SuperCub 長崎の旅 (1/2)

GWを1週間後に控え、土曜・日曜と天気がよさそうだったので木曜日の夜「‥長崎でも巡ってみるか」と急に思い立ってやってきた金曜日。仕事を終えてから家族の夕食をつくってそれからゴソゴソ荷造りをして20時半に家を出て、山口県の端っこまで来てダウン。翌土曜日の5時、九州上陸するところからスタートです。

スタートといっても壇ノ浦から佐賀県まで数時間高速道路を移動して、佐賀市内に車を置いてからのスタートなので、バイクは朝7時過ぎのスタート。川に架かった見事な鯉のぼり、早朝だから独り占めでしたが翌日の帰るころはこの周辺大渋滞でした。

カブで2日間で長崎県を北から南というのは時間的に難しいので、とりあえず今回は佐世保を目指すのですが、ルート上に関所があるのでなかなか前へ進めない‥いつものことだけれど。

何も知らないと素通りしていまいそうなものですが、樹齢3000年、国内5位の大きさという川古のクスを見ることができました。知らない土地でもジオキャッシングをしながら進むと幹線道路から少し外れたこういうところに引っかかりながら新しい発見があるのが楽しいです。

今回のカブの装備。リアキャリアの上の箱にハンモックとエアマット、右サイドの横長のケースは常設のカッパ入れ。カゴの中に小さめのブランケット。

左サイドのトートバッグにシュラフ。着替えはいつ温泉に入るか分からないので背負っています。昔から基本的に機材はできるだけ露出させないスタイルです。今回調理道具の持参はなし。

広島では田んぼにはやっと水が入り始めたGW前、このあたりは小麦が青々と茂っていて、場所によっては金色の畑になっています。九州の一部地域では二毛作をしていると小学生の頃に習ったな。50年くらい経って知識が経験と繋がったぞ。

神社の境内の若葉色の景色の中で宝探し。足を踏み入れるのが申し訳ない。

佐世保へ向かう経路の近くにあるジオキャッシュにフラフラと立ち寄りながら進んでいくと、有田の泉山磁場へ到着しました。

泉山磁場では400年にわたって陶石を採掘したとのこと。採掘坑に近づくことはできませんが、内部はツルハシ掘り進んだ跡が残っているそうです。

有田の古い町並みの中にいい感じのチャンポン屋さんが暖簾を出していましたが、営業時間外でした。うう、ちゃんぽん食べたい。

有田はメイン通りに大正や昭和初期を思わせる古い建物が残っていますが、路地から1本中へ入るとさらに古い時代の名残が残っています。

早朝行動はメリットがとても多いです。でも唯一困るのは食事をしたい時間に飲食店がまだ営業していないということ。佐世保まで来てやっとお店が開く時間になったので、佐世保バーガーなど。大きい、けれど分厚くなくて平べったいので食べやすい。

今回の佐世保訪問は、広島界隈の戦跡巡りが嵩じて佐世保湾の入り口の守りを固めていた砲台跡も巡ってみたいと思ったことにはじまります。なので佐世保の町はスルー。高台からアメリカ海軍基地に停泊している船を眺めていると、飛行甲板のあるような船が停泊していました。

寄ってみると鑑番6。アメリカ級強襲揚陸艦の1番鑑アメリカ。F35Bやオスプレイを積載して運用する艦船でした。

以前佐世保を訪れた時に、晴れた日の九十九島の風景に感動した覚えがあります。いつかまた晴れた日に‥と今回晴れの日を選んできたので期待が高まります。その昔訪れた展望台へ。

写真じゃ伝わならい感動と広がり‥霞んでいるけれど、海が青い!

右手奥には佐世保の町が見えます

この風景の何がこんなに「良い」感じなんだろうと考えてみました。おそらくほとんど全ての島々が自然海岸なんですね。人が利用するための海岸はほとんどが護岸で幾何的に拡張された状態になっていますが、ここだけは自然な風景が取り残されているという感じがするのです。

今まではこの展望所までが自分の頭の中の地図上の終端でしたが、今日の目的地はさらにこの先にあります。

佐世保が良港とされているのは、広島湾と同じく湾と外洋との堺に間口の狭い海峡をがあるからで、湾内は穏やかな上に海峡を守りきれば湾の平和が保たれる、というところにあります。そこで明治期の終わり頃に佐世保にも湾を警護する砲台が設置されてました。今日の目的地その1はこの小首堡塁跡。

広島の堡塁跡の門柱はコンクリートで崩れているものが多いですが、ここはレンガづくりでしっかりと境界を仕切る姿が残っています。

六連倉庫。広島や先月訪れた舞鶴のものと形状はよく似ています。100年崩れずにいられる堅牢なつくりです。

倉庫の向かい側には‥今日の目的地その2の針尾送信所跡の塔が見える。すごいロケーションだな。

弾薬庫もきれいに残っています。

ここに仕掛けられたmoramoraさんのキャッシュはこの砲台施設内を何か所か巡るマルチキャッシュ。実は門柱付近のファーストステージを見つけることができなくて諦めていました。ところが施設を散策していたらなんとファイナルの巨大なコンテナが露出しているのを見つけてしまいました。こんなことがあるのかw 中から瓶を取り出してしっかりとサインさせてもらいました。

