NUDA900R 夏の九州などツーリング

1日目:8月10日(日)

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お盆休みの始まる週末に日本列島のど真ん中を縦断した今年の台風11号が日本海に抜けたころ、雨雲レーダーや天気予報を確認しながら「そろそろ行っても大丈夫だろう」と九州へ向けて出発しました。

広島を出発してしばらくの間、山口県東部は思い切り夏空!今年もクラクラするような暑さの中を走るツーリングだと覚悟して西へむかいました。

ところが‥山口県中央部あたりから雨。下関の直前から本降り。
西方面へ行く時にはほぼ必ず食べている王司PAの肉うどんをゆっくりすすりながら、天候回復を期待をしていましたが、雨雲ズームレーダーには全く雨雲が出ていないのに局地的な雨という感じでもなくジャージャー降りの雨が続きます。高速道路上を下り方面にパトカーや救急車がものすごい勢いで何台も駆けっていったのを見て、これはどう見ても事故だろうと、渋滞が始まる前に雨の中再スタートしました。しばらく行くと、上下が逆さまになって潰れている軽自動車が追い越し車線を塞いでいましたが、滋賀ナンバー。山口県なんかで単独事故起こすと大変ね。

唐津へ向かって福岡を通り過ぎたあたりで高速を降りて、雨なので温泉でも‥とナビに任せて辿り着いた温泉は、廃墟。ブロック分けされた区画は露天の家族風呂だったりしたんでしょうか。

目的地は特に唐津である必要は無かったのですが、暗くなって唐津に到着に到着するころに雨はやみました。ハンモックを吊って寝る準備を整えた後、ビールとチーズと折り畳みチェアを持って川土手に上がると街越しに花火が見えたり、空を流れ星というには大きすぎる火球が流れたり、独りの夜向けのそれなりなイベントがありました。

2日目:8月11日(月)

日の出前にハンモックを撤収して、折角唐津に来たんだから松原を見ていこうと海岸線に広がる松林を目指します。唐津は20年前に九州1周した時に来て以来です。

松林は唐津街道と呼ばれるメインの通りよりも、1本山側に入った細い道の方が趣きがあって楽しめます。

鏡山という虹ノ松原展望のためにあるような山に登ると、海岸沿いに太い眉毛のように広がる松林と唐津湾を含む180度以上の素晴らしい展望が楽しめます。松原の中を走るよりもこちらからの眺望の方がオススメです。

唐津から佐世保へ行く途中には、伊万里や平戸や松浦の街がありますが、今回は佐世保バーガーを食べるためにお店の開店時間に佐世保に到着するように走ることにしました。途中のいろは島を見下ろす展望台からはモコモコした島々が複雑な水路をつくっている風景が見渡せます。長崎の九十九島に通じる物がありますが、ここはまだ佐賀県。

棚田があるというので福島という島も一周してみました。棚田以外は特筆するところのない島でした‥。

以前佐世保に来た時に、ものすごい行列を遠巻きに見てあきらめた佐世保バーバーのログキットさんとヒカリさんは間にバイクショップを挟んで建物が並んでいます。月曜とはいっても早めにお盆休みを取っている人もいるでしょうから、混み具合が掴めないので開店時間30分前に到着したら‥お店の前はガラガラ。

店内食が出来るログキットさんへ。とてもアメリカンな内装。

やっと出来立ての佐世保バーガーを頂くことができました。それにしてもデカい!

