北海道へ行くのは、2度目です。以前北海道を訪れたのがいつのことだったかと調べてみると、なんと15年も前の6月でした。
初めての北海道は思い出深く、高速道路沿いの植生の違いから6月の肌寒さまでとてもよく覚えています。今回は12月なので冬を迎える北海道がどれくらい寒いものなのか、気温の数字からだけではちょっと想像がつかなくて楽しみ半分、持参した服で事足りるのか怖さ半分で臨みました。
今回は直行便ではなく一旦羽田空港まで飛んでトランジットです。飛んでしまえばあっという間に東京。飛行機だと広島からバイクで隣県へ行くくらいの時間で東京に到着してしまうので、東京へ来たという実感というか東京までの距離感が今ひとつピンと来ません。広島東京間は直線距離で700km(‥と、そう書いてしまうとそれほど遠くない感じがしなくもない‥)、夜行バスで東京へ向かう方がまだその距離の実感があります。
乗り換えて北海道へ向かう便は‥エアバスA350!初めて乗る機体でした。
ボーイング機と違ってコクピットの風防のリブまで黒いので、いつもミスターイングレディブルみたい、って思うこの顔。
こちらの機内は今時の集団学習教室みたいになっていますね。お‥驚かないぞ(すげー‥)。
映画やニュースのほかに、前輪の後部と垂直尾翼にとりつけられたカメラからリアルタイムに外の景色が楽しめるチャンネルが用意されていました。窓際の席でなくても外の様子が掴めるのは嬉しいです(なお、帰りの便の同型機にはこの外カメラはついていませんでした)。
右翼の下の海沿いの公園は大田区の城南島海浜公園です。ここから何度か羽田空港へ降りてくる飛行機を眺めました。
座席前のディスプレーでエイリアン ロムルスを半分ほどみたところで北海道、新千歳空港へ到着しました。片道1時間半くらいって、往復で映画1本みるのにちょうど良い時間ですね。
羽田空港のどことなく空港の周囲を建造物に囲まれた感じや広島空港の山の上にある感じと違って、遮るもののない平坦な大地と地平線さらに向こうにドンと置かれたように雪を被った山、というところからアウェイ感がたっぷりあります。
空港から少し離れると広々として平らな牧草地と牛のいる景色が広がっていました。中国地方や九州では牧草地って丘や山といったイメージしかないので、こういう恐ろしく横に広い牧草地からも北海道らしさを感じます。
広島では紅葉真っ盛りなのに、ほとんどの木がもう1段階先へいっていました。
建物も、わざとらしくない。
旅客機とは違う鋭い排気音に空を見上げてみると、F-15が着陸体制で真上を飛んでいました。空港から外へ出た時も2機が旋回していたし、その後の牧場でも轟々という音が響いていました。
目では(人が手を入れて)自然物で作られた景色を楽しんでいても、耳では延々と機械の吐き出す音を聞かされる、という地域なのですね。
自分が子供の頃住んでいた岩国を思い出すな‥あの界隈もジェット機の音が、あってあたり前の街でした。
宿泊したホテルは目の前がゲレンデ‥こういう80年代スキーブームでみられた施設と設備と環境を、あれから40年くらい経って経験できるとは思いませんでした。
翌日2日目。スキーの本格シーズンはまだもう少し先のようで、ニセコの最高品質のパウダースノーというわけにはいきませんでしたが、とりあえず滑って楽しめるくらいには雪があってありがたいです。
その日登れる一番高いところまでリフトで運んでもらってスロープをターンすると‥
ぐはっ、と肺から息が吹き出した‥羊蹄山の裾野に延々と広がる広大で雄大な風景!ロケーションにこんなに心打たれるのは近年稀な体験だよ。
何度上がってもリフトを降りる度にため息が出る景色。独立峰の「絵に描いたような山」の姿って、本当に絵に描いたような景色になるんだなぁ。
刻々と雲の形が変わっていく風景にまた胸を打たれる。本当に素晴らしい。
大人になっても自制心は成長せず、翌日以降のことが分かっていながら足の筋肉が悲鳴をあげても構わず時間いっぱい滑りに滑りました。何年振りかにスキーをしても滑れてしまうって‥できなかったことはさっぱり忘れてできた経験だけを覚えていく人間の頭の仕組みってすごいですね。
翌日3日目。ニセコを出発。このくらいの雪道だったらスノータイヤのカブで走るのがとても楽しい、とか思い始めたら無性にバイクに乗りたくなってきました。特に、カブ。
小樽へ向かう途中で、丘に張り付くように箱状の家が並んでいて、これがコミカルで面白い。この辺りの家って屋根が平らで、屋根に登るハシゴのついている家が多いです。屋上を普段から利用するためではなく、特別な要件の時に屋上へ上がるため、という意図が見えてきます。
小樽の海に近い界隈を歩けば、街のあちらこちらに古い建物が残されていることにすぐに気が付気ます。また、それが保全目的で腫れ物を触るような扱いをされているのでもなく、普通に店舗が入ったりして今でも利用されている建物が多いというところに小樽の面白さがあります。
ただ、15年前と比べてちょっと軽薄になってしまったかな、と思います。人が集まり始めるとそれまで街が時間をかけてつくりあげた色でも、ポップな色使いやら字体やらが簡単にそれを上塗りしてしまう。清里や湯布院など、ふと考えてみてもそんな街はいくらでも思い浮かびます。
少し山側へ行くと、線路の上を歩ける線路。こういのがそのまま、ありのまま遺されているのが良いんだと思うけどな。
手宮線は鉱物などを運ぶために北海道で最初に敷かれた線路です。廃線になりましたが、1600mほど線路が遺されています。
まぁ、先の線路はここへくるためにたまたま見つけたんだけど。今回の重要な目的地、セイコーマート。
北海道らしいものを買います。
思った以上にとうきびの形状をしていました。また味もかなりとうきび風味。これ、パッケージには北海道限定って書いてあるけれど、全国で売らないかな。
ムスコ御所望の北海道土産はこれ。
路地にカブが置いてありました。塗装の剥がれたあとから、元々は郵政カブだったことがわかります。
いいなぁ、鉄カブ。フェンダーとかサビで穴があいていたり。こういうカブを誰かタダでくれないかなぁ。
運河まで降りていくと、雪と風がひどくなってきました。北海道らしい雰囲気が出て良いな。このまま吹雪くのかと思ったら、
急に天気が良くなったりして。これはこれで鏡面のような運河がきれいで良いです。
軽く湾曲しているのは、陸を掘り込んで作った運河ではなく、倉庫側は埋め立てて作った運河だからだそうです。左側の湾曲したラインが昔の海岸線ということですね。
絶対に観光客は歩かないだろいうという宅地を歩いていたら、神社の前の石灯籠がすごいことになっていました。
これはどう考えても建物が後にできたんだろうけれど、そこでどういう合意があったのかが気になります。
札幌駅前に落とされて、自由散策4時間コース。
駅前通りのこれは、地下街の排気口か何かなのかな?
