夏の間は暑くて、日帰りツーリングは半日で切り上げてお昼には帰宅するツーリングばかりしていました。9月に入ったことだし昔ながらの早朝出発して丸一日走るツーリングでもできないものかと、夜明け前に家を出て、流れ流れて下関へ向かっていました。
山口県内の、まだ見ていない2つのハト標識目指して到着したのは家を出て4時間後‥下関、遠い‥。
これ、惜しいな。
あれ、もしかして下の看板って「この先T字路」専用標識じゃなくて「ト」看板を90度回して転用してる?
今回も、ハト標識が視界に入ったとたん「ハト!ハトぉぉ!」とテンションの高い声が漏れてしまった。ハト標識を冷静に受け入れられる人、いるんだろうか。結構希少なだけに、見つけた時の喜びはとても大きいよ。
朝は寒いくらいだったのに、日に当たるとジリジリと熱いです。
それにしても。実は今日は自宅から真北の温泉津温泉へ行こうと考えていたのに、下関の海岸線へ来てしまった。90度どころか結局方向は同じなんだけれど気分的には270度ズレた感じがするなぁ。
海の水が綺麗な上に、白砂の浜だと抜群に気持ち良い色彩になるのよね。
国道を外れて細い道を選んで走っていたら、記憶の隅に残る景色が目に飛び込んできました。場所なんかすっかり忘れていたけれど20年くらい前にジミーと野宿した浜だわ。
昔は目的地も決めずにどこか適当に流れ着いて泊まることだけが目的のツーリングをよくしていました。この浜では飲みまくって、酔っ払ってテントも立てずに砂浜にそのまま寝た覚えがあります。翌朝入った朝風呂温泉の気持ちよさが格別だった!
海沿いダートって、岡山で走った時も思ったけれどアガります。行き止まりだったけれど、リバースしても全然悪い気はしない道。
空に雲が出てきたので角島はスルーしようかと思ったけれど、せっかく本州西端あたりにきたのだから寄ってみますか。
ハ、ハ、ハ。
角島はピーカンでした。それにしても空より青い海って‥。
晴れていれば、ココ、間違いないですね。とても綺麗。橋の入り口あたりは遠浅の白い浜で、恐ろしく気持ちが良いので珍しく2往復してしまいました。
ジミーで思い出したけれど、ジミーはこういう気持ちが良いと思ったところは飽きるまでそこで時間を潰すタイプで、それに付き合う僕は1日の行動予定を頭の中で常に組み立ててなぞることを目的にするようなタイプだったものですから、結構イライラしながらその後の行動予定をその場で組み立て直していました。
今になって思えば、当時も別に目的地があるようなツーリングをしていたわけじゃないし、予定通り計画通りということには何の意味もなかったわけですから、ゆとりそのものを楽しんで大切にできていれば良かったんだろうな、と思います。今日みたいな自由度100%のツーリングで、あの頃の時間の過ごし方の大切さの理解が深まりました。
角島と、角島大橋の見える山頂の芝生の展望所。ここへ来る道は普通車では上がる気が起きないような結構な悪路なのでほとんど人が来ないのでしょう、前回も貸し切り、今日も貸し切り。ロケーションは最高です。
展望所の木陰で昼ごはん。コンビニで買っておいたパンとおにぎりのチープさが、誰も来ない展望所の雰囲気を良い方向へ盛り上げてくれます。もう、本当に、これでいいじゃん。
常に風が吹いていて、気持ちが良い。イラチなので飽きるまでとはいかないまでも、何かに充されるまでは十分時間を潰しました。
なんだかんだと山陰を走ったら訪問する機会の多い香月泰男美術館へ、今日は足がこっちを向いた時点で立ち寄ろうと決めていました。三期にわたって画業を振り返る没後50年展の第二期ということで、今期はシベリアシリーズが1点も展示されていませんでした。
抑留や死といったテーマに触れることなく、画家の日常的な視点で様々なモチーフを描いた作品群に「明るい香月泰男」という僕の中では比率的に少なかった香月泰男の領域が広がった内容でした。香月泰男の作品は気取らないからこそ嘘がつけなくて、心の内というより純粋な心の底を覗かせてもらったような思いにいつも落ち着きます。
うちの麦茶の絵を、写実じゃなくてその骨となる要素だけで猛烈に描きたくなりました。1枚2枚じゃなくて、100枚目くらいで本当に描きたい線が出せそうな気がする。自分で自分の100枚目が見てみたいと思ってしまったし、誰かにその底が伝われば良いなと思いました。
アトリエとガレージはキッチンと通じるものがある。
美術館で入り口の正面の石。
一瞬一生、と書いてある。
生きている間の時間の価値なんて、100%自分が決めているわけだから、一瞬にでもどのくらいの価値を込められるかなんて、本当にその人次第です。一瞬一瞬に生涯分の価値を込めていけば、何と充実した時間を積んでいけることでしょう。自分の尺度で構わないから、日々を、いや毎時間を、いや一瞬一瞬を丁寧に過ごしていきたいものです。
何か、残せるものを時間に追われることなく猛烈に制作したくなってきたな。
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