店内に架けてあるテンガローハットは装飾品ではなく被ってハンバーガーを食べても良いし、来店記念のお客さんの写真撮影にも使われるようです。お店を仕切ってるおばぁちゃんが「写真撮って帰りな!」とハットと特大バーガーを貸してくれました。おばぁちゃんに「はぶ あ ないすでぃっ!」と声をかけられて店を後にします。

佐世保の南西に南九十九島の眺望が楽しめる展海峰という展望台があったので寄ってみました。写真だとチマチマして見えますが、実際は島がバラバラっと投げ散らかされているような面白い風景が広がっていました。さすが島の数日本一の長崎県。

湾のお向かいの石岳展望台はグルグル登っていく建物のつくりが面白い。駐車場から10分くらい歩いたところにあります。

こちらは佐世保の町並みも楽しめます。米海軍の港に小さな空母が停泊していました。平地から溢れて斜面にまで家々がビッシリ並んでいる様は広島の呉にとても近い感じがしますが、呉よりも佐世保の方がオシャレであか抜けて感じるのは隣の芝が青く見えるだけ?

ここから見えるこの島なみは、映画「ラストサムライ」の冒頭のシーンで使われたそうです。って、どうやったって映ってしまう筏や住宅なんかはどうしたんでしょうね。

5月に長崎に来たときは、長崎から大村湾の西側の道を通ったので、今回は佐世保-長崎間を結ぶメインルートになる東側を通りましたが、海沿いの国道より1本山側の広域農道を走りました。前回来たときも思ったのですが、この辺りは海岸線の国道が自然災害で潰れた時に備えて、少し山側に規格の大きな道路を積極的に通しているように思います。とても走り易い道なのですが、山肌に沿って作っているので、なかなか南に進む距離が稼げません。それでも信号の無い大きなワインディングがひたすら続くので、海岸線よりもこちらの方が走っていて楽しい。
道を間違えて畑の中を通ることにもなりましたが、このあたりはお茶どころでもあるようです。

雲仙へ向かう前に諫早の堤防道路を走ってみました。湾のなかにつくられた7km一直線の堤防の中間地点に駐車場があります。雲仙は普賢岳の災害が起きた2年後くらいに訪れたときは天気もそこそこ良くて景色が楽しめたのですが、それ以来曇りや雨で残念な展望だったことがほとんど。遠くに見える山の上に雲はかぶっていますが、今回は天気が安定していますし期待ができそう。

一番高い、緑の映えていない山が溶岩ドームのある平成新山。ここから右の方に見える島原の街まで今は緑色のベタ面が広がっていますが、災害直後は生々しい溶岩類の流れた跡が広がっていました。まだ一回も乗ったことがないロープウェイにも乗ってみたかったのですが、生憎島原方面はガスっていて遠く熊本まで見渡せるような展望が期待できなかったので、今回も見送り。

雲仙の温泉街にバイクを停めて周囲を散策しました。歩いてみないと分からないことは多く、雲仙地獄もこれまで知っているよりもはるかに広い範囲に歩道が整備されていました。風向きによって蒸気はが歩道を思い切り横切って来るのですが、これが結構熱くてくぐり抜けるのには覚悟が必要。

町湯は4カ所。100円〜400円台まで。一番安い100円のところは番台のおばちゃんに入湯券を渡して入る昔ながらのお風呂で、中は「え、これで100円?」と思えるほどきちんと整備されていました。真っ昼間に入ると人が少なくていいですね。

雲仙や島原は半島なので、ここから別の地域へ向かうのには船をよく使います。南へ向かえば天草、東へ向かえば熊本。天草は5月に走ったので、今回は熊本へ向かいました。丁度夕日が雲仙普賢岳の裏に沈んでいく時間帯で、山の頂に被った雲から漏れる斜光や島原湾に映る太陽がダイナミックな風景をつくっていました。

船をウミネコが追いかけてきます。餌付けされているようです。

熊本上陸。この後、翌朝阿蘇へ行くためになるべく阿蘇に近いところに泊まろうとひたすら走って狙っていた公園周辺をロケハンしましたが、1時間くらいウロウロしたのにハンモックを吊れるところ見つからず、別の場所に移動してやっとと落ち着いたものですから就寝は22時。結構走ったのでこの日は即オチ。

3日目:8月12日(火)

