毎度のように来ていますけれど、若葉の絶景に潤った目で見ておきたかったのは、

これ!いつも見よう見ようと思って訪れるのに、ついダイナミックな風景に心と目を奪われてしまって見逃してしまう、この四角い石。
箱石峠の名前の由来になった、箱石です。やっと意識してみることができました!
よし、戻ろう!

牧野戸峠を超える手前、振り返って阿蘇を眺める‥朝よりは五岳が見えているか。峠を超えるともう振り向いても見えなくなってしまう広い広い遊びのフィールド。また掘り下げに訪れますね。

ナビに道を選ばせると、自分では考えないようなルートを選んでくれて、初めて走る道には通りすがりに思いがけず面白い物があったりします。
港にだいぶん近づいてきて残りの時間的な余裕も掴めてきたので、ちょっと寄り道して福貴野の滝へ。

落差65m、ザ・滝!といった感じの綺麗な白い一条の直線が岩肌に張り付いています。ここの展望所からは滝を上からみるだけになりますが、別ルートからは滝壺や滝の裏へ行けるようです。さすがに時間がなくて諦めましたが、また別の機会に訪れてみよう。

カブの佇まいにハッとしたので撮った1枚。軽くてパワーがないけれど、疲れない。
本当によく走るしよくできたバイクだな。

これも今回想定外のルートの途中で立ち寄ることになった佐田京石という謎の巨石の柱群。弥生時代の頃のものとされていますが、いろいろ不明だとか。

ここだけでなく他にも石が立っているようなので、またここも時間があるときに掘り下げてみましょう。面白いな、カブだからか再訪する目的が次々見つかる。

前回は満潮でただの海だったのだけれど、今回は潮汐表見ておきましたよ。満潮へ向かう途中ですが、真玉海岸の浜と海のシマシマストライプをなんとかみることができる時間帯でした。ここも旅の終わり感を強く演出してくれる景色だな。

出航30分前、理想的な到着時間だ。

すおーなだフェリーのチケット売り場の建物が新調されて綺麗になっていました。シャワー室があるということを記録しておきます。夏のツーリングの帰りとか、ここでさっぱりしてフェリーに乗れるなんて最高に最高じゃないですか。コレを見越してちょっと早めに到着するのが良いでしょうね。
かわりに売店がなくなっていました。古い建物の売店、昔の駄菓子屋みたいでちょっと好きだったんだけどな。

徳山港は船が頭から突っ込んでくるので、積載する車両は船の後方を向いています。竹田津港では船が左90度ターンしてお尻をこちらに向けてゆるゆると入港するんですね。

帰りの2時間なんて、寝ていたらあっという間!と思っていましたが寝られず、その分、今回の旅をしっかりと振り返ることができました。
今回は別府に2連泊したことで、阿蘇までの往路そのものが旅の中心になるという新しいスタイルになりました。九州へ来るとついつい気持ちが阿蘇、阿蘇と焦ってしまって、阿蘇に宿泊したのは良いもののそのまま阿蘇から出ることもせずに時間を持て余してしまったり、ということを何度か経験してきました。今回のように阿蘇ツーリングと言いながら別府スタートで阿蘇までの寄り道ツーリングのルートを開拓していくというのも面白いですね。
おかげで今回は阿蘇滞在時間はほんの数瞬みたいなことになってしまいましたけれど。
実は事前に「共同浴場」で検索をかけて、自分が足を運ばない地域や知らないお風呂にマークしておいたのが今回のツーリングの骨になっています。先日の長崎ツーリングのあたりから、あらかじめ地図上に巡りきれないくらいたくさんの点をマークしておいて、それらを繋ぐルートを現地で考えるという感じになってきました。次回のためにも、全部は繋いで巡らなくても良いのです。
カタログ通りのサービスや景色を見て安心するような、全て予定調和な旅にはほとんど興味がありません。どこかに偶然と驚きとアドベンチャー感を残しながら地域を掘り下げることが、知らない土地に出掛けていく楽しさなのです。



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