別府男旅

コトの発端は「別府温泉杉乃井ホテルの格安ツアーいいね」という話が家族で出て、そこで別府・温泉旅行の話になりました。今回はうちの事情で妻が行けなくなってしまったのでムスメもついて来られず、珍しく僕とムスコの別府温泉ふたり旅ということになりました。

大阪のMAVさんが月曜日に大分入りするということで、それにあわせて土曜の夕方出発で、日曜日に別府観光、月曜日にその他温泉巡りという旅程で出発!

土曜日のうちに大分入りして車中泊。別府市街観光用にセローを積んで来ました。

バイクを降ろしていつものようにダブルベッドサイズの寝室にして並んで寝るつもりが、ベッドの足を忘れてしまって急遽段違いツインルームに。でもこれはこれで車内空間が広く感じられて悪くない感じですね。もともとダブルサイズの低反発・高反発のマットを重ねて寝るつもりだったので、それぞれの寝床の下に2つ折りしたマットを敷いて快適な寝床です。

快適車中泊の一番のポイントは、枕とかタオルケットとか普段使っている寝具を使うことでほとんど自宅っぽい感覚で寝る、というところです!

翌日曜日の朝。別府湾を見下ろす高台からの夜明け。湾に海霧が溜まって豪快な雲海になっている向こうから日が昇ろうとしています。

空は桃色に染まりませんでしたが、高いところを飛んでいる飛行機雲は桃色の筋に。

雲海に当たる朝日がダイナミックな風景を見せてくれるかと思って期待しましたが、手持ちのカメラではその感動を収められるほどの絵にはなりませんでした。残念。

180度振り返ってみると、遠方の山には朝日。駐車場はまだ影の中。

6時過ぎ、近くの明礬エリアの温泉へ移動しました。

明礬をとるために使っていた「湯の花小屋」という三角屋根のわら葺き小屋などをしばらく散策して7時きっかりに入湯です。

透明なお湯ですが、一番風呂は夜のうちに湯船の底にうっすら堆積した湯の花をブワっと巻き上げる特典付き。でも、ムチャクチャ熱かったです。

別府 地獄めぐり1/7、かまど地獄。

僕も小学生のころ家族旅行で地獄めぐりしたことがあって、40年経った今でも覚えているくらいですから、きっと息子の記憶にも残ってくれることでしょう。

かまど地獄は多種多様な地獄イベントが盛りだくさん。

足湯って昔はそんなにポピュラーじゃなかったですよね。今はあちらこちらの地獄で足湯が用意されていました。

地獄なくせにおしゃれです。限られた空間でなるべくたくさんの人が足湯できるように工夫されたレイアウト。

ピータン‥という名前で売っているんですが、ただのゆで卵‥白身が若干色づいていましたけれど。

ムスコは細かい説明書きを読まずに「赤鬼ソフト食べる!」と言うので買ってみましたが‥

シナモンと唐辛子のトッピングで、随分悩ましい顔をして苦しみながら食べていました‥いい思い出になるでしょうw

地獄めぐり2/7、鬼山地獄。なぜかワニしか思い出に残らない地獄。

地獄めぐり3/7、白池地獄は地獄自体ダイナミックで上品でとても良いのに、温水を利用してピラニアとかピラルクとか熱帯の魚を飼育して個性をだしている。そんなことしなくても十分魅力的な地獄なのになぁ。

地獄めぐり4/7、海地獄。地獄の中でもここだけは10年前に妻と九州ツーリングの際に訪れたことがあるところ。

頭をポンポンしてくれたり、妙にフレンドリーな閻魔大王。

シュワーッっと結構な音がしている。

温水を壁沿いに循環させている温室ではバナナを栽培していました。そんなバ‥。

熱帯系の植物が群生しているのだと思いましたが、ライトアップ用のオブジェでした。

地獄めぐり5/7、鬼石坊主地獄。ここは地獄自体に個性があって、子供の頃の記憶がしっかりあるなぁ。

ここにも楕円形の足湯。みんなで詰めあってたくさんの人が座れますね。

残りの2つの地獄はちょっと離れているので、温泉グッズを箱に放り込んでバイク移動です。

ちなみに、海地獄とかまど地獄の間に「山地獄」があります。地獄協会に所属していないので地獄めぐりの共通券で入場できない、地獄の世界のアウトロー。いろいろな動物がいるようですが、今回はパスして次の家族旅行の時にでも訪れてみることにします。

