夏は暑くて嫌だ。
とか言うのって、広島は田舎だから嫌だと言いながら都会に住んでみると広島を懐かしむのと似ている。夏が過ぎると、夏が懐かしく、もっと夏らしい暑さを味わい尽くしておくべきだったと猛烈に反省することになるからです。毎年のことなのでおそらく間違いない。だって、今は冬に対して同じことを感じているもの。
ということで前日に広島の最高気温が更新されるっていうくらいの暑さが続くなか、今日も暑くなるのが分かっていても暑さも含めて夏を楽しみ尽くすために、いつもの時間にいつものあやのすけさんと待ち合わせをしました。いや、この日のあやのすけさんはいつものあやのすけさんではなかった。
あやのすけ:「セローのエアフィルタ交換したらパワーがでた」
なんだと!?先週の砂埃の中を丸一日疾走した播州アドベンチャーラリーが終わって、そういえば洗車は念入りにしたけれどCRFのエアフィルタの確認をしていなかったな。
蓋を開けてみた。
うえ、砂埃すご。
指で拭うとくっきりと跡が残るくらいには砂埃が積もってる。こういうの、エアフィルタつけた状態でエアブローすれば良いのかな。とにかくボックス内が粉粉している。
乾式エアフィルターの山の部分は酷いことになっていたけれど、谷の部分にはそれほど埃の堆積がなかったので、見なかったことにしてそっと組み直しました。家に帰ったら思い出して発注しておこう。
大朝を通過するルートだったので、途中にあるテングシデの巨木の生え並ぶ広場に立ち寄りました。実はここに来るのは4回目、過去3度はキャッシュを見つけられずに敗退している場所です。
あやのすけさんと視点を変えて程なく発見。この見つけられなかったキャッシュのおかげで四季折々のテングシデを愉しむことができました。
通りすがりに目の端にとまって、思わずUターンした車。
ヘッドライト周りのグリルの形状に特徴があります。
HONDA1800と書いてある。
ドアの内張をみると、クルクルハンドルがない。昭和のくせにパワーウインドウですか。
朽ちているのは車だけではなく、この車が収まっていた駐車場も床が抜けたようで、車の後ろ半分は谷へ落ちるように車体がヘの字に湾曲してしまっています。
X(元Twitter)で車種の特定をお願いしたら、程なくホンダのアコードサルーン1978〜80年式という返信がありました。またこの車の朽ち具合を定期的に観察してみることにします。
原山雲海ロードの橋の上から見る、このまとまりと雑然さ絶妙に組み合わさった景色には妙に惹かれるものがあります。
この写真を撮ったあと、下の道を走ってみました。下の田んぼの周辺からではこの景色の面白さは全然分からず、視点を変えることで視点を変えることの大切さに気が付くという視点を得ることができました。
この伐採が終わった重なり合う山肌も、朝の光だから面白い。昼に見るとおそらく心に響く面白みが断然少なくなっているはずです。同じ場所でも視点だけでなく時間も変えてみると面白さの幅が広がることはよくあること。
今日出かけるきっかけになった目的地、国の名勝 千丈渓 一の滝。滝壺から水が溢れて滝になり、その滝の滝壺から水が溢れて滝になり‥を繰り返している面白い地形です。この景色を楽しめる場所に設置されたキャッシュが数日前に公開になったのでやってきました。
Googleマップでここを指定して訪れようとすると、ひと山向こうから歩けという案内が出ます。道も細くアクセスが難しいこともあってか、人が全然居ません。あ、人が居ないのはまだ7時台で時間が早すぎるからか。
Googleマップに載ってない道。
Googleマップに載ってない道‥。
草むらの下に岩があっても、この茂りっぷりでは路面が見えません。乗車したまま岩を踏んでしまって谷側へ倒れてしまったら、バイクは崖上に残っても勢いで人が千仞の谷へ真っ逆さま‥となりかねない。そもそもどこまでが道でどこから崖なのかも見えない。落ちたらおそらく骨も拾いに行けないので、セローでは推奨されている二輪二足の、究極系(押し歩き)で進みました。
三瓶山に新しくオープンしたライダーズカフェが今日は特別に早い時間から開いている、とあやのすけさんが言うので三瓶方面へ向かうことにしました。
河川敷までおりたとたん、崖上の緊張から開放されたのかまっすぐ河原の奥まで凸る人がいた。
そのカフェに到着。
「トレヴ キャフェ・ド・ラ・モンターニュ」という店名は、ムーラン・ド・ラ・ギャレット張りに一回じゃ覚えられない系です。
とてもおしゃれ綺麗な内装で、訪れるところを間違えてしまったのかと思いました。1ヶ月少々前の7月11日にオープンした、昼はカフェ・夜はバーというお店です。
黒茶白色と長めの直線でカウンター席はすっきりシンプルにまとめてあります。
昼の光じゃなくて夜の光を見に来てみたいな。
車中泊&天体観測をセットにした営業とかしてもらえないだろうか。月明かりのない週末にお酒をいただきながら天の川とか、通いはじめるのは多分僕だけじゃないでしょう?
