SuperCub 温泉と新緑 2日目

遅くまで起きていたらその分起床時間も後方にスライドして遅くなる‥なんてことはなく、必ず4時過ぎあたりに目が覚めてしまう。いくら残業しても悲しいことに翌朝ちゃんと出勤する(昔の)日本のサラリーマン体質になって早10余年。

外が明るくなっても頑張って布団の中に潜っていましたが、青空を見てしまったらもう、ダメですね。宿を出発します。

別府の街を散策しようと、宿の近くのゆけむり展望台へやってきました。が、展望台も駐車場もチェーンで規制されていて、午前8時にならないと入れないようです。こういうの、車中泊対策ですかね。

早起きはいろいろ得なこともありますけれど、世の中の人と活動時間が合わないデメリットも結構あります。特に地方に行くとこういう施設に入れないとか、地域色の豊かな食事にありつけないとか、ガソリンスタンドが開いていないとか。

展望台近くの、みはらし坂。この景色、初めてバイクで別府に来た時に見たことがあるので、以前この坂の上の道は通ったことがあるんだろうな。

町の洗濯場の跡地。

真水が出ていたんだろうか。

温泉水の飛沫って、携帯の画面などに散ってそのまま乾くとミネラル成分が水垢のような跡としてばっちり残ってしまうので、洗濯には向かないように思います。

そういえば昨晩宿に戻る途中で道路に停車している時、カブが白煙吹きだしてびっくりしましたが、路面のグレーチングの真上に停車していました。

いたるところから吹きあがってる湯けむり、蒸気に金属を腐食させてしまう成分が混ざっていそうで、バイクに悪そう。でも凸ってしまう。

床の鉄板とかグレーチングを触ってみると、暖かいです。この狭い路地は路地全体が温度高めでした。

表通りを避けて、路地をカブで巡ります。

ガードレールが景観配慮で塗装されているのかと思ったら、木です。

しかも既存のガードレールに木のカバーをつけているのではなく、道路側の板を外して木の板に換装しています。この通りだけこうなっていましたけれど、床を這う温泉水のパイプとあわせて、別府の路地、という風景を作っていました。

昔ムスコと来たこのあたりは鉄輪温泉の中心のようです。

ここにある一遍上人の像は、自分の体の悪いところにかけ湯をすると治るということで、僕は頭にお湯をかけておきました。

今はこうして温泉街として整っていますが、もともとの原野だったころはあちこちから熱湯と蒸気が噴出してまさにどうしようもない土地、まさに地獄だったのではないかと思います。

鎌倉時代、鉄輪温泉に一遍上人が蒸し湯をつくることで噴気を利用したことからこの地域の湯治場としての利用が始まった、とあります。お湯に浸かるお風呂ではなく、蒸気の満ちた空間に薬草を敷いてその上に横たわる蒸し湯は、今でも鉄輪蒸し湯さんで入れるということです。無料~200円程度で入浴できるこの界隈としては700円の入浴料はちょっとお高めですが、体験として入ってみても良いですね。次回の別府訪問のときの課題。

昨日利用させてもらった谷の湯さんの前を通ったので改めて全体の様子をみてみました。

150円を投入する塩ビ管。これ、おつりは手渡しなのかな。

よその土地からやってくる僕たちが別府をただの温泉の街としてとらえられないのは、別府の街の後ろに控える大草原の山、大平山の存在が大きいです。ああ、九州っぽい景色の中に入っちゃったな、と思わされる存在感。

その大平山の山裾のダートを奥へ奥へ。

朝からこんな、幸せだわ。

最初の目的地、鍋山の湯への道は事前に確認していた通り閉鎖されていました。

別のルートで山の奥へ。

到着したのは蛇の湯。森の中の小さな川が流れる沢。

川を超えたところに小屋が見えました。

ああ、お風呂だ。思っていたよりは整備されている。

早朝の森の中で入るフルオープンのお風呂、これは気持ち良い!

山側の湯舟の方が方が少しだけ暖かいのね。

お湯に浸かって驚くのは、底にある砂です。本当に山から湧いてくるお湯をためただけ、という感じ。野湯ですから落ち葉やらなにやら堆積していますが、嫌な感じがするほどでもありません。

いや、いいな。開放的すぎる。

謎タオル。使ってもいいのか?

服を着てから気が付いたのですが、さらに下段に2つ湯舟がありました。

夏場、お風呂に入ってからだが火照ったら、隣を流れる川に入るという手もあるそうです。自由だな。

ふと、女性用の脱衣場の上の電気が点いているのに気が付きました。

よく見ると、電源は乾電池です。

家庭用の洗面所の鏡を持ってきたんじゃないか、というような設備。

僕が風呂から出たところで、カップルが蛇の湯へ降りていきました。どうぞごゆっくり。

蛇の湯の先にダートが続いていたので行けるところまで行ってみたところ、途中からは大平山の登山道になっていました。カブではこの先、ムリ。

続いて、鶴の湯

これはスゴイ。湯舟は奥と手前の2か所、見るからにかけ流し。淡いブルーのとてもきれいなお湯です。

奥に源泉があるよ、とおじいさんが教えてくれました。

酸っぱいけど飲めるよ、と言われるので飲んでみたら、それほど味も香りも感じられないお湯。でも、この一帯は硫黄臭が漂っています。

かなりしっかりとした脱衣場完備。この感じだとどこかの温泉施設の一部に見えますが、有志が整備したそうです。

湯舟の底に敷かれているのもタイルかと思ったら「昔は砂のままだったんだけれど、今は耐熱ブロックを敷いている」のだそうです。

何より驚いたのは、お湯の温度が加水も加熱もしていないのにちょうど良い温度ってこと。

消火器まで置いてある。

少し手前にロータリーがありますが、大型の車が回転するために使うため、ロータリーに車を停めるのは厳禁です。ほとんどの方が道端ギリギリに車を寄せて停めていました。

バイクもそれに倣って停めようとしたら、常連らしい方が「バイクは奥まで行ってもイイよ」と教えてくださったのでここまで突っ込んでいます。僕のとは別に常連さんのカブが停まっていました。

