宮島 駒ヶ林・弥山登山

以前から、いつか晴れた日に宮島を歩き回ろう!と、ずーーっと思っていました。代休の平日で天気が保証されている今日こそ、まさにその日です!出勤・登校する家族が家を出る時間に自分は宮島方面の電車に乗って、フェリー乗り場へ。

この日の目的は山の上の方にある未発見の新設ジオキャッシュ巡り。画面左から右の峰へ向かって伸びている尾根伝いに登る「多宝塔ルート」で上がろうと思います。

平日8時台の到着で島には人もまばら。でも、早朝宮島の観光街に来ていつも思うのは、朝のこの時間には道路いっぱいに撒き散らかされている鹿のフンが綺麗に掃除されているんです。毎日大変なご努力だと思います。

厳島神社は相変わらずのシーサイドマンションの様相。現在の大鳥居は1875年に再建されてから140年、大改修は70年ぶりということですが、工事の終了予定は、なんと「未定」だそうです。

いつもみている風景にメリハリがついて、でも少し柔らかな光で、朝の日差しはとても良いです。

厳島神社の回廊出口あたりに多宝塔へ登る階段があります。ひっそりとしているので見逃して行き過ぎてしまいました。

多宝塔。亀腹という丸い台座が四角い屋根に載っている個性的な形をしています。ここ以外でも目にするな、と思って調べてみたら、鎌倉時代から江戸時代まで全国いろいろなところで作られていた形状のようです。

宮島で2番目に高い山、駒ヶ林からこの多宝塔へ尾根伝いに降りてくる道が「多宝塔ルート」と呼ばれている登山道で、この道は普通の地図には載っていません。道程にジオキャッシュが置かれているので知ることになった道で、過去に2回ほど上から降りてきたことがあります。そこで今回は下から上へ。

さて‥と思ったら‥入り口を塞ぐようにチェーンがかかってます。いつから?と思って調べてみると、別件で先週から1週間後まで宮島ロープウェイも点検のため運休という情報も見つかりました。ガーン‥いざとなったらロープウェイ下山とか考えていたのに‥。

一直線で駒ヶ林に向かう多宝塔ルートが使えないのがとても残念。

でもせっかく来たんだし一人だし朝早いからなんとかなるだろう、と、山頂まで一番距離が長いルートでこれまで敬遠していた大元ルートで駒ヶ林まで向かうことにします。

紅葉谷ルートや大聖院ルートなどのいわゆるメインルートを登る道は恐ろしいほどに石段が整備されていて、歩いていて本当に頭が下がる思いです。こちらはそれに比べると距離もあるし人通りも少ない分整備されていないのか、と思ったらこちらもとても歩きやすい道が続いていました。

思わず俺のノコギリが‥と思ってしまいます。今日はバイクじゃなくて歩き。

朝早く、しかもロープェイも動いていないこの日、なぜかこのあたりで上から降りてくる女性とすれ違いました。歩きにくそうな長いスカートで、登山するような格好でもない。この先、山頂までなにもないのに、いや山頂にもなにもないのに‥。

「天然記念物 弥山原始林」という碑が立っています。宮島は島の南3/4にはほとんど人もいませんし、自然が残っています。

上に登るほど岩が大きくなる、という宮島の不思議。

島歩き島巡りをしていると、たまにこういった石柱を目にすることがあります。

海軍省の石柱。

「呉要塞施設区域票‥(以下地中)」宮島は、外洋から広島湾に入る4つの水道のうちの2つに面していたため、明治から大正にかけては重要な防衛拠点だったようです。

いかにもこちらへどうぞ的な枝道のような道があったので吸い込まれてみると‥

行き先は大岩が組み合わさってできた深い縦穴。降りたら出られないやつ。

岩屋大師と案内されている方へ行ってみると‥

こちらも大岩が組み合わさってたまたまできたトンネル。

中は水平でかなり広い。奥に何かあります。

何かが祀られています。

広間の左側を見ると、これカマドですね。誰かがここに寝泊まりしたということでしょうか。すごいなぁ。

写らないのを承知で撮りましたが、このあたりで上を見上げると、林の向こうに稜線までほぼ垂直な岩壁、駒ヶ林の山頂を形作っている巨大な1枚岩が見えます。感動的なスケール。多分この道を下っていると気がつかない風景だと思います。

日陰側の山肌を歩いている最中の気温は5度〜6度でした。歩くと暑い、止まると寒い、と温度調整が難しい。登り始めから1時間ほど歩いてやっと尾根へ出ました。

日差しがありがたい。岩国基地の戦闘機が轟々と旋回訓練をひたすら続けていました。

駒ヶ林の山頂へ向かう分岐。ここから向こう側は何度か往来したことのある道です。

行き止まりって書いてあるのですが、実は峠を超えて尾根伝いに進めて、チェーンのかかっていた多宝塔まで道は続いています。

高さ50m、長さ450m、傾斜角85度の断崖‥対岸からでも岩の禿山はとてもよく見えますもの。

山頂からの風景。柵も何もなく丸い岩肌がそのまま絶壁になって落ち込んでいるとても恐ろしいところです。

そのまま山頂を素通りして、多宝塔ルートへの道が封鎖されているか確かめに行きました。どうも山頂から降りるルートは規制がかかっていないようです。が、倒木と崩落で別な意味で規制されているような感じも‥。