地獄めぐり6/7、血の池地獄。家にいるムスメから「どんな鬼がいるの?」と電話がかかって来たので、これを送っておきました。

ここもインパクトありますよね‥血の池地獄って名前つけた人、天才だと思います。冷静にみると酸化鉄を含む沈殿物のたっぷり溜まった池ですものね。

地獄めぐり7/7、龍巻地獄。40分間隔という短めの周期で吹き上げる間欠泉で、20分ほど待つコトになりましたが休憩も兼ねて座っていると、黄色いオニが出て来て笑わせてくれるので待ち飽きることはありませんでした。

8時から地獄を巡り初めて、急いでみたつもりもないのにこの時点でまだお昼前。いつも早起きの僕と違って休みの日は結構遅くまで寝ているムスコは午前中だけでも恐ろしく充実した時間に驚いていました。ここから温泉巡りにスイッチです。

 

血の池地獄のある地域は柴石エリアに含まれていて、近くの柴石温泉に行きました。道を外れた山の中に、和風の綺麗な建物が建っていました。

地元の方に声をかけてもらわなかったら気がつかずにスルーしてしまいそうだったのですが、ここの露天風呂の脇の小屋は蒸し風呂になっています。小さなくぐり戸を通って中へ入ると‥湿度が低いサウナとは違って、ここはものすごい湿度の蒸し風呂。床に竹が丸いまま敷き詰めてありますが、その下を源泉が流れているそうです。あまりの熱さにムスコは即退出w

街へ向かって走ってみると、高い建物が目立たない別府の市街地の中に、ちょっと変わったタワーが建っているのが見えます。ジオキャッシュも仕掛けられていたので立ち寄ってみました。

グローバルタワーだそうです。大人300円で地上100mの展望台まで登れます。

緩やかなアーチが支柱によりかかったような中途半端なデザインだなぁ‥というのが第一印象でしたが、直径1kmのドームをつくった際の外壁面の一部分という想定で作られているようで、本当に中途半端なデザインでした。意味がわかれば面白い、建物そのものが現代アート。

せり出した展望台はガラス張り。屋根はなくて、「テラス」ということなのだそうです。

高崎山の向こうに大分の街が見えます。夜景スポットとしても良いところだとか。

1フロア下へ降りる階段もガラス張りで、空中に浮遊している感じが面白い。

インスタ映え用のグッズがあったので、お借りしました。今回別府に来るきっかけとなった杉乃井ホテルを遠望。

海沿いへ移動して、竹瓦温泉。破風作りの堂々とした温泉が街なかにドーンと建っています。

中も昭和レトロというか、それ以前の風情を感じさせる板張りの空間です。お風呂のつくりが秀逸で、男湯の暖簾を潜るとすぐに脱衣場。そこから階段を降りていって半地下な位置に使い込まれた浴槽があります。建物のスケールとか作りとか、お風呂に入るだけじゃない楽しみが町の小さな共同浴場とは違った意味で楽しめるところ。

 

鉄輪エリアに戻って来て、この日最後のお風呂。狭いエリアに共同浴場がひしめきあっている中で、写真撮り忘れましたが渋の湯さんに入りました。熱い源泉のお湯に加水して温度を下げると成分が薄くなってしまうので、竹製のラジエータのような「湯雨竹」という仕組みで湯温を調整するタイプのお風呂でした。鉄輪エリアには他にもこの湯雨竹を使ったお風呂があるようです。

夜景がスバラシイという十文字原展望台からの風景。函館・神戸・呉・長崎などここと並んで夜景が有名なところは海と町と山の位置関係が大事ですね。この展望台、三連休の中日だということもありますがほぼ一晩中車とバイクと人の声の絶えないところでした。

翌朝、バイクを積み込んで出発。

まだ入ったことのない別府八湯のエリアのお風呂に入りたい、というので浜脇エリアの松原温泉へ。脱衣場と浴槽がほぼワンルームなお風呂ですが、ここも使い込まれた楕円形の浴槽が風情あってよかったです。無茶苦茶熱くてこれが標準なのかと思ったら、地元の人が「今日は熱すぎるから水で埋めて良いよ」と言ってくれるくらいの熱さだったようです。楕円を半分に仕切って浴槽が2つになっているので、片側だけ温度を下げさせてもらいました。

