こんな写真が携帯電話のカメラで撮れる時代がやってきた‥本当に感無量です。
※いくつかの天の川の写真はオリジナルサイズへリンクさせました。
金曜日に台風が通過した土曜日の早朝、夜中に空を見上げると結構な星が見えました。
これでも数えきれないくらいの星が写ってはいるのだけれど、沿岸部の自宅の屋上からだと天の川が肉眼で見えるほどではありません。
以前から光害(ひかりがい)の少ない山口県の上関(山口県の最南部の島)で星空を見てみたいな、とは思っていました。
天の川のなかでも一番明るく複雑に見える銀河の中心方向は夏の終わりのこの時期、南南西に低い仰角で見えます(地上物と一緒に撮影しやすい)。また、この日の月は下弦で光が弱く、昇ってくるのも明け方の3時くらい。
加えて台風通過後の綺麗な空気に雲が全くない空が期待できる夜、まさに最高の条件です。これはもう、上関を目指すしかない!
土曜日の午後から荷物を準備して夕方にムスメを連れて家を出発しました。
天体観察と宿泊と、翌朝の朝焼けも含めてまとめて見られる条件の良さそうな場所をいくつかロケハンするつもりが、最初に到着した展望台ですでに日没‥。
もうここに根を張るしかない。
先日、兵庫の山の中でコットに寝転がって天の川を見たのがとても快適だったので、天体観測のためにこのインフィニティチェアを購入しておきました。このチェア、水平以上に(というのは足がやや頭よりも高くなる位置まで)リクライニングできるし、枕も上下可動式で、ごろ寝で天体観測するのには最高のギアです。
それなりに暗くなって肉眼でもうっすらと南の水平線から北のカシオペアへ繋がる光の帯が見えるようになってきたので、射手座方面の南の空に向けてとりあえず1枚、と撮ってみたら‥うわぁ、写ってる!この複雑な模様になっている天の川が撮りたかった!
さらに暗くなってから撮ってみると、もう、これは言葉にならない‥上関は南方向が海なので、空がかなり暗いこともあって、肉眼でも天の川の帯の間の黒い筋がはっきりと見えていました。この黒い部分、銀河が上下にパカっと割れた隙間だと思っていましたが、暗黒星雲なんだそうです。白く輝いているところよりも手前にあるんですね。
GooglePixelでの撮影方法については以前も触れましたが、夜景モード(ボタンが月マーク)にして「カメラを固定+画面に映るものが暗い」という条件が揃うと自動的に天体撮影モード(ボタンが星マーク)に切り替わるので、あとはシャッターを押して4分待つだけ。
撮影した写真はPhotoアプリで編集すると、夜景モードや天体撮影モードのときにだけ「ダイナミック」や「補正」の編集メニューの並びに「Astro」というボタンが増えています。これを押すだけでそれなりに星空として最適化された絵に編集されます(今回ここに掲載した写真のほとんどは携帯内編集ではなく、RAW撮影したものをLightroomで現像したものです)。
うちにあるPixel3やPixel3aなどのかなり古いPixelでも天体撮影モードでの撮影は可能です。ただ待ち時間が1分で、仕上がりは現行モデルの写真比べるとノイズが多めになります。今回掲載した写真を撮影した携帯はPixel8aです。iPhoneでいったらSEに相当する廉価版なのに、この仕上がり。すごい。楽しい。眠れない。
北の空にも目を向けて見ましょう。だいたいこの辺かな?と撮ってみた写真を拡大すると、
アンドロメダ銀河(M31)が写っていました。いやいや、向きは狙って撮ったけれど、こんなに簡単に写るとは思いませんでした。
写真で見ると結構明るいので肉眼でも見えそうですが、僕の目では他の星とこの星雲の違いがもう区別できません。残念だ。
2枚上の写真の部分拡大。左にカシオペア、右の方にアンドロメダ銀河。
カシオペアのWの1辺を4個分延長して、90度曲げた1個分のところ、というのが大体の位置関係なので見つけやすいです。
天の川は太陽系の周囲にある銀河の星々です。その天の川銀河は直径10万光年、アンドロメダ銀河は直径22万光年。双方の距離は250万光年とされていますが、よく考えて見るとその距離はアンドロメダ銀河10個分ちょっとしか離れていないのです。
近いんだか、アンドロメダ銀河が大きいんだか‥。
ピントが外れてうまく撮れていませんが、手持ちの一眼レフで撮影(PENTAX K-3II 17mm/F2.8/10秒)した天の川銀河の中心方向。これ、もしピントがあっていたとしても、
おそらくこれには勝てない‥。携帯のカメラ、すごい。
天頂部の夏の大三角にも目を向けてみましょう。といっても、星が多すぎて肉眼でもどれが夏の大三角なのか分かりにくいです。
こちらは夏の時期空に出ている時間が長いので、観察しやすいですね。
携帯のカメラで4分間露光して撮影、といっても4分間露光しっぱなしというわけではありません。一眼で撮影する場合でも15秒以上露光すると星が線になってしまうと言われています。
Pixelの天体撮影モードは、16秒間の露光を15回繰り返してそれらを合成したものを出力しています。風力発電機のブレードがストレチアみたいになっているのをみると、何枚かの露光を合成しているというのがよくわかります。
8月31日から9月1日にかけてのまだまだ夏といえる夜でしたが、台風が東に抜けて北風が入ったからか、明け方は20度前後まで気温が落ちて寒いくらいの朝でした。
足の生えたタラコが歩いてきた。
方位からして朝焼けもバッチリだろうと陣を構えたのに、なんだ、太陽は島の裏から昇りそう。
でも焼ける雲もないので朝焼けにはこだわらず、おとなしくまっすぐ帰宅しました。もう本当にお腹いっぱいだよ。
これ↑、携帯の天体撮影モードで撮って出しのJPEG画像。
↑それを携帯内のフォトアプリのAstroボタンを押して編集したもの。コントラストが高くなってうぉぉ!と声が漏れる画像っぽくはなるけれど、ディテールが食われている感じもある。
↑RAWデータをLightroomの自動編集ボタンを押してJPEG出力したもの。カラフルで濃厚な感じがして、これが一番嬉しい仕上がりになります。
これは1枚目に掲載した写真ですが、射手座方向は銀河の中心方向になります。銀河の中心にはサジタリウスA*(射手座Aスター)という超巨大ブラックホールがありますし、電波望遠鏡でサジタリウスA*周辺は映像化されていますね。射手座には北斗七星によく似た南斗六星も含まれています。いろいろと見たかったもの、撮りたかったものが一気に解決して、本当に満足です。
この日ここで出会ったおじさんが過去に撮影したタイムラプス動画(冬の空だそうです)。15秒露光の連続撮影の動画、ということですが‥これ撮るの徹夜になるんですよね。僕たちと出会った日も朝までご苦労様でした。
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