この俵ヶ浦半島の先っちょにも砲台跡があるようなので訪れてみました。

残念、海上自衛隊の施設として封鎖中。

明治以前、江戸時代に外国船の取り締まりを行った平戸藩の番所跡。当時は海外との貿易は長崎(と対馬・薩摩・松前)だけしか行っていなかったので、外国船こっち入ってくんな、と取り締まっていたのでしょうか。800mほど離れた対岸にも番所跡があります。

その近く、丸出山観測所跡。全くもって構えていませんでしたが、

観測所に登るとスチールの天蓋が残っています。これは初めて。

広島の観測所も基礎部分の形は似ているので、天蓋があったのでしょうか。まー、なかったら雨で濡れますものね。

スリット状のパノラマ監視窓から見える外の風景‥

ん??‥!!

すごい。絵のような風景とはまさにこのこと‥。これまで見てきたものと同じような観測所があるのだろうと思って本当に全く構えていませんでしたので、これは衝撃的でした。100年前もそう変わらない景色だと思います。昔の軍人さんもこうして麗しい風景に見惚れていたのでしょうか。

北側に開けた海側がこんな風景だということをすっかり忘れていました。

レンガ組みの施設とアーチ状の通路。呉にあるアーチ状の通路は砲撃の爆風を避けるためのものでしたが、ここには砲台がないので何のためのものだろう。

九十九島を愛でるのに最高な穴場スポット、ゆっくりとしたかったのですが針尾送信所の施設見学時間の関係で先へ進みます。

大村湾。地図で見るとどう見ても湖なのに、湾。実際現地に来ると、外洋と水路でつながっているのが分かります。水路はここで極端には幅が狭くなっています。

外洋との潮位差が発生すると、この狭い通路を恐ろしい勢いで海水が流れます。外側と内側の水位が違うのが見た目に分かるくらいです。今回大村湾側から海水が流れ出すのは初めて見ました。カヤックが何度も転覆しながら遡上しています。これを撮影していたおじいさんにつかまって「ほー、ホンダか。わしが若いころはホンダのF1の部品を作っておっての‥」と延々昔の話が始まりました。あの、水路の写真撮らせてください、それ以前に針尾送信所の見学時間が‥。

僕が初めて針尾送信所を見たときは、まったく予備知識がない状態だったので、かなり遠くからでも分かるこの大きさと数と配置に仰天した覚えがあります。もう、そのころと同じようなビックリはないにしても、畑の真ん中にニョキニョキ生えている3本の塔のインパクトはなかなかのもの。

近づくとその非現実的なスケールを押し付けられる。

今回、初めて内部を見ることができました。

中の構造はシンプル。アンテナケーブル維持管理用のウインチ。

巨大なちくわを見上げると、130m以上もある先まで構造体と梯子が続いている‥。窓があるので自然光の明かりが輪を描いて不思議な風景をさらに不思議にしています。

「塩分の少ない川砂や砂利を布で拭いて、時間をかけて施工した」とありました。コンクリートはとても綺麗で、今でも型枠の木の模様がはっきりと残っています。

何のためか、フック。向きからして何かを吊り下げるためのもの。

外にあるキノコみたいな建物は当時もののコンクリート建築で、見張り所。針尾送信所施設は重要な軍事機密で、針尾の渦潮を高台から見物するために民間人が登ってこないよう監視していたそうです。

型枠の跡が延々と。1日1.3mずつ組み上げていって、100日で完成だそうで‥先へ行くほど細いので、だんだん仕事量は減っていったのかな?逆に作業中の恐怖は増しそう。

塔は一辺300mの正三角形の頂点に建っています。その中央あるのは電信室。信号を増幅して電波塔に送るための施設です。

もともと2階建ての建物で、屋根の上に防爆のために積んでいた大量の砂を降ろして建物の前を埋め立てたので、この写真の目の前に見えている窓はもと2階の窓とのこと。扉がついていますが、元よりこの2階の入り口へ階段を登って入っていく構造だったようです。

建物正面に向かって左下の、元の1階の入り口から中へ入れます。ヘルメット着用義務あり。

中はもう、完全にバイオハザードなんかで出てくる建物内の様相。

十字通路なんか、病院とか以外ではめったにないでしょう。

人だった生き物が物陰から出てくる雰囲気ムンムン。

発電機の置かれていた広い部屋。ボス部屋ですね。

もともとは1階だったけれど、1階部分を埋め立ててしまったので地下のようになっている箇所。

門柱があります。ここが昔の正規の門なのかな。

先ほど内部を見られたのが3号無線塔。こちらはまだここまで整備されていなかった頃に僕が足元まで行ったことがある1号無線塔。

今は道が整備されてお気軽に足元まで行くことができます。2号無線塔は畑の中に建っているのだけれど、私有地なのかな。

石原岳森林公園になっている石原岳堡塁。とても綺麗に整備されてキャンプもできるようになっています。

倉庫の横にある小さめの通路の入り口は他では見ない構造。

覗いてみると真っ暗な通路が続いていて‥パパパパっと照明が点りました。行ってみます。

奥は左右に分岐してどちらも同じ大きさの部屋につながっていて、出口はなし。

小窓は‥銃眼?