この日、朝7時に別府港にMAVさんが到着して9時にガニ湯集合というスケジュールで、MAVさん今どこに居るかな‥と調べてみると、なんと松原温泉から200mほどのところに居るじゃないですか。移動してみると6台くらいのバイクが集まっていてこれから出発、というところでした。

車なのでバイクの皆さんに少し遅れてガニ湯到着。

近くに住んでないのに、よく合うおじさん。

何でガニ湯なの?と言われるとよくわからないのですが‥ここはとりあえず露天で素っ裸で入湯することで、男っぷりを確かめるところなんじゃないでしょうか。今回は皆で入ろうという話になりましたが、10人くらいで一杯なんじゃね?とか言ってたのに‥

13人も入湯して、もう阿鼻叫喚な感じで‥。

裸のお付き合い、恐ろしく楽しかったです。飲み会するよりも皆さんの距離感が近すぎるくらい近いし、笑って笑って笑って。

ま、でもね、あとで冷静に考えたらやり過ぎな感じもしないでもないので‥土地の方にご迷惑のかからない程度にはしゃがないと、「メット入浴禁止!」「入湯オフ会禁止!」とかすぐなっちゃいそうです。露出好きな輩にとってもとりあえずおまわりさんに通報されずに済む貴重な場所ですから、ほどほどにしておきましょうね。

13人が出た後、湯船が空っぽになるんじゃないかと思いましたが、そんな風でもありませんでした。

さて僕たちはガニ湯でみなさんとお別れして、車で5分ほどの七里田温泉の下湯にやってきました。大人の下湯の入湯料は500円ですが、小学生は下湯も200円だそうです。男湯の先客はおじさんが3名で、皆さん座ると口元まで水面がくる深めの浴槽で身動きせずじーーーーっとされています。以前訪れた時も先客はそんな感じでした。僕たちは際限なく体にまとわりついてくる気泡で遊ぶのが楽しくて、じーっとしていることができません。散々楽しみつくしましたが、先客は誰も上がらず、じーーーーっとされたままでした。その境地が理解できるまで訪れてみるべきところなのかもしれません。

湯布院から高速で別府方面へ走っていると、右手に湯気の立ち上るゴロゴロした岩肌が目に留まりますが、そこが塚塚原温泉火口乃泉のあるところ。温泉とは別に火口の見学コースがあるので、200円払って登ってみました。

温泉から歩いて5分ほど。火口にはミルク成分多めのメロンクリームソーダみたいな液体が溜まっていました。まぁ、経験としては見る価値あるけれど、再訪はしなくてもいいかな、という感じ。

肝心の温泉は貸し切り状態です。pH1.4という強酸性の透明で軽く薄緑色お風呂。別府で知り合ったおじさんが飲んでみなさいというものですから、湯船に注ぎ込んでいるお湯を手に汲んで飲んでみたら‥何味ともいえない強烈な味!すっぱ味が強烈ですけれどその他の味も混ざっている感じ。こんなお湯に身体を浸けて大丈夫なのかと心配になりましたが、意外と何の違和感もなく入れました。顔を洗って目に入ろうものなら悶絶するともいわれましたが、外に露出している皮膚って良い意味で鈍感なんですかね。

実は黒茶色の10円玉をもって風呂に入って、洗面器に汲んだお湯に10分ほど浸けていたのですが、風呂上り時にはその変化に気づかず「なーんだ」と思いました。ところが風呂から出て自販機にお金を投入しようと他の10円玉と一緒に財布から取り出したら‥明らかに色の違う10円玉が!コーラでもピカピカにできるくらいですから、これがどのくらいすごいのかは分かりませんが、入浴以外の楽しみもあるという意味でとてもオモシロイ。

3連休の最終日で、ムスコの宿題がまだ終わっていないので夕方帰り着く時間で一気に帰ってきました。高速を飛ばさないで走ると広島まで4時間かかりますね。遠いなぁ。でも、別府、ちょっと楽しい。温泉好きでもマニアでもありませんが、他の地域との決定的な違いを持っているこの土地を深く探る新しい遊びが見つかりました。街の大きさがそこそこあるので、ひとつのエリアを入念に攻めるなら自転車でよいと思いますが、別府全体を、となるとバイク、できれば原付、できればスーパーカブがあると良いのではないかと思います。

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