
嘘を書いていたらすみません。
ジムカーナ歴30年、一般道歴40年の経験から感じている、一般道を気持ちよく走るための足回りセッティングについての考え方です。
結果的には速く走ることにもつながりますが、ここではあくまで「一般道で気持ちよく走れるバイク」を目標に話をします。
二輪車は一般的に前後輪の、車高が低い側から倒れていくという傾向があります。
リア下がりだと、リアタイヤがバンクして生まれる曲がろうとする力があっても、フロントがついてこない感覚になりやすく、いわゆるアンダーステア傾向になります。
逆に前下がりだと、フロントが積極的に切れ込んでいく感覚になり、オーバーステア傾向になります。
非常に大雑把に言えば、この前後の入りが自然に感じられるバランスへ落とし込むことが、ここで言う自分の曲がりたい感覚にあったバイクになるというセッティングの目的です。
ちなみに、足回りのセッティングではバイクそのものが速くなるわけではありません。セッティングによって「自分に合ったバイク」を作ることが、安心して楽しく走れる状態につながり、その結果として速く走れるようになります。
また、自分の好みが分からなければ、セッティングの目的や着地点やゴールも設定できません。料理で好みの味が定まっていないのに、調味料の量を決められないのと同じです。
まずは自分の好みを知ること。少なくとも「良くなったのか、悪くなったのか」を判断できる感覚を持って臨むことが重要です。
◆リア下がりの解決方法
・リア車高を上げる(物理的に高くする)
・リアのプリロードを増やす(静的沈み込みを減らす)
・リアの圧側減衰を強める(加速時の沈み込みを抑える)
・リアの伸び側減衰を弱める(伸び戻りを早くする)
・リアのスプリングレートを上げる(バネを硬くする)
または
・フロントの突き出し量を増やす(フロントを相対的に下げる)
・フロントのプリロードを減らす
・フロントの圧側減衰を弱める
・フロントの伸び側減衰を強める
・フロントの油面を下げる(ストローク後半の踏ん張りを弱める)
・フロントオイル粘度を下げる
・フロントのスプリングレートを下げる(柔らかくする)
リア下がりの対策は、基本的には平常時・加速時・減速時にリアが過度に沈まない方向へ調整していくことにあります。前下がりの場合はこの逆です。
サスペンションだけでも上記に挙げたような要素があります。
しかし、ひとつの問題が単独の要素だけで解決することはほとんどありませんし、タイヤの銘柄や空気圧もハンドリングに強く影響します。
フロントとリアにどれだけ荷重を負担させるのかは、切れ込み感や旋回力にも直結します。
ハードブレーキングでコーナーへ進入する際、リアの接地圧が極端に低くなると、バンクしたときにリアが横方向へ逃げやすくなります。その際、リアの伸び減衰を弱めることでリアタイヤを地面に押し付ける力を増やして接地感を保ったまま侵入できることがあります。
また、減速時にフロントが硬いと感じるならフロントのプリロードを抜くなり圧減衰を抜くなりフォークオイル粘度を低くするなりすることで緩和に向かいますし、コーナーからの立ち上がりでリアが沈んでタイヤが地面を蹴る感触に乏しいならリアのプリロードをかけるなり圧減衰をかけるなりすることで緩和に向かいます。
ただしそれらは同時にリア上がり・前下がり傾向にもつながります。ひとつの問題が片付いても、この調整でハンドリングが悪い方へ変わってしまうのであれば、他の要素でバランスを取り直す必要があります。
何かを触れば、どこかが変わる。何も捨てないマシンを求めるなら、その収まりどころを探し続けていく必要がありますし、探し続けた方が良いです。
◆タイヤと空気圧
ブレーキングや加速では、サスペンションとタイヤが同時に荷重を受け止めます。どちらがどれだけ荷重を受け持つかは、サスペンションの沈み込む量や速度によって変わります。
サスペンションが受け持たない分の荷重は、タイヤの変形として現れます。
空気圧を下げると変形量が増え、フロントなら食いつきが強まり、曲がろうとする力が高まります。リアならトラクションが得やすくなります。
ただし下げすぎると、フロントは過敏な切れ込みに、リアは腰砕け感につながります。
タイヤ銘柄(形状・剛性・コンパウンド)はハンドリングに大きく影響します。
状態の悪いタイヤで調整に臨んでもセッティングではなくて誤魔化しの技術が身につくだけです。まずタイヤの状態を整えることが前提です。
それとホイール径が大きいとバンクした時の反応はダル(鈍い)です。だからといってフロント21インチでクイックに曲がるセットを作っても、そもそもの21インチを活かせるステージでもうまく楽しく走れるバイクになるかというと疑問です。マシンの特性と走る場所も踏まえて考えなくてはいけません。
セッティングとは、これらすべてのバランスの調整です。これらがうまく整えていくほど、バイクは自分の体の一部のようになっていきます。その感覚や気持ちの良さは何にも代えがたいものです。
バイクの乗りにくさには必ず理由があります。何かに我慢しながら乗るのではなく、それらを整え、日々のライディングを楽しく豊かなものにしていきましょう。


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