午前4時。知床にいる作Tさんのつぶやきを見ると日が差し始めているのに九州はまだ真っ暗です。ミルクロードから阿蘇の大観峰へ向かって走り始めました。しばらく上り坂を走っていると、だんだん霧がでてきて‥ハイビームでは目の前真っ白な状態になってきました。これはこれは。雲海期待できるかも、と慎重に進んでいきました。

大観峰に到着すると、カルデラの底に広がる街の明かりが見える‥雲海というよりも霞がかかっている感じでそれがだんだん濃くなって外輪山を乗り越えてきて霧に包まれた風景になってしまいました。1時間程粘りましたが、雨もポツポツと落ちてきたので、山を下って雨宿り先を探します。

阿蘇の国道沿いで朝6時に開いてる店ってファミレスくらいしか見つからなくて、ついでに朝食も。ここ数年、ツーリング中は水分以外ほとんど何も食べなくても平気な体質になってきたので、無理して食べる必要もなかったのですが、とりあえず豚汁と納豆がとても美味しかったです。雨雲ズームレーダーでは1時間ほど降水のある感じでしたが、今回もハズレて雨は降りませんでした。

今回、これだけ何回も阿蘇に来ているのに一度も足を運んだことの無かった阿蘇神社は訪れてみようと思っていました。この周囲に水が湧いているということも以前から何となく知っていたので、周囲を散策。

分かり易い案内があちこちに掲示されているので、簡単に水場はみつかりました。いずれも飲用可。角が無くて丸い感じの飲み易いお水です。

店の軒先では物を冷やすために使われていたり。

建物の基礎と一体化されていたり。

野菜を抱えたおばぁちゃんが「ここは水だけはエエからね」とニコニコしながら水自慢していました。一通り水場の水は口にしていましたが、「飲め飲め」というのでもう一口。もう水腹いっぱい。

ここで、山口県をカブで出発したたむさんが道の駅阿蘇まで来ているという情報発見。速攻で行ってみたら、もう居ませんでした。その後のつぶやきもなし。どちらへ向かったかわからないのですが‥その日の天気、ロケーションからきっとこっちに違いない!と思われる方向へ向かってみました。

そしたらホントに居たよ、阿蘇山上の火口駐車場に防府ナンバーのスーパーカブ70!ご本人は何処に!?

いつもより多めに噴き上っている噴煙をバックに、不自然なポーズをキメている人発見!いやぁ、嬉しいなぁ!

時間も場所も示し合わせたわけじゃない上に、たむさんはわざと情報を絞っていたそうです。うんうん、スマホの画面越しにその気持ちも、だったらこっちだろう?と思わせる考えもビンビンに伝わってきていましたよ。いやぁ、でもあと5分ズレていたら会えなかったかもしれないスゴいタイミングでした。

草千里でお別れしてあらためて火口を振り返ると、噴気がかなりの迫力で立ち上っているのに火口見学ができるというとてもラッキーな日だったにも関わらず、たむさんとカブの写真ばかり撮って火口に気持ちが向きませんでしたよ。

南阿蘇へ降りて予め調べておいた湧水群を巡ってみます。過去に「湧水地巡りツーリング」とテーマを決めて、阿蘇外輪山の北側や東側に点在する湧水地を巡ったことがありましたが、そのときは有名どころ以外はあまりグっとくるものがなくてイマイチでした。南阿蘇の湧水地といえば白川水源が文句なしに有名だし訪れ甲斐のあるところです。今回はそれ以外の小さな湧水地を巡りました。まずは池の川水源。

いや、いきなりきれいなところ過ぎて驚きました。気取ったり飾ったりすることない感じがとてもイイ。

中学生が柄杓で水をバシャバシャかけていたので「何か良いことあるの?」と尋ねたら、この石に水を10回かけると願い事が叶うのだそうです。僕もかけた後でふと浮かんだ願い事は「家族の元に無事に帰れますように」でした。

寺坂水源も水源と書かれていなかったら気付かないような自然さが良いところ。

寺坂水源は鉄道の鉄橋の下が水源なのです。運が良いと可愛いディーゼル車と一緒に水源の写真を撮ることができます。僕は1時間近くここに居ましたが、鉄道の往来はありませんでした。

