SuperCub 宇部小野田界隈ツーリング

目的地もツーリングのテーマも決まらないまま、とりあえず最初の100kmはトランポしようとカブをハイエースに積み込みました。最近GROMはただの重りになっています。

徳山を周南と呼ぶようになって何年経ったでしょうか。調べてみたら平成15年の4月、平成の大合併で周南市ができたそうです。あれから17年‥やっと徳山というよりは周南という方がしっくりくるようになったように思います。というわけで、周南スタート。

国道2号線沿いの周南や防府は広島からでもまだ訪れる機会がなくはないのですが、2号線から大きく南に外れる宇部や小野田は全く足を運んだことがなく、土地勘が全然ありません。これまでは知らなかったのは特別そこに何かあるという認識がなかったからで、今回はその辺の海沿いの漁村でも流してトコトコ走って、収穫ゼロならそれでもいいやというつもりで向かってみました。

特別何もなくても、何もない海沿いというだけでちょっとウキウキする。

ここは以前ジオキャッシングで通ったことがあるのに忘れてた。らんらんドーム。

目の端に「石風呂」という文字がよぎったのでUターンして立ち寄ってみました。周防大島にいくつか点在する石風呂について調べていた際、本州側でも山口県の瀬戸内海側では石風呂文化があったと読んだことがありました。

めちゃくちゃ私有地なのですが、石風呂が確かにありました。中の広さは周防大島のものほど広くはありませんが、それでも大人数人は入れる広さ。中で火を焚いて温度を上げ、そこに濡れた海藻などを敷き詰めて蒸し風呂にしていたようです。

前方の丘、直径約20m、高さ3mの兜山古墳。

広島側から周防大橋を渡ったところにある、高台の藤尾山公園へ行ってみようと思ったら、途中に鉱山跡がありました。タングステン鉱山だったそうです。

しゃがんでやっと潜れるサイズ。これを潜っていく仕事‥大変ですね。いくつかある坑道のほとんどを砂石で埋めたそうですが、何箇所かは今でも入り口を封鎖して残してあります。

藤尾山公園からの景観に既視感が‥ああ、大三島から見る多々良大橋の構図か!

背の高い遊具が展望台の役目を果たしています。山口きらら博記念公園多目的ドームが見えます。NSRやGROMでジムカーナをしていたころ、ここの駐車場で練習会を開催してもらっていました。九州からもアクセスが良いので、西日本の有力選手の集う、質の高いなかなか良い社交場でした。

海を見ると‥水平線の島が浮いてる。

宇部に入る手前で、そういえば数日前のニュースで宇部で彫刻のビエンナーレを開催しているって話が‥と思って作品について調べてみたら、宇部の屋外展示の彫刻の数は半端ない‥!大多数は右側の常盤公園一帯と左側の宇部の中心地にあるみたい。

とりあえず一番近いところに立ち寄ってみたら、会社の中庭にドーンと据えられていました。なんだこの大物彫刻置かれて当たり前な感じ‥。

そもそもの目的は常盤公園に設置されているジオキャッシュだったのだけれど、半端ない作品数という心の準備をした上で、常盤公園にやってきました。展示のガイドでももらおうと、ときわ湖水ホールという建物に入ってみます。それほど広い建物じゃないのですが、

え?若いカフカス人(中原悌二郎)。

は?手(高村光太郎)。

な?女(荻原守衛)。

美術の教科書でお馴染みの作品が普通に置いてある‥どうも宇部はこうした美術史的価値の高い彫刻作品を早い時期に購入されていたそうで、若いカフカス人や女は普通に屋外展示されていたそうです。高村光太郎の手に関しては「議長室に置いてありました」と案内の方に説明していただきました。この手は幼少時代に教科書でみて非常に衝撃を受けた作品で、確か国立博物館で実物を見て感激した覚えがあります。女もその昔、国立博物館で見たかな。ここでまたこれらの国立博物館級の作品に出会えるとは思っても見ませんでした。

女は全十数体中の六体目だそうです。

ときわ湖水ホールでは、東京造形大学を今年退任された井田勝己さんの作品も展示されていました。過去にUBEビエンナーレで大賞を受賞されたというつながりから。

本業のジオキャッシングに戻って、常盤公園の機関車。機関車×マグネットって‥キライ。

出発しんこーう!(現実逃避)

見つけたよ。カモフりやがって‥。

ジオキャッシングを始めて以来、この常盤公園のことは常に気になっていて、いつか行かなくちゃ‥とずっと思っていました。頭の中で勝手に想像していた昭和の場末た公園、というイメージとは全然違って、とても綺麗に整備された気持ちの良いところです。

みんなで並んで空を見上げる椅子、という彫刻作品の屋外常設展示とか。気持ちよさが抜群に演出されています。

サクサクいくぜ。

岡本敦生さん。僕が岡本さんの出身予備校で働いていたという関係でお会いしたことがあります。岡本敦生さんといえば、2022年8月に広島空港前の作品が撤去されてしまったニュースが記憶に新しい。とても残念。