日本三大がっかり観光地のひとつ、札幌の時計台。以前バスでこの前を通りながらチラ見した時は「ちっさ!」と思ってしまいました。今回自分の足でここへきて建物と対峙してみるとビルの谷間にはありますが、隣に大きな橋が架かっているはりまや橋よりはがっかりな感じは受けませんでしたよ。
歩きに歩きました。なんであちこち歩いて訪れるのか‥目的は言うまでもありません。
そんなに高いわけじゃないけれど、さっぽろテレビ塔の存在感はとても大きい。その存在感は四方に時刻を示しているのが効いてるね。どこからでもつい見ちゃうもの。
大阪のグリコと並んで、ススキノのニッカのおじさん(キング・オブ・ブレンダーズ)は、見ておきたい広告看板のひとつじゃない?周囲のビールの看板の頑張っているけれど、大きさで優っていても存在感では全く敵わないね。
せっかくなので地下鉄にも乗ってみたくて、2駅だけ乗ってみました。広島には地下鉄がありませんからね。
やぁ、15年振り。
大通公園内にあるイサム・ノグチのブラック・スライド・マントラ。ある種の人にとって、札幌観光の目玉はコレだと思う。ぐるぐると反時計回りに階段を登って滑り降りるパブリックアートの滑り台。
微妙な歪み具合に、機械で設計したような冷たさはなく、人がひとのために施した想いがその曲線から暖かく伝わってくる。でも冷たく、重い。
冬は触るどころか近づくこともできないんですね‥。
多分、今回500人くらいと一緒に広島から札幌へ訪れているのだけれど、ここへ来たのは僕ひとりじゃないかと思います。凛とした佇まいに疲労感が吹き飛んだわ。孤高。
先のとうきびモナカはセイコーマートのオリジナル商品だと思っていたのに、パッケージをよくみると「LOTTE」と書いてありました。
ということであらためてこちらはセイコーマートのオリジナル商品かぼちゃモナカ。こちらは北海道苫前(とままえ)町産のかぼちゃを使った商品で、先月復刻したものなのだそうです。それにしても、アイスを11月に復刻する北海道って‥。
味は、言われてみればかぼちゃ‥どころか、言われてもかぼちゃ味だとは分からない味だったなぁ。寒かったからかなぁ。
街の中のホテルの窓から。
カーテンを開けたまま、寝てみました。銀幕に映る映像みたいだ。
朝の刻々と空の様子と明るさが変化していく様を、贅沢にベッドの上から楽しみました。
こうなっちゃうともう面白くねいね。
テレビ塔が遠くに見えたけれど、あの距離からでも十分時刻がわかる。札幌って便利。
札幌の円山動物園。目玉はシロクマが泳ぐ様子を下から覗ける水槽、ということで、動物園最深部の建物に来てみましたが、あいにくシロクマは泳ぎたい気分じゃなかったようで、
アザラシの腹ばかり見ていました。
可愛い顔している。アザラシとシロクマは同じ通路で見られますが、水槽は仕切られていますからね。
新千歳空港へ向かう途中の航空自衛隊の敷地内に、政府専用機が駐機しているのが見えました。この機体は航空自衛隊千歳基地に所在する特別航空輸送隊が運行するため、普段はこちらに格納されています。
北海道らしいものといったらセイコーマートの商品しか食べてないな、と思って新千歳空港のラーメン街でラーメンを食べてみました。美味しいのは美味しいんだけれど、僕は広島や九州のラーメンの方が好きかな。
羽田までの帰路、エイリアンロムルスの後半を見終えたあたりで富士山が見えてきました。日本の象徴が大きいというのはいいね。雲の下には神奈川県の海岸線が見えています。
1時間後、広島へ向かう便。たまたま撮ったこの1枚が、どこの上空かその日のうちに見つけられなかったのだけれど、トナミゴンくんが三郷ジャンクションが写っているということを教えてくれました。
国土の20%以上もある広い大地の、ほんの一部分しか見ることはできませんでしたが、それでも冬のはじめの北海道は広島と違って覚悟の居る地域でした。いつか道東・道北へも行ってみたいな(バイクで)。
コメントを残す