いや驚いた。ここまで整備されていると野湯感は低いけれど、お風呂としてはほんとに良いお風呂だ。

この日、阿蘇まで進んで宿泊しようかと考えていましたが、午後雨が降るので無理に進まず別府の鉄輪ゲストハウスに連泊させていただけるようお電話しました。チェックイン時間は16時ですが、ご厚意で雨が降る前に立ち寄らせていただけるということで、これはとてもありがたいです。

少し先へ進んで湯布院へ。

金鱗湖に流れる川は、以前来た時と同じく暖かい温泉水の川です。無茶苦茶贅沢だな。ここにある下の湯は時間が早すぎて入れませんでした。

8年ぶりの訪問、岩下コレクション。

以前来た時とは順路が逆になっていました。屋内に展示してあるF86セイバーとか、インパクトありすぎです。

フェラーリF40とビモータYB9がポンっとすみっこに置いてある。

昔は子供の行く店はこんな雰囲気の駄菓子屋だったんだけどな。

大正期から昭和にかけての、日本の近代化に伴って作られた工業製品やおもちゃなどが1階の主な展示物です。このあたりの白黒テレビは僕の世代では見たことがないモノ。

矢吹ジョーのヒミツ。横から見るとこうですが、

正面から見るとカラスのくちばしか、っちゅー感じのスネ夫ヘアー。

ゼロ戦のタイヤが転がっている。

千人針のホンモノとか、ちょっと胸を打ちました。

2階・3階のバイクコーナー。

イオン1階入り口付近の自転車屋か、というような密度でビンテージバイクが並んでいます。

バーチカルツインエンジン。

横置きVツインエンジン。

これら日本車ですよ。こうして展示車のエンジンだけに着目してみると、宮崎駿さんが好きそうな時代の、バリエーション豊富で創意工夫に富んだ飛行機のエンジンにつながるものがあるな。正解に迫るために浮かんだアイディアをそのまま次々に形にしてみた、という感じ。

MG34。写真で見るより、現物はシンプルで軽そう。

このマシンガンは以前来た時に気になっていたので、今回は展示替えもあってわざわざ2巡して探しました。

数えきれないくらいバイクがある中で、岩下コレクションの第1号が真ん中の車両です。

屋外にあるワプスエンジン。このエンジンの後継でシリンダーを前後2層にしたダブルワプスエンジンはF4UやF6Fのエンジンとして、アメリカの制空権を支えた強力な名エンジンです。

カットモデルなので、シリンダー内やらOHVのプッシュロッドとかついつい覗いちゃう。

そういえばビンテージバイクのエンジンもOHVが多かった。シリンダーヘッドにカムシャフトを設けてそれを回すための複雑な動力機構を設けるというのは、当時としては煩雑だったのかな。

カブとか、それに比べたら立派。

5cmの鉄板を戦車砲で打ち抜いている。家の外壁とかひとたまりもないだろうな。

湯布院の繁華街から少し外れたところにある蕎麦屋、花野さん。

席が空くまで待っている間、会計をしているお客さんが心の底から感じ入った声で「美味しかったです!」と。それも複数名。

期待して頼んだ卵焼き。卵3個分使っているそうです。

卵に染み渡る甘い出汁でふわふわ。冗談のように先の細い竹箸でもきれいに切ることができます。

お蕎麦は十割を頼んでみました。

店舗もメニューもおしゃれなお店でしたが、卵もツユも全体的に僕には甘すぎ、濃すぎで、美味しくいただくというよりは最後は頑張って流し込むような感じで、残念ですが僕の舌には合いませんでした。

湯布院のお風呂にも入っておこうと、いくつかマークしていた共同浴場のひとつ、ゆのつぼ温泉。

黄色いポストにお金を入れる、無人君スタイル。

わー、野湯に浸かってきた身からすると、ものすごく整っていて、すごく綺麗だ。

湯布院のお湯、どんなモンなんだい?としばらくお湯に浸かっていると、だんだん肌の表面がキュキキュキしてきました。これはただお湯じゃないぞ。成分とか全然分からないけれど、家の風呂とは全然違うということは分かりました。

雨雲に追い立てられるように、東へ。ただ帰るだけというのも味気ないので、幹線道路を外れて散策など。

十文字原展望台から見る、綺麗に湾曲した別府湾と野生の猿が住む高崎山。

宿で傘を借りて、雨の中歩いてすじ湯温泉へ。名前の通り、筋に効くそうです。

100円。いいな、天然温泉100円ですよ。

こちらも浴場=脱衣場という作りです。

隣の女湯からは複数の年配の方の声が響いてきましたが、男湯は貸切。水が流せないとかお湯で体を流すと湯量が減るとかいう理由で石鹸を使うのが禁止されているという声が隣から聞こえてきました。

煙の向こうから突然車が現れるとかいうことはないのかしら。

温泉街の中にある、明治期の旅館と、

その前に残る当時の石畳。鉄輪の温泉街はアスファルトではなくタイルのようなプレート敷きですが、ここだけは往時を偲ぶ石畳です。

熱の湯温泉。無料。

100円のすじ湯温泉は貸切だったのに、ここは10人くらいの人がひしめいていました。まぁ、そうなりますよね、わかりやすい。

ということでなんと1日で6湯、人生の最高記録だわ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です