GROM カムシャフト交換手順

手持ちのカムシャフトをお譲りするにあたって、その交換手順のマニュアルを作成することにしました。

作業は全て車体左側からできます。サイドスタンドの下に車体が直立に近くなるような物を噛ませて置くと作業が楽です。また、多少のオイルが漏れるので、このくらいの大きさのオイル受けバットを用意しておくと良いです。

今回の交換作業に使った工具。特殊工具は右側の赤い柄のユニバーサルホルダ、シックネスゲージ、タペットアジャストレンチ。

一般工具については文中で紹介します。

カムスプロケットカバーを止めている8mmのボルトを抜いてカバーを外します。外れにくい場合はプラハンで反時計回りに叩いてずらして外しています。

カバーの裏側にゴムのシーリングワッシャが付いています。

6mmと10mmの六角レンチでフライホイールマーク確認窓とフライホイールの蓋を外します。じわじわ回すより、レンチの端をトンっと叩いて外した方が良いです。

外しました。ゴムのシーリングワッシャが付いています。ボルト側に付かずに車体側に付くこともあります。

17mmのソケットを差し込んでフライホイールを回して、Tマークを出しておきます。

この作業は組み立ての時でも構わないのですが、僕は先にTマークを出しておくことが多いです。フライホイールを回すとピストンが動いてシリンダー内が圧縮されるので、途中重くなるところがあります。なのでプラグキャップを外して作業すると良いです。

Tマークが見えるところでフライホイールを止めると、カムスプロケットの0マークが水平の位置にきます。この位置の時はカムの山が2つ共クランクケース側を向いているので、カムシャフトを抜くのに引っかかりがなくて楽で(あると思われま)す。

カムチェーンテンショナーのプッシュロッドのオイルを抜くドレンボルトを抜きます。最初この作業は何のためにしているのか分からなかったのですが、ここのオイルを抜くことでカムチェーンテンショナーを押しているロッドのテンションが下がって、カムスプロケットの取り外し/嵌め込みが容易になります。

周囲にフライホイールカバーを固定している8mmボルトがあるので間違わないように。外すのは10mmのボルトです。

抜きました。銅製のシーリングワッシャーが入っています。

オイルを封入している構造上、このくらいの量のオイルが垂れてきます。

カムスプロケットを外します。ユニバーサルホルダのピンをかける穴がスプロケットに空いているので、うまいこと固定して中央のロックナットを外します。

親指で押しているあたりをメコっと押せば外れます。

ロッカーアームシャフトセットプレートを外します。カムチェーンはシリンダー内に落ち込んでも指を突っ込めば取れるので、あまり気にしなくても良いです。

運が良いと、カムシャフトがそのまま手で引き抜けますが、なかなか抜けないケースもあります。それほどガッツリと嵌っているものでもないのでカムシャフトの中央の穴のネジ山にかからない程度に(さらにカムシャフトが傷つかない程度に)ラジオペンチなどで挟んで引っ張ると抜けます。以前はそれでも抜けなかったので、プーラーをいろいろ組み合わせて作って抜きました。

抜けました。これはタケガワのハイカム。ノーマルカムシャフトは一番奥にオートデコンプが付いています。

後半戦の組み込みです。ベアリングにオイルを挿したカムシャフトを差し込みます。普通に押し込んだら入るものなのですが、途中で引っかかることがあります。

その場合はタペットカバーを外して指でロッカーアームを動かしてやるとカムシャフトの抜き差しでカムに引っかからずに済むかもしれません。下側のカバーは、外すとこの程度のオイルが漏れてきます。

ベアリングがツライチになるくらいしっかり押し込みます。

フライホイールを回して、Tマークを再確認します。気がついたらずれていることが多いので、僕はフライホイールにTレンチを突っ込んだままにして動いたらわかるようにして作業しています。

ロッカーアームシャフトセットプレートを取り付けて、カムスプロケットを取り付けます。初めての方はスプロケットの0マークをエンジン側の突起の位置に合わせるように取り付けるのが、多分このカムシャフト交換作業で一番の難所だと思います。慣れたらカンタンなんですけどね。

この際、カムススプロケットの中央に張り出している爪をカムシャフトのくぼみに噛ませることになりますが、以前この爪が折れてしまったことがあるので作業は無理矢理にならないように注意します。

カムチェーンテンショナーのプッシュロッドのオイルを抜かずに作業すると(<スプロケットを外す際はオイルを抜かなくても外れるので)、このはめ込み作業はチェーンにテンションがかかりまくっていてかなり厳しいです。面倒でもプッシュロッドのオイルを抜いて作業してください。

ロックナットを27Nmで締めます。

プッシュロッド内に4ccのオイルを注入してドレンボルトを差し込む、ということになっています。多分その方がカムチェーンにテンションがすぐにかかる、ということなのだと思います。面倒ならそのままボルトを締めてしばらくエンジンを軽く回せば平気なんじゃないかと思います。

タペット調整。吸気側は0.10 ± 0.02mm、排気側は0.17 ± 0.02mmなので、吸気側は0.1mm、排気側は0.15mmで調整しています。シックネスゲージを引き抜くのに抵抗を感じて、一度抜いたら差し込めない程度、にしています。

こういう手を入れにくい箇所でトルクをかけなくても済むボルトを締めるのにはギアレンチがあると楽。

カムシャフトにちゃんとオイルを塗布しておけば今回の作業では必要のない作業ですが、圧縮を抜くためにスパークプラグを外した状態で反時計回りにしばらくフライホイールをグルグル回すとエンジンオイルがエンジン内に行き渡るので安心です。

キャップを締めます。このキャップはアルミの鋳造品で非常にもろく、締め付けすぎて割ってしまう被害者多数発生の要注意パーツ。オイルの圧がかかるところでもないので、ゴムのシーリングワッシャを潰す程度のトルクをかければOKです。

必要であればECUのリセットをして作業完了。

【ECUリセット】
※DTCが保存されていない状態で作業しないとリセットされない。
※アイドルスクリュ・フューエルポンプ・フューエルポンプフィルタ・フューエルインジェクタ・O2センサを交換した場合はECUのリセットを実行
※シリンダヘッド・バルブ関係・シリンダ・ピストン・ピストンリングなどの腰上パーツを分解・交換した際もリセットを実行する

  1. メインスイッチOFFで車体右側にあるサービスカプラの青と緑/黒の線をリード線などで短絡
  2. スロットルグリップを全開にしてメインスイッチをONにする
  3. PGM-FI警告灯が点灯して、速く点滅が連続するので点滅が始まって5秒以内にスロットルを閉じて3秒以上そのままにする
  4. 短い点滅1回が繰り返されたらリセット完了
  5. メインスイッチをOFF

アイドルスクリュを調整して標準の開き具合にする(ノーマルスロットルボディの場合全閉から2回転戻し)
暖機運転後、回転数を測定する(1400±100rpmが標準設定)
※アイドルエアスクリュは1/4回転以上一度に回さず、10秒程度アイドリングさせてから再調整すること

この作業で漏れたオイル。僕はこの程度の漏れなら補充せずに乗ります。

各所のオイル漏れの確認のために、念入りに車体側のオイルは拭き取っておきましょう。

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