お座敷があるのもおもしろい。グループでゆっくりお酒をいただくのに良い空間ですね。
いや、お酒飲んだら帰れないから。やっぱりもう泊まり込み態勢で‥。
到着したら何かをオーダーするより先にアイスコーヒーを出していただきました。はて、どうなってるのかと思ったら、8/19(バイクの日)にあわせて、この週末は早朝オープン&ライダー限定でアイスコーヒーのサービスをしているとのこと。
多めの雲で和らいだ日差しの下、外で冷たいアイスコーヒーをいただくのは予想外で素晴らしく気持ちが良かったです。
三瓶ということでついつい気持ちも目線も三瓶山へ向かってしまいがちだけれど、テラスから見えるこの山並よ。
遠景になるに従って薄膜のフィルタを重ねて透かして見るような、幾重にも重なった山々の景色を楽しめます。早朝なら雲海も見えるようです。
駐車場も広々。
おぢさんものびのび。
ドリンクをいただくだけでなく、ハンモックやブランコベンチでのんびりさせていただけるのはとてもありがたい。季節と時間を変えて、また是非訪れたいです。
夏の日中の訪問は帰りのことを考えると暑くてしんどそうだけれど、秋になれば日中にも来られるね。
店の外の掲示板のQRコードを読み込むと、トレヴのマスターがご自身のバイクで三瓶周辺を巡って紹介したいと感じた「地図には載っていない三瓶ガイド」をGoogleマップに取り込むことができます。
こういった、地域に一歩踏み込むことで見つけられる情報を共有していただけるというのは嬉しい人が多いのではないでしょうか。僕もその口だし、僕のブログもそうありたい。
三瓶山周辺でちょっと変わり種としてマークしていたいくつかの温泉のひとつ、小屋原温泉 熊谷旅館。
昭和テイストの外観は、昔学生のころスキーツアーで利用していた旅館を思い出します。
ロビーもこのまま維持し続けると時が経つにつれて価値も増していきそうな雰囲気です。右の壁に掛かっていた滝の絵が良い絵だったよ。
色なのかな、形なのかな、もしかしたらヤレ具合なのかな、とにかく昭和テイスト。
洗面所とか、旅館というか昭和の学生寮っぽい。好き。
ふりむいた先の廊下にも一朝一夕には醸せない雰囲気があって、この廊下に旅館の隠し玉とも言える4つのお風呂が並んでいます。
入湯料は600円で、空いている時間であれば4つあるお風呂のいずれかを貸切個室として利用させていただけます(一組50分)。
1番手前。
2番目はご利用中だったので、3番目。
4番目。
面白いのはこのシステムだけでなく、泉質も個性的で、
好きな人にはたまらない、この堆積物の量。お湯にはオレンジ色の鉄系の浮遊物が大量に混じっている。でも濁り湯ではない。
浴槽の縁は鍾乳石化しはじめている。浴槽内もかなりデコボコ。
洗面器とか、色づきが最高に良い。洗面器としての天寿を全うするまでこのまま使い続けて欲しい。
混合栓も、使えるのが不思議というかこれで使い続けているのが不思議というか。好き。
おそらく水の蛇口。三瓶周辺の他のお風呂と同様、ここもぬる湯なので水で温度を下げる必要は全くありません。
そしてさらに、ここは結構な炭酸泉なのです。
脱臼したような指に見えるけれど、あれは目の錯覚。
僕の知っている限り、中国地方ではピカイチのシュワシュワ具合で、ぬぐってもぬぐっても泡が張り付いてくるヤツ。
受付の方は「泉質は4つとも同じです」と言われていましたが、あやのすけさんの入った4番目(一番奥)は泡がそれほどでも、ということでした。僕が入ったのは3番目。
風呂からあがろうと浴槽の縁に手をつくと、ヌタっとした感触‥浮遊物の沈殿したものが泥のように積もっている。
