
見慣れた景色の風景画が、白いジェッソを塗ってリセットされたみたい。雪の日の、特に日差しのある朝の山並みは知らない世界を見ているようです。
今季一番の寒波の雪天後の週末、しかも朝から青空です!こういう手札に猪鹿蝶全部入りみたいな日は、間違いなく人生のご褒美に思います。朝一番から日の光を浴びて愉しみ尽くそうじゃないですか!

実際カブのスノータイヤがどのくらいグリップするか、とりあえず8の字を描いて確かめてみました。ええ、綺麗に回れているように見えるけれどこのくらいの円を描こうとしたら足つき2秒加算でしたわ。

すぅちゃんが開店する11時半に現地集合とかアバウトな約束だけして、朝7時に家を出たもんだから、4時間半も氷点下の世界をウロウロと徘徊しなくちゃならない。いやー辛そー、でも楽しそーっ!

家の裏山は朝から除雪車が入ってアイスバーンを剥き出しにしてくれていたものだから、峠が越せないかと思いました。軽バンも坂道に対して斜めになってリアタイヤだけがギュルギュル回っていました。
途中で除雪車を追い越したら雪原になったので走りやすくなったけれど、こうなると夜に積もった雪の下の凍った轍がみえなくてハンドルをとられてしまう。
センターラインなんか見えないからね、道が広い広い。でも楽しみながらも慎重に慎重に。

雪がなかったら見下ろしたりしないところ。なんか雪があるとすごいところみたいじゃない?

峠越えを目前にして、雪の深さのシフトが一段上がりました。雪の深さ的には走れなくはないけれど、この後傾斜がキツくなって着座したままでは登れなくなってしまった。押して峠まで辿り着きました。氷点下とか全く気にならないくらいポカポカになる。

俺のモリワキも汗をかいている。
周りのパーツが雪まみれなので、ここだけ水滴がついているのがなんだか変。

それにしても。空の蒼さのおかげもあってどっちを向いても綺麗。

峠を越えたこちら側の方が傾斜がきついので、下り切ってしまうとその先倒木などで進めなくなっていた時に再び峠へ戻るのはさらに難しいだろうな、と思いながら、下る。

枝道。この道は除雪もなく雪の抵抗がある上に、傾斜がだんだんキツくなって進めなくなってしまいました。
スイッチターンをしようとハンドルを右フルロックして下がると、ハンドルを切ったまままっすぐ坂下の方へ車体が下がっていく。雪の抵抗×傾斜、手強い。

倒木、というかこれは木が地上から4mくらいのところで折れて電線にもたれかかっていました。こういうのを見ると、自分の通過するタイミングで木がいつ倒れてきてもおかしくないのだ、と気が引き締まります。引き締めたところで、倒木のタイミングがズレるわけではないけれど、何か起きた際の最初の0.1秒でできることが違う気がする。でも何か起きた際におそらく思っている以上にブレーキはかけられないしバイクは止まらない。そのことを意識しながら走ることが大切なのです。

普段走らない幹線道路へ入ってみたら、除雪がしっかりされていてものすごくフラットでした。路面は踏み固められているので、氷面とまではいかないまでも、雪面とも言えないようなツルツルの圧雪。
ツルツルの圧雪でもフロントタイヤが横方向へ動くときに引っかかるような凹凸がなければこういう道は走りやすい。でもスノータイヤ履きとはいえどもいつ裏切られるかわからないのでやっぱり慎重になります。

田舎にはまだ誰も走っていない雪面に一筆書きの線を入れられる道がたくさんあります。幹線道路から外れて旧道や生活道路を走る方が面白いし走りやすいし、楽しい。

大きく山を迂回したルートで11時半ぴったりにすぅちゃんに到着しようと狙っていたけれど、あやのすけさんが湯来ロッジあたりにいるようなので訪れてみました。
路傍の木々は樹氷まであともう5歩くらいかも、でも十分綺麗な桜の木。

ツララすごいな、サメの歯みたいに多層化している。
あやのすけさん、朝5時から徘徊をはじめて十二分に冬ツーリングを堪能したので、エナジー尽きて湯来温泉に浸かって牛乳を飲んでた。風呂上がりの砂谷牛乳、いいな。広島人の贅沢だ。

無事合流できたのでのんびりとすぅちゃんへ向かうと、ちょっと早めに着いたのにエンジン音を聞いてすぅちゃんがドアを開けてくれました。「中、あったかいよ」。

健さん、また来ました。僕もビール飲みたいです。

特に予定もなく急ぐ旅路でもないので、ホルモンも頼んでファイヤー!
焼肉の、なんというかコゲまで食べちゃって本当は健康的とは言い難いんだけれど、楽しければいいじゃない?みたいなところ、雪道走って本当は安全はと言い難いんだけれど、楽しいからしょうがないじゃない?みたいなところがあります。

楽しさをありがとう、すぅちゃん。
カブで雪道ツーリングして、焼肉食べて、カブで雪道ツーリングして、魂が猛烈に楽しいと言っている。この楽しさは僕にとっては嘘じゃない。

皮作家さんの工房兼店舗。世捨て人的な生き方をされている方ですが、この工房も幹線から外れているので登ってくるのにひと苦労。さらにその先へ進んでみます。

この先に大平原があるはずなんだけど枝垂れた竹で道を塞がれ、上り傾斜の途中で停車したものだから再発進が難しくて断念。この先しばらく悪路だし、多分今日は行かなかった方が良かったんだと思う。

雪が深くなって進まない、登らない。だけどだから楽しいのです。

バイクで冬の雪の日の日の出前からツーリングしてジェラート屋へ来るとか、ひと昔前ならなに言ってんのの世界でした。何が起こるかわからないね。

ジェラート屋さん、楽しいよ。ありがとう。

そのまま帰るのも勿体無いので少し遠回りをしたら、あやのすけさん、除雪路から外れてさらに奥地へ行ってしまいました。楽しんでるなぁ。

竹のアーチのトンネルだ。竹なら折れなそうな気がする、けれどそれにしても無茶苦茶曲がってる。

雪がどっちから吹きつけたのかよくわかる。

実は雪が降るたびに極楽寺(自宅近くの一番高いところ)チャレンジしているのだけれど、途中のヘアピンカーブの後の急傾斜路でいつもタイヤがスリップしてたどり着けたことがありません。今日はタイヤが空転しながらも速度が死にきらないギリギリで登り切れたので、こんな雪の本堂とか初めて拝むことができました。

綿花が豪快に茂ってるような、面白い綺麗さ。

画像処理しているみたいだけれど、雪が光を反射しているのか間接光が暗部を引き上げてるんだな。ナチュラルハイダイナミックレンジ。

この山から見える下界はいたって平和なのです。いつも書いてるけれど、海からこれだけ近いというのにこの山の峠道を越えた北西斜面の積雪は、すごい。おかげで僕の雪活がいつまで経っても終わらない。良いところに住ませてもらってありがとう、廿日市。
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