山頂から200mほどのところがGZだったので、10分ほど山を降って今日の第一目的地到着。

「木の根元」というヒントだったので、これかと思う木の根元に堆積した土や落ち葉を掻き出そうと、手頃な枝を持ち上げたら‥コンテナがぶら下がっていました。

こんなこともあるんですねぇ。満足満足。

山頂に戻ってお昼ご飯です。大竹〜岩国方面。

こちらは広島方面。限られた平らな面に気をつけて物を置かないと、丸いものはすぐに転がり落ちてしまいます。絶対に拾いに行けません。

誰も来ないかと思ったら、おじいさんがおひとり、登ってこられました。あと、フランス人が4人。外国の方って、ロープウェイとか動いていなくても御構い無しに普通に弥山登山するんですよね。普通に登山道歩いていてもよくすれ違います。

駒ヶ林から弥山までは一旦下ってまた登ります。途中に国際色豊かな電柱が立っています。

弥山山頂へ。駒ヶ林は一枚岩ですが、弥山は巨岩が組み合わさってできているようです。

展望台から。ここは本当に朝焼けから夕焼けまで拝める360度のパノラマ。

宮島側のフェリー発着場と、対岸は阿品から廿日市の市街地。多分僕のうちも写っているはず。

フランス人率、非常に高いです。アジア圏の観光客が増えている昨今でも、宮島の欧米人の訪島率は非常に高く、特にフランス人が圧倒的に多いとのこと。

2014年のデータですが、原爆ドームや原爆資料館などのある広島市を訪問した欧米人のトップはアメリカ人で134,900人、フランス人は32,700人の5位。ところが、同年宮島を訪れたフランス人は22,902人でトップ、2位がアメリカ人の21,040人ということで、広島観光に来たフランス人の過半数は宮島も訪れていたようです。
モン・サン=ミッシェルと宮島の「海に浮かぶ世界遺産」つながりでフランスと相互プロモーションを2008年に行って以来、フランスから宮島を訪問するという流れが継続している、とのこと。

ブイ。広島上空って旅客機の大通りのようで、平素から結構な飛行機雲が見られます。

弥山の特徴は、岩が折り重なってできたトンネルがたくさんあるところでしょうか。

上から置いて積んだ、としか思えないような作りで、なんとも不思議なところ。確か島自体が大きな岩で、山頂などの路頭が節理に沿って割れて行ったために巨岩が重なるような状態になった、んだったかと思います。

それなりにひととすれ違いましたが、ロープウェイの動いていない平日とあって、本当に人は少なめ。外国人多め。

能美島方面。この宮島側の浜でいつもひとり野宿しています。

弥山を下ってロープウェイ乗り場方面へ向かうと、紅葉谷へ降りる道との三叉路で乗り場方面にはロープがかけられて運休を知らせる札がぶら下がっていました。通行止にされているわけではないので進みます。

乗り場の手前には簡易の柵が。僕が進もうとしている博奕尾(ばくちお)ルートはこの柵の手前から左に折れて、ロープウェイ沿いの尾根を下るコースです。途中に未発見のジオキャッシュがあります。

能美島沖合に停泊していた同型艦が二隻。

一隻は能美島沖から呉方面へ向かい始めました。

ヘリコプター母艦の「ひゅうが」型かと思っていましたが、家に帰って調べてみるとブリッジの形が違う。マストの位置が「いずも」型でもない。
呉基地にこの形状の船が係留されていたのを見たことがあるので、以前呉を訪れた際の古い写真を調べてみた艦番号4003の船が写っていました。これ、「おおすみ」型の輸送艦ですね。こういうの調べるのも結構面白い。

俺のノコギリ‥宮島ロープウェイの獅子岩駅から乗り継ぎ駅の榧谷(かやたに)駅へ向かう尾根伝いの道。

榧谷駅に到着しました。地図上では登山道がこの榧谷駅とクロスしているのに、ロープウェイの乗り換え時に気をつけて見てみても、その道が全く見当たらないのが前々から不思議に思っていました。

それもそのはず、なんと駅舎自体が登山道のトンネルになっていました。

いや、これは乗り換え時に駅から見る分には気がつかないわ。

広島の島を歩いていると、こういう塹壕みたいな道にたまに出会います。

風化しやすい花崗岩でできた島なので、掘り込んで植物に覆われるのを防いだのではないかと思います。雨の日は川になるでしょうね。

GZ到着。

ゲット。

あとはひたすら博奕尾まで下るだけです。このルート、尾根伝いなので東にフェリー乗り場、西に包ヶ浦、北に広島市街を見渡せる良いルートです。弥山に登るいろんなルートを歩いてみて感じるのは、沢沿いのルートは整備がしっかりしていて石段が多く、尾根伝いは打ち捨てられたような道が多いということです。整備されていないと花崗岩のバラけた大粒の砂が堆積した道になっているのでとても滑りやすい。今回持ってくるのを忘れましたが、トレッキングポールがあると特に下りで随分楽だったのではないかと思います。

商店街でホッと一息。

最近宮島の商店街も昭和の遺物みたいな状態から様相が変わってきていて、宮島とは折り合いが悪そうなおしゃれな店、かわいい店なんかも増えてきています。そのなかでTOTOが商店街の中程にトイレ休憩スペースを設けていました。2階の無料休憩所に見覚えのある椅子が‥これ地元のマルニ木工のHIROSHIMAというシリーズの椅子で、アップルの本社社屋に採用されたことでちょっと有名になった椅子です。一体いくらするのかと調べてみたら、この無垢のモデルで10万円から、だそうです。こだわりの手仕上げだったように思います。指の腹で触感も堪能しておきました。

島内で撮った看板の写真に今回歩いたルートを載せてみました。水色の線が本日のルートで、歩行時間6時間、距離13kmでした。朝8時過ぎに家を出て、帰宅が16時前。この季節でも日のある時間で周遊できる良いルートです。

1 Comment

もんぶらん

小学生の修学旅行で宮島に行ってもみじ饅頭の記憶しかなかったのですが、改めて行ってみたくなりました。

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