小池水源は小池というには広い池の底全体から水が湧いているところ。

明神池は水源の真ん中に水草が生えていて、その脇から湧く水で常にユラユラと葉が揺れています。

水源からの水が注ぐ池にはコイが泳いでいました。

竹崎水源の入口が見つからなくて路傍のブルーベリー販売所で聞いたらもう少し先だとのこと。アイスを頂きました。

竹崎水源はこの川のようなところも底が水源になっていますが、もう少し上手にホントの水源があったようです。毎秒2トンの湧水量だとか。地中の水量ってものすごいんですね。それよりも、この辺に降った雨を集める水脈もよくできていると思います。

初めて阿蘇を自分の足で訪れたのは、大学時代に東京からツーリングで来た時のこと。そのとき訪れた俵山峠からの展望が思い出深く、それ以来よく訪れています。昔と違ってこの山にトンネルが通ったので、峠を越える細いワインディングは旧道という扱いで路面も荒れ放題だし、風力発電機の並ぶ風景になってしまったので、昔とはかなり印象は変わってきています。

それでも南阿蘇を広々と眺められる風景は昔と変わらず。特に晴れていると思い出の風景そのもの。

風車がヒュンヒュンいいながら風を切っています。気持ちイイ。

阿蘇を横切るカルデラ北部の国道54号のような渋滞が南阿蘇ではほとんど見られません。非常にのんびりとしています。阿蘇といえば初めて来る人は山上を目指すと思うのですが、今回のような湧水群巡りといった地味な観光も家族で楽しむのには向いていると思います。今日一日、移動先になる目的地を決めずに阿蘇で遊ぶことにしたおかげで南阿蘇の新しい楽しみ方がみつかりましたが、NUDAじゃデカ過ぎる。原付が良いですね。

 

俵山峠からカルデラにもどって来たところにある久木野温泉。

これまたとてもきれいで充実した施設の温泉なのですが、入湯料300円。露天風呂は屋根が無く、真夏の日差しの下で入るとプールに来ている雰囲気でしたが、スッポンポンなのがなんとも気恥ずかしく長居しづくて退散。ほとんど食事をしないせいか、体重が1キロ減ってました。

山に被っていた雲も晴れて稜線クッキリ。日差しは強いものの湿度が低くてとても快適な夏の日。北海道からの便りによると知床はとても暖かかったそうなのですが、台風が日本の真ん中あたりを半時計回りに回転しながら縦断したおかげで、東は暖かく、西は爽やかなのだと思われます。

高森のだいこんやという地元有機野菜を提供しているお店。前回来たときはお休みだったので寄ってみました。

特におなかが空いたというわけでもないのに、だんご汁が食べたくて定食を注文。昼過ぎて、この量でも「うへー、食べられるかなぁ」と思ってしまうくらい食欲が無いのですが、お腹自体は空っぽなので、あっさりと平らげてしまいました。このあたりで食べているだんご汁はでっかい小麦粉の固まり、太くて短いうどんといった感じ。味噌との相性がとても良くて、お店のメニューにある場合はついつい頼んでしまいます。

遊んでも遊んでもまだ日が高いというシアワセ。昨晩宿泊地に困って真っ暗な中さすらってしまったので、今回は早めにハンモックを吊ろうと阿蘇を離れて移動します。といっても、翌日の目的地がある訳じゃないのでどこに向かってもいいんだけど。ここは木造の天井まである橋。

小学生のころだからもう30年くらい前に家族旅行で久住へ来ました。その時に泊まったキャンプ場を見つけたくて久住高原まで移動しました。
久住をグルリと取り囲む道がものすごく整備されているんですが、災害でもあったんでしょうか。

緩やかな膨らみのある傾斜地という地形からするとここしか考えられない沢水キャンプ場。子どもの頃泊まったときは地元の天体観測のグループが集まる日で、何本も並んだ天体望遠鏡で空を見せてもらいました。夏の夜、アンドロメダ星雲が見られる向きに開けているキャンプ場なら間違いなくここ。

