
盛夏といえる季節がやってきました。この時期になるととてもじゃないけれど日中バイクで走るのは純粋に楽しいとは言えなくなります。暑いを通り越して熱いので、なにかしらの涼をとる対策をせずに日中ツーリングをしている人たちを見かけると色々と余計な心配をしてしまいます。
ここ数年僕は保水力のある水冷服をいろいろ試して(全部で4着あります)、ミスト用の霧吹きを持ち歩いて腕や体に吹き付けることで夏を乗り越えています。暑いのは嫌でも、夏のツーリング向けの熱対策をあれこれ試して走ること自体は夏ならではの楽しみのひとつになってきました。

あやのすけさんと6時前に合流して三瓶方面へ向かいます。国道を避けて三瓶方面へ北上していると朝日を受けた田んぼ一面に鳥が羽を広げたような模様がたくさん見えました。
Uターンして覗き込んでみると、

朝露を受けた蜘蛛の巣が顕になっているのでした。今までこういう風景は何度も見ているだろうにどうして気が付かなかったんだろう。
これは順光で光を受けている田んぼでは見えません。逆光だからこそ見える景色です。その後も気をつけて逆光の田んぼを見てみると、場所によっては皆無。場所によってはちょびちょびだったので、ここは特別に蜘蛛の巣が多いところではあったようです。

古い木製の橋を見つけて渡河します。面白い欄干が、面白い影絵をつくっています。

あやのすけさん、その先の高台にある神社が気になったようです。お互いの張っている琴線の種類が違っていると、同じ景色を見ていても響き具合の違いに、お互いが助かります。ここは夏の朝の空に幟が並んでいたので、夏祭りでも控えているのでしょうか。

黄色いハト標識、なかなか見つかりませんね。これはハゲロでしょうか。
落石注意の図柄って重力加速度とか意識されていませんよね。岩の間隔、下に行くほど広がっていればより動的に捉えられる看板になったでしょうに。そもそも山頂にこの岩はどうやって載っていたんだろ。

狭い場所でアクセルターンをしたらフロントが道幅を超えて路肩の山に載ってしまって転んだ図。

気になってしまうと、ほぼ間違いなく僕の思っているラインの1割くらい先まで遠慮なく進んでいく人。

でも、この日一番の発見はここでした。この池に架かる橋に辿り着きたくて入っていった、地図に載っていない道の果て。素晴らしいリフレクション!

アルミラダーを登る風景は、もう天地がどうなっているのかよくわからない絵になっています。

三瓶山までは三次の手前から北上する谷あいのルートを繋ぐことで、ほとんど日差しを受けずに走ることができました。真夏でも朝出発でこのルートならほぼ全線快適に走って三瓶山まで到着することができますね。
そして三瓶山に到着してすぐ、藪漕ぎして、道がわからなくなって、Uターンする、よく見る風景。セローのハンドル切れ角と足つきの良さが光る場面でした。CRFよりも切り返しの回数が明らかに少ない!

先日690DUKEで来たときに見つけた、三瓶山の周りを走るダートを走ってみました。どの枝道も途中から藪漕ぎ大会になって抜けられない道でした。

三瓶山北の原の姫逃池では、朝も早い時間だというのに手に手に小さな手帳を持った高齢の方々が無言で湖面を眺めていました。何かのパフォーマンス集団の表現の中にうっかり入ってしまったのかと思ったら、「ライダーに乗ってきたの?」とおばあさまに声をかけていただきました。おばあさまによるとみなさん俳句の会の方々だそうで、湖面を見つめながら言葉を探していらっしゃったんですね。
おばあさまと少しお話をして、別れ際に「この出会いも、歌に残してくださいね」と声をかけると即興で
「ライダーの 笑顔に残し 三瓶かな」と詠んでくださいました。

北の原から三瓶山を反時計回りに走っている途中、日本海が見えるんですね。時計回りに走ると気が付きにくいところですが、これまで何度も反時計回りにこの道を走っているのに今日になって初めて気が付く始末。でも、それだけに感動が大きいです。

また来てしまった、亀の湯さん。
福井県から温泉ハシゴ旅行中の方の長話に捕まって小一時間湯に浸かっていましたが、ぬる湯なのでのぼせたりということはありません。
座り姿勢で長い間動かずにいたせいか、湯船から上がって太ももとか特に動かさなかった箇所を拭うと白いタオルが茶色くなってしまうくらいには沈殿物が体に張り付いていた様子です。
ハシゴ旅行の方によると、この近くに朝8時から営業している千原温泉という炭酸風呂があるそうです。シュワシュワ泡が肌に張り付くような炭酸泉ではないものの、湯上がりポカポカだそうで、そのお湯は浴槽の底から湧き出しているとか。次のツーリングの目的地になりました。

風呂で福井の蕎麦の話をたんまり聞いたので、蕎麦が食べたくなって移動開始です。

手打ちそば千蓼庵さん。十割蕎麦。
三瓶までの往路が最高に気持ちよかったのもあって、お昼前後に真夏の日差しを受けて少し暑くなるだけで嫌な感じがします。そこで水冷服を装着。服が濡れている間は涼めますし、霧吹きも取り出しやすい位置に置いて腕などに保水することで、涼を感じながら走り続けることができます。
朝風呂して、食べたいものを食べて、夏の暑さを避けて爽やかに帰ってくる、って真夏の贅沢ツーリング。ちょっといいでしょう?
いつも土手の上を軽く流すのが定番なのですが、雑草の伸びが凄すぎて視界が遮られがちです、この季節は自然の凄さを感じます。
風の気持ちいい曇りの日を待つ…