ここに設置された作品はそうそう簡単にはなくならないことでしょう。

なんか、たくさんあるのよ。

メイン会場にちかづいてくると、もう、芝生広場公園に遊具があってあたり前、な勢いで大型の彫刻作品群が気持ちの良い芝生に展示されている状態です。

樹間にも。

湖畔にも。これ、アクリルの曲面でできた作品で、作品ごしに見える風景がちょっと歪んで見えるので、歩きながら見ると正しく見える背景と作品越しの風景のギャップがとても面白いです。巨大質量で光が曲がるブラックホールの周囲の風景もこんな感じで可視光が歪むんでしょうね。

この作品も似たようなものが広島にありますよね‥どこだっけ。

過去の大賞作品。

周囲の風景に溶け込んで‥というか周囲の風景を溶かし込んだようなこの作品、好きだなぁ。100円ガチャでこの作品の缶バッチが出て嬉しかった。

映りものではこの微風でゆらゆら揺れる作品がとても綺麗でした。鏡面と梨地とがランダムに並んでいるので、周囲の風景が映ったり映らなかったり。これも歩きながら干渉すると作品を通して映り込んで見える周囲の風景の変化がとても面白い。

いろんな空の平面。

これなんか男子、みんな好きだろう。

地面でつくるアップルパイの上んとこのあみあみ。

これもよかったな。黄色だからかな。

今年の作品展の審査用のミニチュア(<おそらく)も展示してあったりして、中も外もとにかく充実。天気が良いのでとても気持ち良く充実時間でした。

宇部の市街地で。長崎や神戸や北海道で見たことのあるサックスを吹くおじさんが、ここにも。そして宇部といえば、

宇部新川駅。シン・エヴァンゲリオン劇場版のラストシーンで出てくる駅です。

駅前のABホテル。

作品の最後に遠景に見える工場群。

シンジくんが渡ってくる陸橋。

そして、駅から南東側へ1つ目の踏切から見えるこの風景‥

シン・エヴァンゲリオン劇場版 公開前のビジュアルより

このビジュアルが宇部だというのは作品公開前に知っていたのですが‥

まさに、ここか!

‥って、撮っていて気がついたのですが、エヴァンゲリオンのビジュアルの撮影場所は僕が撮った踏切よりももう少し後ろに引いた駅側からのようです。左に分岐する線路が写っているので同じっぽく見えていますが、オリジナルの引き込み線は僕が撮影した場所よりも背面の駅側で、オリジナルの下から2本目が僕の撮影した一番手前の引き込み線になります。

通りすがりの岬にくぐり岩があるというので寄ってみました。

おお、面白い侵食。

って、近づくとさらに面白い。

うわー、なんだか外国みたいな風景だ。

地層が傾斜した状態で削られている。青空とモコモコ雲とトンネルの向こうの海と松の木‥情報多すぎ。

水平線が見えるとこの変な傾き具合がよくわかります。

トンネルから見上げる空。どうも時間を合わせればトンネル越しに夕陽が沈むそうで、いろいろ盛りすぎな場所でした。

くぐり岩の近くの竜王山公園展望台のキャッシュ。

九州が対岸に見えるところでした。九州が近いというだけでなにか沸くものがある‥。

海沿いの良いダート見つけた。水溜りに映り込む空がとても綺麗。

ダートの海岸の縄地ヶ鼻公園の浜がアースキャッシュになっています。ここは本当に面白くて、ほんの200mほどの砂浜に露出している岩の様相が、ちょっと歩くだけで全然違うんです。上のように褶曲した岩だったり、

わかりにくいけど、石灰岩の路頭だったり、

褐色のチャートだったり。

ここになぜいろんな岩が同じレベルで顕れているかというと、様々な岩石の層でできた海洋のプレートが日本の下に潜り込む際に海溝でごちゃごちゃにされてしまい付加体というものを作ります。それが地表に出てきているのがたまたまココ、というのが答えのようです。それぞれの路頭は砂浜で仕切られているのですが、砂浜の下にもいろんな岩がごちゃ混ぜになっているのかと思うと不思議でなりません。

おまけにこの公園、宇部の工場を狙ったB29の500ポンド爆弾の落ちた跡のクレーターまであります。

この公園、情報多すぎ。

というわけで、周南へ戻ってきたのですが‥もともとは沿岸部を西にまっすぐ宇部あたりまで行ったら秋吉台や山口市をつなぐように北部をアーチ状に走って戻ってこようと思っていたいました。ところがあんまりにも立ち寄り箇所がが多すぎて宇部の先の小野田からまっすぐ国道2号線を60kmほど戻ってくるという、帰路としては一番つまらないコースになってしまいました。

ま、でもここからさらに100km、自走で帰らなくて良いというのは気が楽。

新しい発見も刺激もまるで期待せず、ただカブで淡々と秋空の下を走ってこようと思ってでかけたのに、驚くほど充実した1日になってしまいました。総距離は稼げませんが、カブのスピード感とクラッチ操作なしで即停まれる操作性が地域をほじくり返すのに素晴らしく具合が良い。トランポ100km陸走シリーズ、他方面にも展開してみましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です