いつもキャンプ場を使わないので、ハンモックを吊る環境に贅沢が出来ないのですが、今回は落ち着いて良い木を見つけて吊りました。時間もあるので丁寧に吊ってみたら、カタログ写真のようにきれいに吊れました。

木と木を繋ぐ1本のラインにフライシートがかかっていて、その下にハンモック本体がぶら下がる構造。ハンモックの上側は蚊帳で覆われているので吸血昆虫も気になりません。現行型は蚊帳がサイドジップで開くようにもなったようですが、ハンモックへの出入りは底にマジックテープで閉じる開口部があって、中に潜り込んでテンションをかけると自動的に口が閉じてマジックテープがくっつくようになっています。
中は床が安定していないので、何をするにもモゾモゾしながら動くことになります。起き上がるにしても床に手を着いて押すという動作ができないので、ラインを掴んで状態を引っ張り上げるとう感じ。寝心地はその形状からは想像ができないくらい良いです。ベッドのような平坦なところに凸凹のある人間が寝ると、たとえクッションがあっても荷重のムラが発生してしまいますが、ハンモックは身体のラインに沿って面圧がきれいに分散されるので、とても楽に寝ることができるのです。

朝は日の出前から行動を始めるので、燃料タンクの小さなNUDAは前日の内に給油を済ませておかなくてはなりません。このあたりで確実にガソリンが手に入るのはやまなみハイウェイのガソリンスタンドまで行かなくてはならない(と思っていた)ので、行きは一般道、戻りはまだ走ったことのない久住高原ロードパークで、と思っていたら‥17時に到着したらゲート閉じてました。終わるの早すぎ‥。

夜、ペルセウス座流星群ということでトイレに起きる度に空を見上げましたが、0時の時点では曇天でした。

4日目:8月13日(水)

午前3時に目が覚めると、ハンモックのフライシートに木の葉の影‥おお、月が出てるのか、と外に出てみると前日スーパームーンだった月が本が読めるくらいの明るさで輝いています。空には薄雲がかかっているようですが、星のみえる晴れ。しかも吐く息が白くなるくらい寒い‥ってことは雲海望めるかも、ということで、4時半スタートで阿蘇へ戻ることにしました。久住に比べて阿蘇の外輪山側は標高が低いようで昨日同様の深い霧になってきました。昨日と違うのは、霧の中に入ってしまうとわからないけれど、空は確実に晴れているということ。

大観峰に到着すると、雲海は確かに出ているのですが、昨年みたカンペキな雲海のように中岳や根子岳が見えず、白い霞に包まれたまま。それだったらなにも大観峰で見るよりもラピュタへ移動した方が良いだろうと、カルデラから霧が駆け上がり始めたのを機に移動をはじめました。

雲海が低いので雲のは迫力には欠けますが、ラピュタはなかなか幻想的な風景になっていました。

日が昇るに連れて周囲が見えて来るのかと思ったら、こちらもガスがだんだん吹き上がってきました。このままでは全体が霧に覆われてしまう、ということで北へ移動。

往路で阿蘇へ向かう時以上に霧に覆われてしまったやまなみハイウェイを北上して瀬の本高原まで戻ってきたところで霧が晴れました。そのまま牧ノ戸峠を越えようと山を駆け上がりながら後ろを振り返ると‥なんということでしょう!自分が抜けてきた霧の海が巨大な雲の固まりとなって横たわっているじゃないですか。その上に根子岳と中岳が顔を出しています。

雲の帯はヌルヌルとこちら側に進出してきています。久住より標高の低い阿蘇側全体に雲が溜まって、それがどんどん溢れてきているようです。普段は外輪山に囲まれたお皿の内側に溜まった雲海を楽しむのが阿蘇の雲海ですが、これはさらにスケールの大きな雲海!あの霧の中を時間をかけて走り抜けてきただけに、その実感もハンパないです。

