SEROW 春の阿蘇2018 5日目

夜は恐ろしく気温が下がりました。僕の手持ち機材では気温が10度を下回ると快適とは言えない中で寝ることになってしまうような状態でしたが、SGさんが昨夜のうちにブランケットを貸してくださっていたので、それをシュラフに被せて寝ることで結構ポカポカとした中で寝ることができました。明け方、穴あきタイプのマットが災いして背中側からの冷気を感じたので、今度は毛布を背中側に回しこむことで、さらに1時間寝ることができました‥が、そのせいで日の出の時間に目が覚めてしまいました。

この日は雲も出ていたので、日の出前に朝焼けが見られたのではないかと思います。急いで丘に上がりましたが、もう太陽が昇ってきてしまいました。残念!

雲海も高確率で出るという予報でしたが、全くなし。

茜色の日差しを受けて、今日も高岳は赤く染まり、手前の惑星ガミラスの表面みたいな山肌との色相のコントラストがとても綺麗です。

楽園はやっぱり楽園でした。選ぶ勇気さえあれば、こんな環境で朝を迎えられる生き方もあるんだなぁ。

ハンモックは、ハンモックそのものが吊るしてあるものなので、メインのラインにいろいろ吊るせて便利です。

後半2泊3日の予定なので、この日は丸1日九州に居られる日です。当初翌日に日南海岸を北上しながら太平洋の水平線から朝日が昇るのを拝む、という素晴らしく素敵な計画を立てていました。でもね、昨晩の2人分の食材がSGさん宅の冷蔵庫に入っているんですよね。そこでこちらに再び連泊することにして、機材はこのままで出発することにしました。

さてどうするか、ということで陸の孤島、日本三大秘境のひとつ、椎葉村を目指して走ることにしました。

道中、旧高森峠を超える廃道を探しに寄り道。これか?と思う道を東側から入ってみましたが、これも別に廃道ムードの足りない道です。

と、思ってトンネルを抜けたら、世界が違っていました。崩れた土砂はそのまま、道路を大きく塞ぐ植物も放置されたままの荒廃した雰囲気。

おおお、道がないw

もう、自動車は絶対に通れない。

自動車どころか、スクリーンが立ったツーリングセローもヤバイ感じ?

これこれ、この看板を探して居たのです!元ネタはこれ→「九州を走る!!~旧高森峠攻略~」

自分の走っている道が合っているのかどうかもわかりません。

速度違反、まずあり得ないな。

バイクの見える方は間違っている道で、この先崩れて居ました。行き止まりかと思ったら、左に歩道サイズの道が‥

凸入。

その先もぬかるんでまっすぐ進めなかったり、

目の前に国道は見えているのに歩道みたいな道が続いて居たり。短いのですが廃道らしい廃道でとても楽しめました。夏は草が伸びてさらに難易度が上がりそうです。

黙々と走り続けて到着したのは、九州山地のど真ん中、日本三大秘境のひとつ椎葉村(ちなみに日本三大秘境の残りの二つは岐阜県の白川郷と、徳島県祖谷。知らず知らずのうちに全て訪れて居ました‥)。椎葉は随分昔に鹿児島側から阿蘇まで抜けたことがありましたが、その時は全線雨で村の様子もよく掴めていなかったので、是非再訪したいと常々思って居ました。今回天気も良いこともあって絶好のチャンス!と椎葉村探報と、その先の五木村方面へ抜ける道が生きているようなので九州随一の高さの西の山越えをしてみよう、というのを目的にやってきました。

上椎葉ダムの対岸の山からダムを見下ろせる展望台があるようでしたので、行ってみました。グイグイ山道を上ってダムの湖面が見える頃は結構興奮気味に。

この展望所は個人宅の敷地につくられたもので、見物しているとご家族がワラワラとでてきてダムについて非常に詳しすぎる説明をはじめてくれました。実はこのダム、戦後間もなくに始まった国家プロジェクトで、資材機材はなんと延岡からリフトを使って上げたというから驚きです。驚くほどの短工期で完成後、この経験を活かして黒部ダムの着工がはじまったとか。秘境と呼ばれる山の中に、とんでもない秘密が隠されていました。

思わずシャボン玉を吹いてみたくなった僕の気持ちが分かってもらえるでしょうか。椎葉という土地が単なる通過点じゃなくて、少し思い入れを感じる村に思えるようになりました。

ちなみに、上椎葉ダムのダムカードの写真は、この展望台のお家のご主人が撮ったものだそうで、ちょうど太陽を背に受けて写真が撮れるので、4基の水門を解放して放水しているダムにきれいな虹がかかった写真が撮れていました。

