大阪の旅3/3 なら、奈良

熱はないけれど、若干の頭痛と相当な喉の痛み、そして喋れない。でも、歩ける。

声が出せないのでムスメとラインで会話しながら、いくつか用意していた3日目のプランの中でも一番地味だけれど動きまわらなくて済みそうな法隆寺・東大寺プランを挙げると「興味ある」というじゃないですか。偉いぞムスメ。

電車のボックス席でムスメと対座で座って奈良へ向かうなんて、特に普段はバイクでひとり旅ばかりしている僕としては夢のような体験です。家族と旅行、って感じするじゃないですか。

しかも全然馴染みのない駅で下車ですよ。

電車だって、奈良行き。車窓から眺める知らない街並み、馴染みのないスタイルの電車。座っているだけで到着する初めて訪れる街の駅。鉄道を使った旅行って面白いな。

この日は全ての荷物を持っての移動なので、くたびれていることもあってエレベーターを積極的に使います。法隆寺駅のエレベーターは入り口と出口が90度ずれていていました。こんなの初めて。

駅の出口で足止めを食いました。JRへの乗車はこの大阪自由周遊区間で使える乗車券を使い、法隆寺駅の精算機にこれを入れて精算しようとしたらその機械ではうまく処理できないのです。横にインターフォンがあるのでボタンを押したものの、声が出ないので説明できない。ムスメも説明するのは怪しそう。

改札に駅員さんが居る駅だったので、口の中だけで蚊の鳴くような小声を作って事情を話して処理してもらいました。喋れないのって、不便。対面対応って、便利。

何を勘違いしたのか、駅から法隆寺まで200mくらいと思って歩いたら2km近くありました。苦労して到着した分、感激も一入。ムスメ、楽しんでくれるかなぁ。

カロリーメイトをかじって喉に流し込んでいたら法隆寺の鐘が鳴りました。「カキ食えば、鐘がなるなり‥」と口をついて出てきましたが、ムスメは「広島で牡蠣を食べたら法隆寺の鐘が鳴るの?」と。

僕はおそらく高校の修学旅行以来40年振り。南大門をくぐって境内に入ると正面に中門とその向こうに五重塔と金堂が見えます。法隆寺の伽藍配置はよく覚えていました。というのも学生時代の教授が法隆寺の金堂壁画修復に携わった関係から法隆寺について勉強し直し、全く記憶から抜け落ちて知らないお寺にならずに済んでいます。夢殿が東の離れにあるつくりとか、忘れないものですね。

法隆寺?え、聖徳太子?くらいだった高校の修学旅行ではありがたみが分からず、大学で金堂の焼失と壁画復元の勉強をして以来いつか訪れたいと思っていた法隆寺です。この先もずっと大切にされていくのでしょう。ムスメが40年とか経ってまた記憶の上塗りに訪れれば良いと思います。

金堂そのものの見どころは壁画だけでなく五重塔に負けないくらい深い屋根の建物そのもの、そして何より鞍作止利作とされる釈迦三尊像や薬師如来、阿弥陀三尊、個人的には四隅にいる四天王像と、見どころ盛りだくさんでもう気絶しそうです。暗くてそれぞれが見づらいのが残念だなぁ。

百済観音や法隆寺の宝物を安置するための百済観音堂というお堂も平成10年にできて今回もちろん初めて入りました。玉虫厨子って教科書から想像するよりも断然大きかったし、百済観音像は、特に右斜め前側からの立ち姿がそれはもうとてもとても優美で、もう気絶しそうです。

東大門を抜けて東の夢殿へ向かうところで、ロードバイクが目の前の路地を横切って駆け抜けていきました。え、境内に通った一般道を走れるの?なんかいいな。

夢殿。この東院伽藍のど真ん中に八角形の建物を据えるこのセンス。

法隆寺の建物は、建物そのものだけでなく、日に焼け雨に洗われた回廊に並び立つ太い柱の色合いもとても美しく、それだけでも十分見応えがあります。いや、来てよかった。

戻り道は境内ではなく、法隆寺を取り囲む路地道を歩いてみました。車を陥れるトラップがあちこちに仕掛けられていて面白い。

僕ばかりが興奮して、ムスメはつまらないのかと思ったら退屈していない様子。社会の時間に勉強して習ったことの裏付けをしていくこと自体がとても楽しいようで、成長しているなぁと思わされました。

ムスメは「おしるこが食べたいね」と気の利いたことを言うし、狙ったかのように善哉を扱っている食堂があるし。僕は固形物を飲み込むのがしんどいので柿ソフトを食べましたが、これ食べてると喉が楽になってきて声っぽいものが出せるようになりました。喉の腫れにソフトクリームはとても助かります。

