XL1200C 雑感‥

前々からおじいさんになったらハーレーに乗ろうと思っていました。図らずもおじいさんになる前にハーレーに、それも一番好きなスポーツスター、それも一番シンプルなXL1200Cにたっぷり乗ることができたので、その感想など。

多分、ハーレー乗りの人と普段ハーレーに乗っていない人とではいろんな意味で基準が違うんだと思ういのですが、今回一番プアで何とかして欲しいと思ったフロントブレーキの効き(の悪さ)について、ハーレーダビッドソンジャパンの試乗体験コーナーでは「止まる!」「劇的に改良されたブレーキ性能にビックリ!」とか書かれていましたので、こういう人がいまどきのラジアルポンプマスターのブレンボ付きバイクに乗ったりしたら「死ぬほど高性能な!」「ブレンボ、メチャ効く!」とか言うんでしょう。違うのよ、ブレンボが普通で、ハーレーが死にそうなくらい効かないブレーキなのよ。

というわけで、感想といっても僕基準の雑感、どちらかというとカルチャーショック的な部類の記録です。

エンジン:
借りた時点で800km点検(1000kmじゃないのね。その時点で基準が違う‥)が終わっている状態だったので、それなりに回しても良いんだと思って走りました。20年前に乗った時は4000回転も回すと車体がバラバラになりそうなくらいの振動で怖いくらいでしたが、今のモデルは回転数が上がっていくと振動がどんどんなくなっていって気持ちが悪いくらいスムーズに回ります。高速道路では追い越し車線を流れる車両と一緒に走り続けても全く不安はありません。今までハーレーで100km/h以上出して走っている人の姿は、見えない敵と闘っているようで感動的!男らしい!と思っていたのに、幻想でした。全然そんなことはありませんでした。

4速と5速の間が離れているようで、5速は80km/h以上でていないと気持ちよく使えません。街なかは2速・3速といった感じです。今回のツーリングでは20km/Lで走りましたが、街乗りだと燃費悪いかも。

親父が「エンジン浮いているんだよ」と言うので寝言かと思ったら、アイドリング時の結構振動している状態でエンジン本体とフレームとのクリアランスが揺れながら変化しているので驚きました。覗き込んでみるとホントにロッドを介してフレームの中でエンジンが浮いていました。フレームの中でズドドンズドドン‥と揺れるエンジンは、生き物みたいでカッコイイです。こんなエンジンが高回転になると振動も無くスムーズに回るのがとても不思議。

走っている最中に表情がどんどん変わるのも不思議。ピチピチとタペット音(OHVってタペット?)みたいなノイズがしていたと思ったら消えたり、振動の発生する回転数が変わったり、特定のギアの特定の回転域だけに妙な振動が発生したり。とにかく不思議。

クラッチつないだ瞬間のスルスル進む感じはとても良いです。低回転だともっとストールしやすいかと思っていたのですが全然そんなことなくて、Uターンも不安ではありませんでした。

乗りやすく、扱いやすく熟成されてきた感じがありますが、従来僕たちが抱いていたハーレーのイメージとはずいぶんかけ離れたものになってきているように思いました。あなたのジャンルは、ホントにそこ?みたいな感じ。

足回りなど:
ハンドリングは非常に良いです。直進安定性が高いだけかと思っていましたが、重いので軽快にというわけにはいかないまでも慣れればワインディングも結構楽しいです(バンク角は異常に浅いですけど‥)。ノーマルのリアサスはいつ底突きするかわからない不安はあります。あの車重を支えながら、ゴツゴツした硬さにしないとなると、ダンパー勝負の設定になると思うのですが、もともと取り付けてあるサスペンションを外から見る限りではその辺のことは諦めている感じがします。

フロントサスペンションの動きは全然気にならなかった、ということは良い設定だったのだと思いますが、路面の細かい凸凹は前後ともかなり拾うので、特にリアサスをリプレイスするとメチャクチャ乗り心地が良くなりそうです。

ブレーキ:
リアは踏み込めばロックする程度は効きます。フロントブレーキが‥絶望的なくらい効かない、というか使いづらい。何の調整も出来ない妙にデザインされたレバーがとても握りづらい。今回走ってみて、ブレーキさえよくなればもっと走ること自体を楽しめそうなのに、非常にもったいないです。

付属装備など:
メーターのデジタル表示部は「オド」→「トリップA」→「トリップB」→「時計」→「ギアポジション/回転計」を左手親指の操作しやすい位置にあるボタンで切り替え。2速~4速がどこでも走れるようなエンジンなので、ギアポジションが分かるのはとても助かります。
スイッチ周りの配置は、見た目は悪くないけど使い勝手は‥。スターターとハザードが何で一個のボタンなんだろう。

スタイル:
ハーレーの中でも自分が一番好きなタイプということもありますが、お尻の下がったコンパクトな車体はどのアングルから見てもカッコイイです。メッキパーツがふんだんに使われていてキラキラピカピカしているところも、カウル付きのバイクと並ぶと金属の塊りって感じで別格。いつまでもピカピカさせたまま走らせたいです。
もう古い発想なのかもしれないけど、バイクの形って外から決まるものではなくて中から決まってきた結果の表れだと思うのです。「機能がそのままデザインに繋がっているもの」なので、エンジンそのものが隠されずにデザインのひとつとしてきちんと見える(また見えることで冷却されやすい)というのは僕の中ではバイクらしいバイクという感じがしてとても好感が持てます。

インチネジのピッチもミリネジに慣れた目からすると、とてもピッチが荒くて大雑把な感じがします。でも、なんでもないナットも回り止めナットにして振動で抜け落ちないように気をつかっていたり。なんか全体的には「これじゃ駄目だ‥」と言うことに気がついたところから改善していっているように思うのだけど、まだまだ中途半端だし、そもそも「これじゃ駄目」なんじゃなくて「そこがハーレー」だったんじゃないかなぁ‥と思います。

このバイクを自分が持つとしたら、まず軽量化とフロントブレーキの強化‥それからそれから‥とやっているときっと最後にはビューエルができあがるんでしょう。要するに、自分じゃしばらく買わないってことか‥。自分がおじいさんになった頃、日本車みたいになってなければいいんだけど。

2 Comments

タダシ

実は私も20年ほど前から「いつかはスポスタ1200!」なんですよ。

あっちこっち自分好みに弄っていくと、「最後にはビューエルが出来上がる」には思いっきりフキました。
( ̄▽ ̄)
ここ最近はダイナくらいしか乗ったこと無いですけど、絶望的に止まらないですもんねぇ。
(^_^;)

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>タダシさん
20年前のハーレーとは似ても似つかない、「よくできた」よくないハーレーになっているように思います。昔と変わらないのは、金属の塊感だけとも‥。

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