GROM オーリンズフロントフォークダンピングキット

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これまでダンパーオイルを全量カヤバの30番に交換して、不具合なく走っていました。ところが先日の愛媛大会でお借りした作田さんのオーリンズのフロントフォークダンピングキットを投入済みGROMは、走り出した瞬間に「!!!!」となるフロントの接地感。ダンピングやコシという点ではカヤバ#30でも問題なく走れるのですが、安心感が違う‥リアサスも含めてセッティングが出るとこれ程まで違うのか‥これはこれは‥と自分もGROM1に投入することにしました。

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カヤバの30番を排出。トロットロ。

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自宅で一度しげきさんのGROMのフォークでこのキットを交換したことがあることから割と気楽に始めましたが、この緊張感のなさが後々仇に。シールを抜く前提で作業を始めていますが、ダンパーキットを組むだけならアウターとインナーを分離しなくても作業ができることも忘れていました。

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インナー抜き取り。

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スライダーが結構摩耗していたから結果インナーを抜いて良かったんですけど。新しいものに交換しておきます。

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ここで専用工具の登場です。オーリンズ製のインナーチューブの固定具と、インナーの底の蓋を回すための14mmのヘキサゴンの棒。前回の交換の後、しげきさんが置いていってくれたものです。これが結構良い値段するものなのです。

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インナーのオリフィス穴に工具のボッスを差し込んで‥

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インナーチューブを挟み込みます。これをバイスで挟んでインナーチューブを固定します。

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ねじロック剤を溶解するためにバーナーでアンダーブラケットの膨らみの終わるあたりをまんべんなく焙ります。ここで心配なのは塗装大丈夫なのか?とかフォークオイルに引火しないのか?ということでしょうが、両方とも大丈夫です。先にパーツ洗浄とかしてパーツクリーナーを吹きつけまくっていると、大惨事になるかもしれませんから、洗浄は作業後が良いと思います。

どの程度焙るかというのが難しいのですが、「かなり熱くなるくらい」です。

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最大の注意点の一つ。このアンダーブラケットは逆ネジになっています!

適当な太さの棒がなかったので、アクスルシャフトを通してねじりました。ちゃんと加熱できていればそれほど力を入れなくても結構簡単に回ります。回りが弱いようであればもう一度加熱してやるとよいでしょう。

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ねじ部のロック剤はボロボロと崩れるようにとれます。

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もうひとつのSST、14mmのヘキサゴンボルトを差し込んでインナーチューブの底の蓋を外します。ここは正ネジです。外れた蓋にはゴムのoリングが2本くっついているのですが、熱に侵されなかったのか心配になります。

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蓋を外すと、ワッシャー、スプリングとご対面。スプリングを抜くと、ダンパーロッドが出てきます。

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インストールするオーリンズのスプリングとダンパーキット。圧側と伸び側、右左それぞれ別々に受け持つようです。

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上が純正のロッド、下がオーリンズのロッド。純正ロッドについている部品を一部外してオーリンズ側へつけることになります。これについては付属マニュアルに丁寧な図解がされています。

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パーツを組み戻して蓋を閉めます。ここの締め付けトルクは30Nm。

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ロックタイトを塗るということになっているので、どの程度塗ればよいのか分かりませんが中強度の243を一応塗っておきました。

アンダーブラケットを取り付けて、アウターケースに挿入して、オーリンズの指定オイルをGROMの規定量(221ml、油面75mm)注入。

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ノーマルのロッドと違ってオーリンズのロッドには上端近くに10mmのレンチをかけられる切り込みが掘ってあります。ノーマルのロッドにはこれがついていないので、ロッドとキャップを固定するためのボルトを20Nmで締めろといわれても難しい構造になっています。

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こんな感じでレンチをかけて、中央のボルトを規定トルクで締めることができます。

ここで、そういえばトップキャップは純正のものじゃなくてオーリンズのトップキャップがあるんだったと気づきます。

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オーリンズのトップキャップ。なかなかシックで目立たなくてよい感じ。

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ケースから取り出してみて‥あれ?何よこのカラー‥。

付属マニュアル(タイ語&英語)の全パーツのバラバラ図を見てみると‥スプリングの底にカラーを入れることになっているなないですか‥!

過去に一回組んだことがあると思って、元あったパーツを組みなおして終わると思いこんでいましたが、追加の部品があるということを完全に失念していました。

また全バラ‥しかもロックタイトを塗りすぎたのか、アンダーブラケットが全然回らない。かなり難儀して交換しました。

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あらためて組み直し。これをもう1本だぜ‥。

左右どちらのフォークを圧側・伸び側にするという指定は特にないのですが、うちのは左のフロントフォークがコンプレッション、右がリバウンド担当ということにしました。

トップキャップはノーマルは36mmですが、オーリンズは34mm。締め付けトルクは30Nm。

手で押してみる分にはサラッサラのフォークオイルのなのに凄いコシ。走らないとバネのコシなのかダンパーオイルの流れ方のコシなのかわかりませんけれど、ノーマルとは比べ物にならないくらい踏ん張るフォークになったようです。

参考:英語ですが丁寧に交換作業を動画で紹介してくれています。

4 Comments

田中 靖之

はじめまして

いつも楽しく拝見しております

写真付きで丁寧な解説なので趣味程度に整備しかしない自分にもわかりやすくとても勉強になります

自分もオーリンズフロントダンピングキットを検討しております

装着の際にいろいろと質問させていただくと思いますがよろしくお願いします

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つがたく

>田中さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
このキット、普通の道を走るにはちょっと硬すぎるんじゃないかと思うのですが、外部から操作できる調整機構がないのでオイルの選択や油面がキモになるかと思います。
正確かどうかはわかりませんが、オイルメーカーが粘度の一覧をPDFファイルでつくっているのをみつけましたので、参考にどうぞ。
https://t.co/D3SG3gHp6B

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@ゆうせい

はじめまして

今年からGROM乗りになった「@ゆうせい」と申します。
自分のGROMにもオーリンズフロントダンピングキットを組むべく、先日注文しました。
只今、以下マニュアルを読みながら交換作業の予習をしているところです。
https://www.ohlins.eu/download/db/Ohlins_DTC_mounting-instruction-fdk-111-english–00002141.pdf

併せて、貴殿サイトも参考にさせていただいております。
写真も綺麗でとても分かりやすく、大変参考になっています。

一つ質問があるのですが(マニュアルを読んで良く分からなかった)、純正パーツからの転用品はどのパーツが該当するのでしょうか?
もし、お時間があればご教授お願いいたします。

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tsugataku

>ゆうせい様
コメントありがとうございます。上の動画の14分過ぎ辺りから取り外すパーツについての作業をしています。
なにせ昔のことでしたから忘れてしまっている部分もありますが、PDFのマニュアルの6ページの11という部品だと思います。

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