超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

「劇場版超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」公開40周年記念として、4Kリマスター化したものを劇場公開するというニュースを1か月ほど前に知りました。僕は40年前の1984年、この作品を封切り初日にわざわざ新宿の映画館まで見に行きました。どうして新宿かというと舞台挨拶があるんじゃないかと期待していたのだけれど、当時はその手の情報の入手が難しく、アテが外れてどうも舞台挨拶があったのは池袋の映画館だったみたい。その情報自体当時のことだから本当かどうかわかんないんだけれど。

4Kリマスター版の広島での上映は安佐南区の緑井のTOHOシネマズの1館だけ、それも気が付いたら今日が最終日じゃないですか。最強寒波で雪が舞う中、カブで行ってきましたよ。雪積もってもスノータイヤだから何とかなると思って。

マクロスだからというよりも、40年前に映画館で見た映画をまた映画館で見られるという経験はなかなかないだろうと思って、それが先に立って見に行ったという感じです。この40年の間に何度も、それこそセリフを丸覚えしちゃう勢いで観ている作品だけど‥上映が始まってその映像のきれいさに驚きました。僕たちがブラウン管で見ていた映像は裸眼で水中の映像でも覗いていたんじゃないかと思えるくらい、4Kリマスターされた映像は最近のきれいな映画に見慣れた目で見ても十分文句のない綺麗さ。絵柄はさすがに古いけどね。
それでも、昔のアニメーターは本当に上手だったんだなぁ。顔なんかは美樹本・平野調の癖っぽさがあっても人体とかちゃんと量感があって、画面の中に空間を感じます。平板じゃないんですよ。それがまた上手い人がサラっと描いたという感じじゃなくて、ムチャクチャ頑張って描いてます!という感じ。なんというか、出来合いのコンビニ幕の内弁当じゃなくて、冷蔵庫にある材料で手作りで作った弁当だけど、奇跡的になんか見た目も味もイイじゃん!という感じ。作品から受ける熱量が最近のアニメ作品とは全く違います。
昔は美樹本晴彦の絵柄をうまく表現しきれていない描写とかが気になっていたのに、40年も経つと歴史的な価値も含めてひとつの作品にかけた仕事の総量を量るような眼で見ちゃうんですね。そんな気づきも4Kリマスター版だから見えちゃったのかもしれない。

一番乗りだったので、入場してくるお客さんの客層を観察しました。ほぼおじさん。98%くらいおじさん。若い人3人くらい。まぁ分からなくもない。なにせ40年前の作品だしね。
初めてこの作品を見た若い人の感想はいろんなレビューを見ると「40年前に手描きでコレはすごい!!」という驚嘆の声が多い。僕は40年前から見てるけれど、僕も「40年前に手描きでコレはすごい!!」って思わず言ってしまうくらい4Kリマスターの映像はとにかくすごかった。僕が知っている愛・おぼえていますかは炭酸のヌケたコーラだった。4Kリマスターはシュワシュワのハイボールのようにクリアでツブツブしていて味もスッキリ。

もう何度も観ている作品なのでストーリーに驚きはないだろうと思っていたのに、絵がクリアになっただけで手に入る情報量が圧倒的に増えたのにも驚きました。サクサクと画面でフォーカスされているもの以外の情報が入ってくる。あと、強い男尊女卑な空気感と、感情表現としての平手打ち、この2点が「当たり前」に表現されていたのがバブル期以前の昭和らしさと思ってしまったけれど、40年も経って自分(というか世間)の価値観はそういう表現に違和感を覚えるものに変わってしまったんだな、ということにも驚きました。古い作品って価値観のタイムカプセルね。

期待していた以上に得るものを得たという感じで、最終日に駆け込みで観に来て本当によかったです。劇場を出てエスカレーターに乗りながら、次に40年後にこの作品見る時は‥自分95歳か‥とか思って、あらためて40年という時間の太さを実感しました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です