上椎葉ダム。高さ110mだそうです。水門から伸びるスロープの既視感は何だろう‥と思ったら、公園のスロープかスキージャンプ競技のラージヒルスローブですね。

ダム湖のほとりの道を地形に沿って西へ向かって走って、山道に入ってきました。県境峠という事務的な名前をつけられた峠が、九州内では一番標高の高い峠のようです。昔、お坊さんがことあるごとに超える峠だったので、地元では「ぼんさん越え」と呼んでいるとのこと。そっちの方が風情があっていいね。

気温の低い日で、さらに1400m級の峠なので、かなり寒い!峠は周辺の山の登山道の入り口になっているので、意外なことに車が止められるスペースにはぎっしりと車が停められていて、簡易トイレまで用意されていました。

食事ができる店が何もないようなところをひたすら走って居たので、やっとみつけた梅の木轟公園の食事ができる店に飛び込みましたが、メニューは「うどん」「そば」の2種類だけという割り切った商売をしている店でした。そこには肝が冷えそうな吊り橋が。

手すりがあるから笑っていられますけれど、ホント、結構怖いんですよ。揺れるし。

足がすくんで歩けないおばさんも。

戻る途中、以前このあたりの石橋探報ツーリングもしてみましたが、その中でも一番立派な霊台橋を見物です。

外輪山の内側へ戻るのに、また生きているのか死んでいるのかわからない道、県道319号を通りました。今回、阿蘇の外輪山の外側から南阿蘇へ越えられる県道、これで全て走ることができました。昔から10年越しで走ってみたかった道でしたので、達成感はひとしお。

ちなみに県道319号も、普通乗用車で普通に走れる道です。外輪山を超えて見える風景は、またまた新しい視点の阿蘇の風景でした。

ちょっと時間があったので、道の駅あそ望の郷くぎののモンベル直営店へ。以前寄った時はそんなにしっかり店内を歩かなかったので丁寧にみて歩きました。こういう店が阿蘇にあるというのは非常に便利ですね。僕も彦衛門さんも、この日店内で一番欲しいと思ったは、ダウンハガーの#1(極寒地用シュラフ)。だって、寒いんだもの‥。

南阿蘇の数ある湧水池の中でも、僕の一番好きな寺坂水源。道の駅からも近いところで、「鉄道の橋の下から水が湧いています。

温泉で彦衛門さんとお別れして別行動です。また根子岳の西側を超える道を走ってみました。

ここ数年泊まって居た鍋の平キャンプ場のある場所は、地図で見るともう根子岳の中といっても過言ではないようなところです。実際ここを境に急激に山の傾斜がきつくなります。

時間帯も昨日とほぼ同じ夕刻。さすがに昨日ほどの驚きと感動はありませんでしたが、遠くに見える山々は表情もいろいろで飽きない風景が横たわっていました。

泊地へ戻る途中、近道をしてやろうと入った歩道サイズの道。今回はツーリング仕様のセローだから、スクリーンをぶつけるような道には入らないつもりだったんだけどな‥。

残念なことに谷間になっているこの道は水の通り道になっているようで、もう少しでぬけられるというところで道が道ではなくなっていました。

深い森の中、セローってよく似合うなと思ってしまうのは僕だけじゃないと思うんです。こういう道を笑いながら走れるマシン。これまで知らなかった、セローに似合うステージはいくらでも見つかります。

泊地に戻るとSGさんが、「朝、ウドの話をしたでしょ。これどうぞ」とウドの料理をくださいました。酢味噌にをつけて食べるものと、薄味で煮付けたウドとタラの芽。季節の食材を酒のつまみにありがたくいただきます。

昨日食べられなかった肉野菜を、ジュージュー焼いて食べる準備。

この夜、また地図をみてキャンプ場があると思ってたどり着かれたCRFの方が増えました。寒いので焚き火のそばへどうぞ。

そして、「ツガさんどこに泊まってるんですか?」と道の駅阿蘇から電話してきた深夜徘徊のおじいちゃん、うらいけさんが登場。まさかうらいけさんとキャンプすることになるとは夢にも思いませんでしたよ。ようこそいらっしゃいました。

この日、風はありませんでしたが前夜以上に寒く、空いっぱいに無数に輝く星も夜の寒さを際立たせるだけに思えました。僕は前夜同様に着衣フル装備、足先にカイロと、お借りした毛布も被って朝まで快眠できました。ハンモックの可能性がまた広がりました‥。

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