目的地もなく、どこへ行っても朝早いのでサービスが始まっていません。人が歩く吊り橋としては高さも長さも日本最大という九重夢大吊橋は完成以来何か妙なきな臭さを感じて立ち寄ることがありませんでしたが、時間もあるので寄ってみました。有料なので朝7時に到着しても渡ることができず、その外観を楽しむだけ。

帰路のことを考えてみます。普段は

1)スオーナダフェリーで大分県から山口県まで渡って高速で帰るパターン:
フェリー(燃油調整費含む)+高速=
6000円+2170円=8170円

なのですが、盆とはいっても平日なので高速代値引きがないのが今年の痛いどころ。
そこで、別ルートとして

2)国道九四フェリーで四国へ渡って松山からフェリーで帰るパターン:
国道九四フェリー+瀬戸内海汽船=
3130円+5350円=8480円

を考えてみたら、走る距離もそう変わらないし値段もほとんど変わらない。ならば走ったことの無い道、乗ったことの無いフェリーを使おうということで、四国へ渡るために佐賀関へ向かうことにしました。山を下っていく道も、雨後の山霧が幻想的な風景をつくっていました。

佐賀関到着。
一緒の便になった若者は、なんと100日を越える日本一周の最終日で、今日香川へ帰るとのこと。船上で旅の話をしたり聞いたりしていたらあっという間に四国が近づいてきました。彼の話で面白かったのは、「長期のツーリングのときに洗濯ってどうしてるの?」と尋ねたら「宿の洗濯機を使うことが一番多いけど、1日じゃ乾かないので連泊して、そこを拠点に方々を巡る」とのこと。僕は前へ前へ進むことばかり考えて連泊という発想がこれまで無かったので、なるほどなぁ、思いました。ロケーションの良いキャンプ場ならそこにずっと滞在して、洗濯物等もそこで済ますのもアリですね。食材の調達先も2日目以降困らなそうだし。

佐田岬の灯台。佐田岬から九州までクッキリ見えるようなら行ってみようと思いましたが、今日は空気のクリアさはもうひとつ。灯台手前の駐車場までは行ったことがあるのですが、灯台まで行くのはまた次の機会に。

佐賀関から70分で四国上陸。「九州ツーリング」と呼べなくなってしまいました。

さて四国はどこを巡ろうか、と思いましたが船の上で家族から電話がかかってきて「とーとん、いつ帰ってくるの?」とムスコに言われたのでそろそろ帰ることにしました。連日中身が濃すぎて、もう満タン。100日以上も全国行脚した日本一周の彼を尊敬します。

途中の道の駅で食べたじゃこ天がこの日最初の食事。中はふわふわしていて美味しくいただきました。

折角なのでまだ行ったことの無い町を目指して大洲へ。明治・大正の町並みが残っているというので寄ってみました。提灯屋や表具屋など、今となっては需要があるのか分からないような業種のお店が普通に営まれています。よくある景観保護区的なところよりも普通な感じが良いです。

その他はほとんど素通りで松山観光港へ。ジムカーナ用じゃないマシンでここから船に乗るの、珍しいんですよね。

広島までの3時間、旅を振り返りながら寝たり起きたりしていましたが、今回もムチャクチャ充実した九州ツーリングでした。長崎はいつも特に期待をしないのにいつも新しい発見があって面白い。阿蘇も何度も行ってるのに知らないことが沢山見つかるし。九州はちょっと遠いけど、それだけに遠くへ行った気にもなれる素敵な土地です。

これまでのツーリングだと時間も限られていることもあって、拠点間を最短で結ぶルート構成になるのが今までの僕のツーリングスタイルでしたが、今回みたいに時間がたっぷりあって目的地がないようなツーリングだからこそ発見できたものも沢山ありました。全てを通過点にするのではなくて、滞在型のツーリングというのもこれからは面白いね、と思えた今年の九州ツーリングでした。

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