スターウォーズ再考

これまで何度観たか分からないくらい繰り返しスター・ウォーズを視聴してきたが、これまでは公開順にオリジナル三部作を観てから、プリクエル・トリロジーへ戻る(Ep.4→5→6→1→2→3)という流れで観ていた。

今回は初めて、物語の時系列順に『ローグ・ワン』も挟みながら観ている(現在Ep.4が終わった時点でこれを書いています)。

Ep.1 ファントム・メナス

若い頃にも違和感を覚えたけれど、改めて観るとどうしても尺配分の違和感が気になってしまう。

ポッドレースはやや冗長である。その一方で、ダース・モールとのライトセーバー戦は濃密でありながら、あまりにもあっさりと終わってしまう。あれほど魅力的な敵役を登場させながら、決着までが短すぎる。作品全体の編集として、あの尺配分で本当によかったのだろうか。

Ep.2 クローンの攻撃

この作品はアナキンの人物描写があまりにも直接的で、生々しすぎる。もう少し「匂わせる」「漂わせる」程度でも十分に物語は成立した。

あそこまで未熟さや危うさを露わに描かれてしまうと、アナキンという人物に親しみも憐れみも抱きにくくなり、結果として感情移入できなくなってしまう。

Ep.3 シスの復讐

そしてEp.3。観るたびに、「こんなに複雑で重層的な物語だっただろうか」と驚かされる。そして改めて観返してみて、またその構成の巧みさを再認識させられてしまうのだ。

まず、政治構造だけを見ても十分に複雑である。

  • 銀河共和国──最高議長パルパティーンを戴く銀河政府
  • 独立星系連合(分離主義勢力)──ダース・シディアスの指示を受けたドゥークー伯爵が率いる反共和国勢力
  • ジェダイ・オーダー──共和国に協力し、クローン戦争では将軍としてクローントルーパーを指揮したフォースの守護者

そして最高議長パルパティーンとシスの暗黒卿ダース・シディアスは同一人物であるのだ。

パルパティーンはダース・シディアスとして分離主義勢力を裏から操り、共和国との戦争を引き起こす。一方で共和国では最高議長として権限を拡大し、「戦時体制」を理由に民主的な手続きを経て銀河帝国を成立させ、自ら皇帝へと上り詰める。

戦争そのものがパルパティーンの壮大な自作自演だったのである。

帝国成立後、役目を終えた分離主義勢力はアナキンによって粛清され、ドロイド軍は停止。さらに不要となったジェダイ・オーダーも、クローントルーパーへ組み込まれていたオーダー66によって一斉に排除される。

この政治劇だけでも十分に見応えがあるのだが、本作はそれだけでは終わらない。

  • パドメとアナキン夫妻の悲劇
  • オビ=ワンとアナキンの師弟関係の崩壊
  • ダース・ベイダー誕生というシリーズ最大の転換点の描写
  • 「シスの復讐」というタイトルそのものの実現
  • オリジナル三部作で語られていたダース・ベイダー誕生の伏線回収
  • オルデランとオーガナ家の背景の補完
  • ヨーダとオビ=ワンの立ち位置の伏線回収
  • 『新たなる希望』へとつながる「希望」の伏線

これだけの要素を一本の映画で同時進行させながら、見事に着地させている。これは脚本の勝利と言っていい。

ローグ・ワンからEp.4 新たなる希望へ

Ep.1~3を観終えたあと、『ローグ・ワン』、そしてそのままEp.4冒頭を観ると、ひとつの物語としての見事なつながりに改めて驚かされる。

特にEp.4でハン・ソロが登場するまでの約1時間には、デス・スター設計図奪取作戦、レイアの使命、ダース・ベイダーの追跡、帝国と反乱軍の構図など、後年に制作されたプリクエル三部作や『ローグ・ワン』によって補完・回収される伏線が驚くほど凝縮されている。

公開から何十年も経ってなお、一つの壮大な物語として成立していることに、改めて舌を巻く。

続三部作とスター・ウォーズについて

映像だけを見れば、『フォースの覚醒』以降の続三部作は素晴らしい出来だと思う。

それでも物足りなさを感じるのは、オリジナル三部作より後の時代を描くことから展開を自由にできたことと引き換えに、これまでの六部作が築いてきた「過去と未来を結び付ける重層的な物語構造」に参加することが難しくなってしまった点にある。

時系列順に観返して改めて思うのは、スター・ウォーズという作品の魅力はSF作品として宇宙船同士のドッグファイトや、ライトセーバーが激しくぶつかり合うアクションだけにあるのではないといういことだ。

それらはシリーズの世界観を形作る外郭という大きな魅力ではある。しかし、本当の魅力は、その内側にあるスカイウォーカー家を中心とした人間ドラマであり、その裏側では共和国、ジェダイ・オーダー、シス、そして帝国という巨大な組織が複雑に絡み合い、数十年にわたる歴史が一本の物語として紡がれていくところにある。

一作に込められた出来事が、何十年後に制作された別の作品によって新たな意味を持ち、逆に後から描かれた出来事が昔の作品の印象まで変えてしまう。この「物語同士が互いを補完し合う構造」こそが、スター・ウォーズというシリーズ最大の魅力ではないだろうか。

そして、その物語を見届ける私たち自身もまた、何十年という時間を作品とともに歩んできた。新作が公開されるたびに過去の物語の意味が深まり、若い頃に観た作品を、何十年後の自分がまったく違う作品として観返す。そんな体験を、私たちは人生を通して積み重ねてきた。

一本の物語が半世紀近くをかけて完成へ向かい、その過程に観客も人生を重ねながら付き合っていく。そんな作品は、(僕にとっては)おそらくもう二度と現れない。

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