入浴中に浴槽に触れていた尻や背中にも結構付着していました。
このお風呂の入湯体験では、風呂に入る(湯を浴びる)という体験はものすごく層の低いところにあって、それ以外の思い出が上の方に分厚く載っかるというのは間違いありません。
ここ最近タオルが茶色になるお風呂ばかり入ってきましたが、過去最高に体を拭うタオルが茶色になったよ。
どうもここは4つのうちの2番目のお風呂が一番人気だということなので、またあらためて訪れてみなくてはなりません。ぬる湯なので、寒くなる前に。
月刊日本海。水平線がかなり横長く見えている場所なんだけど遠いから写らないね。
一月半前に訪れた時には、鳥居の台座、見えていませんでした。浮布の池。
ダム湖というわけではないのだけれどすぐ傍に水門があったので、田畑の灌漑用水として利用されているのかもしれません。
前回も湖面に映る逆さ三瓶は見えなかったけれど、今日は前回以上に不発でした。
トレヴのマスターの三瓶周辺ガイドで、林業用道路と書かれた道があったので踏み込んでみました。
三瓶山って周回道路があるのでついついそこへ近づいてしまうし、離れると山体が他の山や障害物に隠れてよく見えなくなります。それだけにこうしてちょっと引いたところから山全体を見ることができる、ということが新鮮でした。
枝道を見つけては入っていくスタイル。ほとんどが作業林道で行き止まり。
枝に道を塞がれるスタイル。
その道の終点の、国道に程近いところにある湯抱温泉 中村旅館。外観こそ古びた感じもあるけれど、中は手入れが行き届いて整っているとのこと。ここは特に堆積物が鍾乳洞の千枚田になっているお風呂が絶品なのだそうで。食事と込みで入湯できるので、いつか予約して訪れてみたいところです。
ありがたいことに雲が程々出ていて、直射日光にジリジリ焼かれることなく南下することができました。蕎麦が食べたくてエコミュージアム川根へ。
ようきちゃんさった、は広島弁としては結構複雑化しちゃりんさってるんじゃないかな。
とてもベーシックな天ぷら蕎麦で、これが普通に満足できた。食べたいときに食べたいものを良いタイミングで食べることで、より美味しくいただきんさった。
まっすぐ太い道を走れば早く帰れるのに、細くて複雑な道の、さらに枝道へ入っていってしまう病気。毛細道現象とでも呼ぼうか。たまに血栓があって通過できない。延々逆流させられるハメになりました。
高田インターあたりまで夏の暑さにやられることなくたどり着いて、この日はここでお開きです。田んぼには秋の色が入り始め、夏の雲ほど湿度を含んでなさそうな雲が、空を気持ちよく流れていきます。あやのすけさんはそのまま帰りやすい下道で。僕は高速へ。
暑くても後悔のない夏、を堪能するために走った日だったけれど、割と夏っぽさの低い行程でした。そこで自宅近くの沿岸部まで高速を使わず、途中で高速を降りて小一時間下道を走ったところ、最後の峠を越えてから沿岸部まではまだしっかりと夏の空気と日差しの中を走ることになりました。今日はコレのために走りに出んだけど、ものすごい手間暇かかっちゃったな、というオチ。
今回も半日なのに、濃ゆいツーリングになりましたね。
ただ廃道寸前の道に入るのは夏はリスキーということも学びました。
それにしても三瓶エリア、面白くなってきましたね。アクセスルート開拓しなくては。
>あやのすけさん
冒険旅・発掘旅としては最初の長い林道が一番思い出に残るツーリングでしたね。三瓶の知らないエリアをたくさん教えていただいたので、今度は検証旅に行きましょう。