SuperCub ぶらり旅

今年の盆休みにできると良いな、と思っているのは優先順位として

  1. カブの燃費チャレンジ
  2. 走るだけ走って気軽にハンモックで宿泊する旅
  3. できれば阿蘇ツーリング

の3つです。この朝、1つ目の燃費チャレンジしてみようと、サイドバッグにラーメンセットとカッパと着替え、リアキャリアにハンモックを念のために積んで‥というのもツーリングの燃費を知りたいので重りがわりに積んで朝5時に西方面へ出発しました。

これ、ハンモック。夏場はシュラフもマットも要らないので、これだけあればとりあえずどこでも寝られます。が、今回は本当に宿泊のつもりもなく、ただただ朝の思いつきで出発しました。ランタンや虫除けなどの宿泊向けの装備を持たず、なんといってもズボンは膝下が露出している六部丈のパンツなんか履いちゃって、おっさんが「ちょっとコンビニまで」感覚で家を出ています。

早朝の国道2号線を車の流れにあわせてアクセルの開度にムラを持たせない走りで、自宅からメーター読み100kmの防府西。自宅から2時間20分。

長沢ガーデン、ここまでカブで来たかと思うとなかなか感慨深い‥昔ながらのスタイルで国道2号線沿いにあるドライブインです。山口市の東のフチ。

下関まで来てしまいましたがまだまだ給油せずに走れそう。この日はここから北上して山口県の海岸線縁取りツーリングで角島や萩を巡ろう、と目論んでいたのだけれど‥誘蛾灯のような「関門トンネル」の看板に魅かれてフラフラっとトンネル入り口まで来てしまいました。

ここで料金所。普段なら大きめのバイクなので気にしないところですが、ピンクナンバーの原付なので緑看板の料金所にドキッとしてしまいました。原付通れるの?よくよく看板を見ると50ccは通れないけれど小型二輪は20円という料金設定がありました。そういえば、原付(50cc)は人道トンネルを押して歩くという話を聞いたことが‥それが頭の隅にあったので110カブも押すんだっけ?と小型二輪の位置付けがよくわからなくなって頭が混乱してしまいました。

フグのトンネルへ凸。笑ってるけれど腹の底では悪いこと考えている人の顔に見えるので、その口に飛び込んでいくのはちょっと怖い(長いトンネル嫌い。特に水面下のトンネル)。こいつの体内は異様に暑かった‥こんなところで渋滞したら、バイクだとシヌ。

自走で門司。感動。

なんか、全然余裕で燃料が残っています。燃料計自体はメーターについていますが、カブの燃料計はエンプティを振り切ってからが勝負、という感じ。

9時半。真夏だというのに飲まず食わずで4時間半。俺の朝ラーで塩分と水分を補給します。

めかり公園って初めて来ました。関門海峡を渡る度にあそこで朝ラーしたな、と思い出すことになるでしょう。

門司あたりでガソリンが空になってくれれば関門トンネルを戻って帰ろうという気にもなったのですが、まだ走れそうです。午前11時、34度越えで天候は晴れ。暑さにやられてしまいそうだったので、セリアでスプレーボトルを調達しました。これに水を入れて定期的に体に噴霧。突発的に家を出て保水ベストなどの真夏対策は一切してこなかったので、今回これがなかったら日中走り切るのは難しかったと思います。帰宅するまでに6回くらい水を満タン補充しました。

聖地巡礼‥るぅさんのお宅へ無給油到着。

おおお、カブがおるおる。僕のも乱入。

そろそろ不安になってきたので初回給油。240km/3.5L=68.4km/L。荷物を積んだ状態で走ってもカタログスペックの67km/Lを超えてきました。なんとるぅさんちまで500円で来られるのか‥7時間かかるけれど。

