SEROW 近場でゆるふわ

年末年始は本業に勤しんで休みなく働かれていたあやのすけさんがやっとひと段落ついて「近場でゆるふわで」というので、近場をゆるふわツーリングすることになりました。ここでいう「近場」と「ゆるふわ」、個人の感覚で随分と差やら幅やらありそうなものですが、あやのすけさん流ではどの程度のものなのかが今回の見どころです。とりあえず東広島の池の辺りのキャッシュにでも行ってみましょうということになりました。

1月初旬の冬のこの時期の早朝にわざわざ山へ向かうのもどうかと思いますが、少し標高が高くなった熊野あたりでは眼に見えるもの全てが白い霜でコーティングされていました。なんでもないただのネギ畑もため息が出るくらい綺麗な風景に。朝はとにかく出掛けてみるものです。夏でも冬でも何かしら感動が見つかります。

それにしても氷点下2度でも結構走れるもんですね。あやのすけさん、薄氷を踏む思いで薄氷を踏んでいました。

子供のころ初めて霜柱を踏んだ時の感動をまだ覚えています。頬を撫でるキリっとした空気と靴の底から伝わってくる、ザクザクした感触。地面から氷が生えるのが不思議でならなかった。

その時も霜柱を手に取ってほぐしてみました。地面を触っていくらでも遊べます。朝はとにかく出掛けてみるべき。

朝ダート。とても気持ち良いフラットダート。

ここで、なんでもないところで新年初転倒してしまいました。

多分、何でここで転ぶ?と思われたと思います。

この日1日だけでもセローでいろんな系統の道を走りましたが、ホントにセローは絶妙にバランスが良いですね。2台ともリアサスとフロントのスプリングがテクニクスになっているのですが、この足がまたとても良くて、スピードの乗ったオンでも踏ん張るし、下り坂のオフでも安心してブレーキをかけることができます。

誰もいない湖というかため池。

東広島で取りこぼしていたキャッシュを巡って山頂の神社へ。大きな岩をそのまま使った手水舎がカッコイイ。

山頂を超えて登山道にあったお社も、自然石パッカーンなちょっと幻想的な雰囲気のところでした。宮島の山中によくある感じ。

その日は東広島あたりで終わるのかと思ったのですが、突然大崎上島に訪れていないキャッシュがあるということで港に向かうことになりました。たまゆらの聖地、竹原から船に乗ります。ゆるふわはどこへ行った?

港からは東邦亜鉛の契島製錬所が見えます。島全体が工場化している、瀬戸内海の軍艦島。

手の入ったカブが前に居て、気になる二人‥キャストホイールにピレリ履いてるんだもの。純正マフラーに見えるけど、カバーの下はホットラップの社外品だし。

大崎上島に上陸してからまず普段走らない北方面へ向かってみました。ふと目に留まってわざわざUターンしたのがこの鍋島。地図上では大崎上島から90mほど離れた島になっていますが、なんと防波堤で海を塞いで渡れるようになっています。風は左から吹いていましたが、堤のこちら側とあちら側で波の様子が全然違っています。わざわざつないでいるんだから何かあるのかな、と渡ってみたところ、特に何があるというわけでなく獣道も何もない島でした。

大崎上島の北端から東側へ向かうと、水平線上に長い島が横たわっています。妙にでかいなと地図を見ると、しまなみ海道の大三島なんですね。しまなみ海道では一番大きな島ですが、実際走ってみるとそれほどでも‥と思うのに、こうして大崎上島側から見ると妙にでかい、というか長い。次にあちら側を走るときにはあの時走った大崎上島か、と対岸の島の地形を意識しながら走ることになるのでしょう。こういうの、瀬戸内海の島めぐりの面白いところです。