法隆寺から数駅進んで、奈良。奈良って、駅の反対側には普通に人が住んでるマンションが乱立しているし、駅前の雰囲気はこちらで言うところの岩国駅前みたいだし、全然派手さや豪華さはないのね。

どうしても鹿といえば宮島の鹿を基準に考えがち。奈良公園の鹿は、宮島のしかよりも‥太っているし、

群れている。

東大寺南大門。大仏殿も恐ろしくでかいけれど、この門もでっかい!そして南大門といえば、

運慶・快慶・定覚・湛慶の金剛力士像。こちらが阿形、対面に口を閉じた吽形。国宝の像がいつでも見られる状態でポン置きされているとことに驚きます。それだけ門の堅牢性も高く、少々のことでは揺るがないくらい流れてきた年月も尋常じゃないということでしょうか。

この日は帰りの新幹線が指定なこともあって1時間少々しか滞在できません。大仏殿への入り口にはすごい列ができていたので中へ入るのは諦めました。

そのかわり、修学旅行では足を運ばなかったエリアへ。

神のまにまにに惹かれて手向山神社の参道の坂道を登ります。

途中で左に外れて、二月堂へやってきました。人も少なくて、静かでとても良いところ。

いや、ほんとに良いところだな。

階段には亀甲や波の模様が。

お子様も大満足。

振り返ると奈良の街が一望。何気に主張の激しいこの杉は良弁杉という由緒ある3代目の杉だそうです。

またこの階段がいい。

文化財への落書きに驚嘆しているムスメ。まだまだ人の世がわかってないのう。

ついつい裏通り裏通りと足を運んでしまうのだけれど、二月堂の裏参道と呼ばれるこの微妙にうねりながら山を下る道の雰囲気がまた素晴らしい。人が来ないエリアなのか飾り気も何もなく、ただ裏参道という用向きのためだけに作られた様子が静かでとても良い道です。

人種のるつぼになっているエリアに戻ってきました。3日間を通して、道頓堀もUSJも東大寺も、日本人より外国人の方が多いという印象を受けました。特にここは国籍の幅が広かったように思います。

美しい日本の風景にはたくさん出会えましたが、気取らず飾らず媚びず諂わずその場の空気を次の時代へ伝えていくことができるのはいつまでのことでしょうか。二月堂の裏参道をムスメとふたりで歩けただけでもここへきた甲斐がありました。

「ここからのバスはすべて近鉄奈良、JR奈良駅へ止まります」という案内の通り、中央付近にはものすごくぶっといラインができています。JR奈良駅〜奈良公園はバスで10分ほど。

せんとくんって不気味なことでヒットできた稀有な例よね。ギリギリ可愛いし。

それではみなさん、さよう、なら。

新大阪へ向かう途中、乗り換え駅でホームを間違えて新大阪へ届かない路線に乗ってしまいました。新幹線は指定券だし、それほど多くの時間的なゆとりをとってないので少々焦りました。

大きな街の良いところは、鉄道で路線を間違えてあさっての方向へいってしまっても、そこから目的地へ向かうルートがいくつか選べるところでしょう。数駅進んでしまったところで地下鉄に乗り換えて元のルートからすると1分遅れで新大阪駅へ到着しました。

妻には「お土産に551の肉まん買ってきて」と脅されていましたが、USJ慣れした目で見ても腰が引けるくらい、3つある店舗すべてで終わりの見えない行列ができていて、この人気は脅されるのも理解できるわ‥と思いながらも結局買わずじまいです。明日の太陽が拝めるか心配です。

沿線火災で30分程度遅れの出ている新幹線がまた、次々と到着して発車していきます。いつやってきていつ発車するか分からないので、ホームから離れて買い物にも行けない。

で、乗ってしまえばあっという間に広島。余韻を噛み締める暇もないくらいあっという間の時間です。

広島駅はちょっと前まで古めかしい昔ながらの駅舎だったのに、この数年で他のどこの駅とも変わらない、統一されたJRテイストな駅になってしまいました。なので、ホームから降りてきても広島という実感がいまひとつ湧きません。

でも、ロードスターが構内に置かれているのを見て、ああ、広島だなって思いました。ただいま。

というわけで2泊3日、詰め込みに詰め込んだ大阪+奈良の旅でした。小学6年生のムスメが思いのほか内面的に成長していて、僕としては3日目の奈良の旅がとても思い出深い旅行になりました。全くもってプライスレスです。子供が付き合ってくれるのもあと数年でしょうから、もう少し思い出作りに知らない土地へ出かけてみたいです。

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