豊前市を越えて大分県へ入るともう来た道を戻ろうという気持ちはさすがに失せて、大分県の竹田津港から徳山港までフェリーを使おうという気になってきました。そして帰路をそこで大幅ショートカットできるとなると九州側で結構冒険できるな、という気にも‥別府で温泉巡りかな、それとも山側へ入るかな、といろいろ思案した結果、別府は暑そうだしカブで阿蘇まで自走というのも面白いなということで、阿蘇方面へ向かうことにしました。

カブで青の洞門‥なかなか感慨深い。

今日はコンデジも持ち出さなかったので、写真は寂しい限りですがとりあえずやまなみハイウェイのいつものトコ。この後の目的地は漠然と阿蘇と思っていると放浪しそうなので、とりあえず七里田温泉にしました。

その道程に、関所のように脱衣を要求してくるリバーサイドフルオープンスパ、ガニ湯。今年も入ったさ。

来る度に脱衣場スペース(橋の下)の仕様が変わってる。棚は水害で流れてしまって一時期なにもありませんでしたが、今は洗濯籠が紐で釣ってあります。これなら流されないね。最終形態だろうか。

七里田温泉に到着!意外と遠かった‥。

下ん湯は「日本無類の炭酸泉」の看板に偽りのない、ウィルキンソンがスポンサーについているんじゃないかと思うようなシュワっシュワのお風呂ですが、九州地方を襲った地震で泡が立たなくなったと聞きました。それが最近復活したというので確かめにきました。

無人なので、出入り口の鍵のついた木札を上の温泉で借りてきます。入浴料500円に加えてこの木札のデポジットで1000円渡すというルール。

入浴してものの1分でコレ。見事としかいいようがありません。お湯なのに炭酸をこれだけ含めているのが不思議。ぬる湯なのでいくらでも浸かっていられますが、今回入浴中にゲリラ豪雨に遭って出るに出られなくなってしまった(上の木札を返す施設まで1分ほど歩かなくてはならない)ので、本当に丸々1時間お湯に浸かっていました。後半貸切。

狭い浴槽におじさんが6人とか8人とか、首までお湯に浸かってひしめき合っているのが常だったのに、なんという贅沢‥。炭酸ガスが大量に出るので、換気扇が低いところに取り付けてあります。寝そべり禁止。

入浴中という絶妙なタイミングで降られたよ。荷物は完全防水装備だったので問題なし。

カーブを曲がって遠くに阿蘇が見えた瞬間、感動!‥というより「何やってんだろ?」という思いの方が圧倒的に強かった‥広島からカブで下道自走ですよ。うちにある他のどのバイクでもやりたいとは思わないのに、カブだとどうしてできちゃうんだろう。

まじめに考えてみると、パワーがない分無理もできないので、気張る時間がほぼない。淡々と走るのが結局疲労感の蓄積にはつながらなくて、結果いくらでも走れてしまう。そんな感じがします。バイクなんてタンクを足の間で挟んでナンボ、カブなんてダサ、って思いが正直心の隅になくはなかった‥でも今回阿蘇まで想像以上に楽に来ることができて、カブのタンクを挟まないポジションや直立乗車のスタイルも乗り物としてのオートバイとしてあるべき姿のひとつだと感服させられました。本当に敬服脱帽。

もう帰れる時間と体力じゃなくなったので宿泊することにしました。家を出るときに「もしかしたら、そのつもりはないけれど泊まるかも」と言って出てきて良かった‥。阿蘇界隈で何箇所かハンモックを吊れる木を知っていますが、今回は現地にお金を落とすつもりで阿蘇の手前、九重山の麓の沢水キャンプ場に泊まることにしました。

以前もここに吊りました。というか、フリーサイトではここ以外吊るところがないキャンプ場。

ああ、夏。ランタンもないので、暗くなったら寝るしかない。20時くらいには就寝。

とはいっても、こういうツーリングの初日の夜、体は疲れているのに気持ちが昂ってなかなか寝付けないことがあります。そういうときは走行中に聞いている小説の続きを聞くことにしています。これが結構頭がくたびれて(考えるのを嫌がって)すぐ眠くなるのです。音楽よりも小説が良い。3泊もすると普通にいつでも寝られるようになるんだけどね。

