SuperCub 冬の温泉と日本海

「カブでどこか行きましょう」それ以外前夜のうちに決めたのは、とりあえずトランポでどこかへ運んでスタートすることだけ。

目的地を決めずにダラダラと知らない道へ潜り込んでいくツーリングも楽しそうだし、普段あまり関わりのない地域をスタート地点にすると道や地域に対する視点も変わるのかな、と広島市街から車で高速を走って30分ほどの千代田をスタート地点にしました。気温は3度くらい。

知らない道、初めての道となると県道やらさらに細い道になるのだけれど、山間部はまだ雪が残っています。

今回僕のカブは過去最高の出来のオンロード専用機。あやのすけさんのカブはスノータイヤ履き。見た目はカブでも用途が全然違う仕様同士のツーリングがどうなるのか‥とりあえず雪道を見つけたらスノータイヤのあやのすけさんには凸ってもらいます。

あんまり需要の高くなさそうな道は、標高が上がっていくと一度溶けた雪で固められたアイスバーンに覆われてしまいました。立って歩くのもおぼつかないようなツルツル路面で、残念ながら撤退。

スノータイヤカブ、楽しそう。

地図にない道の先は走れないトンネル。

うねうねと川沿いを走る道をショートカットするトンネルができてしまったので、用がなければ訪れる人もいないだろうと思われる断魚渓。急ぐ旅でもないので立ち寄ってみましょう、と20年ぶりくらいに足を運んでみました。

絶壁の谷の底を川が流れている、くらいの記憶しかありません。山肌に作られた階段を降りていきます。

うお、綺麗だ!

時間帯のせいもあるのでしょうけれど、まだ朝と呼べる時間帯の日差しと景色のコントラストが強烈に綺麗。

千畳敷の名前の通り、ほぼ水平の岩肌が山の谷間に広がっています。

よく考えたら谷底にこういう水平面ができること自体不思議です。

さらに、この水平面の一部分だけがクレバスのように割れていて、諾々と上流から水が押し寄せています。

案内図に「橋」って書いてあったけれど、これ?

垂直の岩肌。

川に近いところは綺麗な曲線で削り取られています。この後何度も思うことになるのだけれど、ここまで削るのに何年かかるんだろう。

岩が摩耗で角を丸められながら摂理に沿って剥がされて、また摩耗して‥を繰り返したような岩肌です。硬いんだか柔らかいんだかという感じですけれど、硬いです。

粘土の作品のようにも見えますけれど、硬い岩。

ここもほぼ全ての水量がこの割れ目に流れ込んでいます。水の侵食というよりは岩が剥がれてできた隙間のようです。

かなりの重さと圧を感じる水量。流されて水中に押し込まれたら浮上できないかもしれない。

丸刃の彫刻刀で掘ったような削られ方の岩肌。

丸い穴の甌穴も不思議だけれど、一帯がこのように削られているのもどうやったらこうなるのか不思議です。

少し上流の岩にもただ割れた削れたというだけえなく、どこか有機的な印象を受ける。角が取れていけば行き着く先は円だったり球だったりで、その制作過程の途中で放置された作品群のよう。

いや、見応えありました。時間に余裕のある、予定調和じゃない旅だから拾える発見が面白い。

日本海まで来てしまいました。

1月に、カブで、日本海。

以前朝食でおせわになった港の食堂 KANさん。今回はランチメニューです。

この日、ブリ丼が看板メニューになっていたので頼んだのがこれ。漬け、あぶり、刺身のブリが載った丼。

ガツガツたくさん食べるんじゃなくて、美味いものを適量いただける、こういうお店をいくつか押さえておきたいです。

瓦の一部が陶製の作品になっています。

こちらの屋根にも、

こちらにも瓦の作品。

昨年設置されたジオキャッシュで、イタリア人デザイナーのマチルデ・パトゥエッリさんの作品ということなのですが、正直設置意図がよくわからないのと、私有地の民家に手を伸ばさなくてはならないこと、作家の作品そのものに触れなくてはいけないこと、などいろいろ敷居が高い。

温泉津に来たので、またお風呂にでも。もう中毒になっていますね、今回も元湯温泉さんです。熱いのは分かっているのに、入りたくなってしまう。

実際46度の「あつい」に浸かると熱いを通り越して痛いのに、ほとぼりが覚めたら「次は入れちゃうかも」と思ってまた痛い思いをする。毎回コレ。でも入っちゃう。

僕が平成の初期に初めて温泉津を訪れた時と変わらず、大正期の建物、昭和初期の建物が並んでいます。次の元号でもこのままでいてもらいたい景色です。

海沿いの道の、さらに海岸線まで潜ってみたらあまり人の訪れなさそうなところに綺麗なビーチを見つけました。

こういうところってハングルの書かれたプラスチックゴミが帯になって溜まってることが多いのに、とても綺麗なビーチです。

海岸線が砂浜だったり、岩肌だったり。

奥の方は僕のイメージする岩礁に白波バッシャーン!の日本海なのだけれど、このビーチはとても穏やか。いろんな日本海を知ることで僕の日本海の平均値が変動していきます。

今回のルートで一番美味しい中低速のロングワインディングは、あやのすけさんに僕のカブに乗ってもらいました。秒で無線の圏外に行ってしまいました。

追いついたら、「これは、スポーツですわ!」と。僕のカブ、よく曲がり、よく伸びる、カブの形をしたスポーツバイク。特に今回ミシュランパイロットMOTOGPの性能がカブの能力に対して完全にオーバースペックなところに拠るものが大きいです。安心感が段違いで、無茶苦茶しても全然平気。

あやのすけさん「買います」。

ちょっと標高が高くなると、コレ。

過去にも何度か1月に日本海チャレンジしましたが、だいたいこういう道に阻まれて断念して、融雪剤混じりの水を被ってバイクが真っ白になって終わるということを経験してきたので、今年になってもう2回目の日本海って、結構嬉しいのです。

雲月山経由で帰ろうと思ったらさすがに冬季通行止めでしたし、通行止めの看板を目にする以前に雪で走れる道ではなくなっていました。

意外なことに日本海側の方が雪が多いのかと思ったら、「スキー場のある地域」に雪がたくさん残っていることがわかりました。当たり前かもしれないけれど。標高や緯度というよりも地形や地勢の影響が大きいようです。

日が落ちて道路が山の影になると気温も一気に落ちるので、そう簡単には凍らないだろうと思いながらも道路に溢れてきている遊水には気を遣います。

ひゃっはーを押さえきれない、我慢できない人。

面白かった。とても面白かった。

カブで走り回っているだけだし、なにか大きなことを成し遂げたというわけではないのに、ずっと楽しいことが続いているような感じ?日が短いことを恨んでしまうような楽しさです。

ほんの数年前、冬でもミニバイクなら島ツーリングは楽しいって気がついたのだけれど、冬に日本海へ行くのは活動範囲が格段に広がるので楽しさ倍増。装備品が充実して寒さ対策がしっかりできるようになったということもありますが、カブだから楽しめているというところも大きいです。

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