「こ、これは‥!」と思わず口の端から声が漏れそうなトンネル、島北部の山中にある上組隧道。手掘り・手作り感たっぷり。

凸ります。

中には出資者と思われる方々のお名前と出資金額が彫られた石が嵌められています。書かれているのは十円とか十三円とか、総額でも僕のポケットマネーで払えるぞ。いつの時代なのかと思ったら昭和4年と書いてありました。日本銀行の資料を見ると消費者物価指数ベースで昭和4年のお金の金額は現在の約750倍ということですので、10円出資した方で7500円‥え、大したことない?他の資料を見ても最大でも約2千倍という情報なので当時の10円は2万円くらい。でもこちらの情報によると皆で出資して手掘りで進めていったということですから、出資金は部材費に充てて、労働力は地元の方々の手弁当だったのかと思われます。なんにしてもスゴイ。

幅は190cmということになっています。普通車だと絶望的、ミラーを畳んだ軽自動車でなんとか、というところでしょうか。バイクで往復してみましたが、自動車1台分の幅しかないトンネルはバイク同士の離合も難しいです。

地図で山頂まで行けそうな道を見つけて登っていきましたが、すっかり廃道になりかけていて、あやのすけさんも見事に新春初コケ。

大崎上島最高峰の神峰山へ向かう峠道、「首切り峠」。名前こそおどろおどろしいですが峠のログハウスには恐ろしくない装飾がされていました。

ログハウスの中には観光用の情報と、かんのみね山のおじぞうさん缶バッジのガチャガチャ。ついつい買ってしまいました。

そこから一気に登って神峰山 第一展望台から望む瀬戸内海は‥絶景です。「115の島が望める」そうで、最初数えてみましたが、先の鍋島のような小さな島も含めるとキリがないので途中でやめました。

海や街がかなり遠景に見えますがこの山自体が島の中でもニョキっと生えているような山で、割と間近にそれらを見下ろすことができます。

今回、20倍ズームのDSC-WX-350を持参していたので、山頂から瀬戸内の軍艦島を撮ってみました。こうしてみるとボリューム感はやや少ないですがモンサンミッシェルといわれるのも分からなくはないです。

橋の架かっていない島の残念なところは、フェリーの時間で行程が左右されてしまうところです。大崎上島は人がそれなりに住んでいる島なので、本州のローカル電車やバスとは比べ物にならないくらいフェリーの便に恵まれています。それでも日の入りの早い時期なので本州に戻ってからの行程を考えると16時過ぎには島から脱出しなければなりません。
神峰山を下りてからは残りの1時間半、海岸線をぐるりと走って飽きたら山へ入って、ツーリングセローのスクリーンギリギリの倒木をくぐったりして走り倒しました。

大崎上島、海も山もほじくると面白い場所や素晴らしい景色が短時間でもいくらでも見つかります。しまなみ海道やとびしま海道の島々に比べると、ただ人がたくさん住んでいるだけのちょっと大きな島、程度にナメていましたけれど、これは時間をとって再訪しなくては‥と思わされるとても魅力的な島でした。

安芸津港へ向かうフェリーからはとびしま海道の3つの橋が見えました。その中のひとつ、豊島大橋を20倍ズーム撮影してみると、上の写真ではよく分かりませんが縮小されていない実際の解像度の写真では橋を吊り下げている細い縦のケーブルが確認できました。後でGoogleMapで確認したら、航路から12km先の橋ですよ。このカメラ、数年間使わずに投げていたのですが、携帯のカメラのズームが期待できないのでそこを補うために最近持ち出して使ってみています。小さくて軽くて使い勝手がとても良いです。本体の機能で携帯に画像転送するのも楽だし。

さて、ここで今日のツーリングのそもそものテーマを思い出してみましょう。

テーマは「近場でゆるふわ」。氷点下の東広島へ登り、山を下ってフェリーで島へ渡って海岸から最高峰から嘗め回すように走ってジオキャッシュを獲りまくる‥これが「近場でゆるふわ」なら「それなりに普通」のツーリングってどうなってしまうのでしょうか。あやのすけ、恐ろしい子‥。

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