水分の多い空なので期待をしていなかったのに、トイレに起きて空を見ると晴れて満天の星空。カシオペアなんて周りの等級の低い星に紛れてどれだかわからないくらい。天の川なんか当たり前に見えるし、東の空にボワっとした塊が見えたので調べて見るとプレアデス星団(昴)でした。子供の頃は見た覚えがあるけれど、何十年ぶりくらいにか見たことになります。泊まるとは思わなかったので単眼鏡も持ってこなかったのを後悔‥。

翌朝の大観峰。雲海は10段階評価の1くらいでしょうか。朝ラーします。前日も結局めかり公園で食べたカップラーメンだけしか口にしなかったので、2日続けて、というか2食続けて朝ラー。

降灰。そういえば風向きがこっち向きだわ。

内牧へ降りて見ると、目の端に普段見慣れないものが‥どうも黒川沿いで気球の搭乗体験をしているようで、バーナーをゴウゴウと唸らせながら何度も上がったり降りたりを繰り返していました。人の列に並んだら乗れたのかな。あんまり高くまで上がらなかったのでやめときましたけど。

カブでついに阿蘇のカルデラ‥感慨深い。

せっかくなんでカブらしく開拓を‥坊中あたりの山上へ向かう枝道。

朝はこのコーナーから見える折り重なった山のヒダが美しい。

薄く雲はかかっていますが、時間が経てば晴れるのが確定しているような天気です。

米塚の頭だけ富士山のように雲を被っていたので降りてみたら、だんだん雲に飲まれてきました。カブと米塚、良い絵だな。

取りこぼしていたジオキャッシングの宿題。日本を代表するスコリア丘の米塚周辺の岩石の状態をチェック。米塚の中もこんなのが詰まっているはずです。

草千里。どうやって撮るのがよいか分かんない。ここ自体ひとつのカルデラですが、それを意識して撮ろうとすると展望台から標準レンズでは収まりません。

火口は今日も元気にイキっています。

本当は手前の写真のように米塚が見えるところなんだけれど‥雲の海の中。

草千里の展望台、新しい展望台だと思っていたけれど、すっかり馴染んできました。

自然にいつ裏切られるかわからないので、噴火口のこのスケールにいつもヒヤヒヤしています。噴火した状態を映像で知らなければ怖くないんでしょうけれど、ものすごい勢いで噴煙がこちら側に迫ってくる映像見ちゃったからなぁ。

南阿蘇方面へ向かってみます。北に比べてこちら側はいつも雲が穏やかだと思うのですが、北の黒川に比べて南の白川の方が水量少ないとか?田んぼの規模が北の方が広いから?

いつも道路脇にバイクを停めて写真を撮っていたヘアピンコーナーの手前に新しい駐車スペースができていました。

そこから南阿蘇の田んぼが一望。真っ平に見えるようで実は白川へ向かって手前も奥も段々と下っている様子を今回はじっくり眺めて観察しましたよ。

真ん中をS字に流れるのが白川。川に向かって両岸からゆるやかな段々になってる。

コンビニに立ち寄ったらフェンダーにスズメガがついていました。この後ガソリンスタンドまで走ってもまだ頑張ってついていました。今回2回目の給油、219km/3.45L=63.5km/L。よくよく考えたら広島からここまでガソリン代高騰のこの折でも1000円。カブ‥恐ろしい子‥。

湧水で涼みながらトルティーヤ。

南阿蘇の魅力って、北側に比べて観光的開発が進んでいなくて「長閑」なところだと思います。この長閑さをダラダラと楽しもうと、3ヶ月前にDUKEで来た時も田んぼ道を走ってみたりしましたが、DUKEだとゆっくりといっても限界が‥カブで地図に載っていないような道を走る今回の方が圧倒的に南阿蘇を堪能できているように思います。もうね、俺の嗅覚がそういう道を勝手に見つけてしまうのよ。幸せよ。