出入り口は先ほどのトンネルしかなく、ここへ詰めろと言われたら、ちょっと嫌だなぁ。

砲台跡の山をぐるりと一周する道があったので進んでみると、先ほどの部屋を外から見ることができます。あの部屋の窓は90度ほどずらした状態で並んでいたんですね。通路のどこに敵が現れても撃退することができるという構造でしょうか。

気になるところに立ち寄りながら南へ進んでいたら日が傾いてきたので、そろそろ寝床を探さなくては。この日気温が低めで風が強く、山に泊まるのは厳しそう。

途中拾えるものは拾いながら。このサイズのコンテナ久々に見た。

投宿。水とトイレの心配なし。

まだ少し明るい時間だったので近隣をウロウロしていたら、すぐ近くに居酒屋がありました。ビールの1本でも買って帰ろうかと思っていたところだったので、迷わず飛び込み。

店内、何%かはバーなんじゃないか、という内装です。メニューは掛かっているけれど金額は書いてない。オーダーして出てきたのは3人前くらいありそうな量。

外からは全く分かりませんが中には10人くらい入れる部屋が別に2つ用意されていて、この演出。全部手作りだそうです。

カラオケで特典がゾロ目だったら500円チケットをゲット。そこでマスターとじゃんけんをして勝てばさらに倍(負けたら没収)。もう20年もこのシステムなのだとか。

ふふふふ、ゲット。塗り絵師のおじさんに一杯奢ってもらいました。浜省しか歌わないおばさんは最後に工藤静香を歌っていました。ちょっと一杯のつもりがお客さんと仲良くなってついつい長居してしまった‥飲み過ぎると夜中トイレへ行くのにハンモックから這い出すのが面倒なのです。

GWあたりだと明け方の気温が10度を下回ってハンモックにシュラフにエアマットだけでは寒さに耐えられなくなることがあります。睡眠不足は翌日の行軍に影響しますし、今回は帰りの高速道路の運転時間が長い。この夜、持参していたブランケットが大活躍でした。隙間を塞いだり、顔が寒かったのでフードにしたり。不織布にアルミコーティングをした手術用のエマージェンシーシートも結構な枚数持っているのに持ってこなかったのを後悔‥あれが1枚あれば夜も不安じゃないのに。嵩張るものじゃないし、ハンモックとセットで持ち歩くようにしておけば良いですね。

初日、距離的には大したことはないけれど、朝から夜まで抜群に濃い内容でした。

7 Comments

ウエムラチエコ

また、竹とんぼに来てね。ぬり絵師のおじさんより。
写真よく取れてますね。ポイントをよく選んでおられますね。
雲仙も楽しまれてよかったですね。気を付けて旅をされてください。浜省ファン(both of us )より。

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tsugataku

>ウエムラ様
コメントありがとうございます。先日はお世話になりました。おかげさまで思い出に残る楽しい旅になりました。また竹とんぼでお会いしましょう!

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ウエムラチエコ

連休が終わってしまいましたが、その後こちら(大村)にはお越しになりましたか。あれから竹とんぼには行っていませんので、ぬり絵師匠と「その後、来られたのかなあ~。」と話しておりました。
元気&安全に良い旅をお続けくださいね。

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ウエムラチエコ

忘我録、今読みました。
高知・島根に行かれたんですね。
こちらは、雨ばかりでしたが、雨の合間を縫いながら、諫早の干拓堤防・白木ヶ峰に行きました。クリムソンクローバーという赤いクローバーが堤防には一面に咲いていましたよ。諫早のジャージー牧場で、美味しいソフトクリームを食べました。秋にはコスモスがきれいですよ。

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tsugataku

>ウエムラ様
長崎県は本当に懐が深くて、ただ移動するだけでなくじっくりと腰を据えて楽しみたいところです。クリムソンクローバーですか。そうですね、季節的なものもありますね。今回「行っていけない距離」ではないことが分かったので、また竹とんぼも含めてお伺いします!

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ウエムラチエコ

こんにちは。また、旅行しておられますか。
竹とんぼの営業日について、お知らせします。
8月13日~17日は盆休みです。日曜日は、原則予約のみ。木曜日は定休日です。
以上参考にされてください。ぬり絵teacher &上村

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tsugataku

>ウエムラ様
こんにちは。ご連絡ありがとうございます。
春以来、なかなか4県とかまたいで出かける旅行には出られていませんが、近隣をうろうろはしています。長崎方面、また違うバイクで走りたいと思っていますので、その折にはまた寄らせていただこうと思います!

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