観光ライダーはほとんど走らないような田んぼの道を、左手に阿蘇の山々を眺めながらトコトコ走る。

線路沿いの道とか。

その道の先、南阿蘇の湧水池はほぼ巡ったと思っていたのに知らない湧水池がありました。「吉田城御献上汲場」と書いてあるので「湧水」「水源」という言葉で検索しても引っ掛からなかったのだと思います。ここ、奥まったところにあるしコンパクトでとても雰囲気の良い湧水池です。ペットボトルに水を汲んで、スプレーボトルで体を冷やすのに使わせてもらいました。ひんやりした水にグローブをしたまま肩まで腕を突っ込んで濡らしておくだけで、その先かなり幸せが続きます。

その先畑、行き止まり。

別荘地の一角。天文台のあるペンションやレストラン。20時30分から一般に公開しているようなので、星空の綺麗な日は立ち寄って見るのも良いかも(ルナ天文台:予約制 0967-62-3006)。

久々に根子岳と高岳の間にある日の尾峠を越える林道を走ってみます。柵もない道のすぐ脇に大きな牛が何頭もいて草を食んでいるのでびっくり。

途中ゲートがあります。

峠付近。

昔から南阿蘇の人々が阿蘇神社へ詣でたり役場へ行くときにこの峠を往来していた、と書いてあります。今では根子岳を迂回する箱石峠がメインルートでこの道を車で越える人はほとんどいないと思いますが、歴史的にはとても意味のある道なんですね。

14時半のフェリーに乗るのに時間を逆算して、焼き肉正(しょう)さんの開店時間に駆け込めばピッタリ‥と完璧な計画を立てて臨んだのに‥よりによって水曜定休。ショック大きい‥。

道すがらの蕎麦屋さんで当たり障りのない定食‥うううう。

阿蘇から2時間半、真昼の時間帯に沿岸部を走るのはもう本当に辛い。暑い。軽く頭が痛くなってきたりして、今回噴霧器がなかったら生きてなかったかも。

真玉海岸。水路が迷路のよう。こうして見ると道路状に水路があるように見えますが、ちょっと高いところから見ると丘状の丸い砂浜が沖まで連なっているのがわかります。

出航の30分前に港に到着する理想的な時間運び。船で1時間ほど寝ました。

徳山港に16時20分に到着。普段なら高速で一気に帰るけれど、カブなのでここから2時間、もうひと旅。

前カゴ、本当に便利です。スプレーボトル、帽子、マスク、グローブ、塩分チャージ飴‥とりあえずポイポイ放り込んで走行中に取り出して使ったり。見た目はさておき、夏の旅バイクとしてはとても完成している。

自宅近くで3回目の給油、244km/3.62L=67.4km/L。初日400km、2日目320kmで2日間の走行距離約720kmでした。

無事帰着。今回サイドバッグもバックパックもスカスカで、阿蘇へ行くのにこんなに荷物スペースに余裕のある旅、初めてだよ。いつもはトップケースにサイドバッグ2つにしっかり荷物を積みこんで走るのに。ミニマム装備でフラッと泊まりながら走る旅、ここに極まれりという感じです。この夏にやりたかった「カブの燃費走行」「フラッと宿泊」「阿蘇」を1回で全部終わらせてしまいました。

手持ちのバイクで阿蘇を走っていないのは、GBだけになってしまった。

3 Comments

やべー、カブ欲しくなってきた、いい旅。JAZZに初めて乗ったときの無敵感を思い出しました。

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tsugataku

>柏くん
ツールが変わると見えてくるものや体験できることが変わって、またとても新鮮!カブで東京徘徊とか無茶苦茶してみたい!!

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