うちの競技用GROMは2013年の初期型で、ツーリングやらオフロード走行やらいろいろ使い倒した挙句にこの2年間はジムカーナ専用マシンとなって、現在は4バルブ化されてとんでもなくパワーのあるマシンになっています。4V化するとコンロッドが折れた・クランクのベアリングが逝ったなど、良い話は全然聞きませんが、うちの場合はジムカーナで使うので高回転を長時間維持することがないからか、とりあえず壊れずにこれまで走ってきました。
このマシンのエンジンが壊れたら引退‥くらいに考えていました。でも、多分壊れたら苦労してでもまた直すだろうなと思ったので、そのくらいだったら予め壊れないようにしておく方が‥と思ってキタコの強化クランク&コンロッドを入れておくことにしました。
エンジン降ろすなんて造作もないこと、と思っていたけれど、追加した補機類がいろいろ邪魔。オイルクーラーのマウントもキツキツだし、武川のビッグスロットルボディもとても取り外しにくいマウントになっている。
GROMってサイドカバーの内側は後付けでいろいろ設計していった結果のような感じで、かなりスカスカです。これを効率よく埋めていったらもっとコンパクトなマシンが作れたりタンク容量を増やしたりできそう。実際NUDAなんかはコンパクトなボディの内側に、コンピュータを使った立体的な設計をしないと作れないんじゃ無いかというくらいびっしりと複雑にパーツが詰まっています。
シリンダ横のガイドローラー。ガイドの突起部分がかなり細くなっています。これは完全に消耗部品と割り切るしかないパーツです。
腰上、もげました。
大会1回だけ使った広島高潤のGROM専用オイルVer.II。2ヒート分のウォーミングアップと計測をしただけとは思えない黒さ。洗浄能力に優れるオイルと言えるのでしょう。それか単にシリンダからガスが抜けてるだけ?
今回の作業のために追加購入したSST。クランクシャフトアッセンブリーツール。クランクシャフトをベアリングに引っ張り込むためのツールです。
右のケースカバーを外して茶漉しフィルタをチェック。
大会10回、練習会3日走ったピストンは普通に焦げてます。
持っていたけれど使ったことなかったギアホルダ。
プライマリーギアに噛ませて、遠心フィルタやクラッチ関係のパーツを固定しているボルトを外す際の供回りを防ぎます。簡単な工具だけれど使い勝手はとても良いものでした。
クランクケースを取外せました。この時点で結構嬉しいけれど、まだ折り返し地点じゃない。
ケースを作業台に載せます。反対側はシャフトが2本出ているので、これを挟み込んでガッチリと固定することができます。
ケースの割れ目の中心がコンロッドの中心である事の確認。
あれ?これカムチェーンテンショナーの頭のゴム?割ったケース内から出てきました。相当前から入りっぱなしになっていたようです。
う、クランクシャフトの付け根あたりにノックピンがあるのは知らなかった‥。オイルポンプのギアを止めているものですが圧入しているものだと思ってこの時点でオーダーしました。あとで引っ張ってみたら、簡単に抜けました。
再利用するものではないのでクランクシャフトをケースから叩き抜こうとがんばってみましたが全然びくともしません。そこで近所のバイク屋や車屋さんで油圧プレスを持っているところを探してクランク付きのケースをぷらぷら手に下げて歩いて探してみました。最初に持ち込んでみたハーレー専門店のモミアゲスピードさんにお願いしてみたら、快諾いただきました。
キコキコとハンドルを動かすと、じわじわとクランクが抜けてきます。ベアリングもついでに抜いてもらいました。
手前、キタコさんの強化クランク&コンロッド。
コンロッドの太さは指くらいで変わらないのですが、H断面になっています。
ベアリングが綺麗に叩き込めるのかが今回の作業の最大のキモです。ベアリングは冷蔵庫で冷やしておきました。ケース側はベアリングの受けの穴を中心に全体をバーナーであぶります。もともとホイールベアリングを打ち込むために持っていたベアリングインストーラーを当ててキタコさんのクランクシャフトとセットで入っていたベアリングを打ち込んでいくと、意外とあっさりと奥まで嵌め込みできました。ケースの反対側にストッパーがあるので、ベアリングは押し込めるだけ押し込んでOKです。
次はベアリングにクランクを圧入します。
きちんと規定の場所に引き込まないとシリンダとピストンの芯がずれてしまいます。どこまで引き込んで良いのか分からず、ちょっと不安。
でも、完全に引き込めるだけ引き込む、という状態でOKのようです。
ミッションを組むのが面倒臭そうでしたが、スコっと抜いておいたものをスコっと戻せました。GROM、簡単でいいな。
腰下割るのも3回目なので、どのくらいのスペースが必要かもわかってきて、狭いガレージも効率よく使えるようになりました。
こっちのGROMのケースにもサインしておこう。
カウンターシャフトの養生には自己癒着テープを使っています。昔何度かオイルシールを潰しているので、この辺は慎重に。ここで失敗すると毎年年末の作業なのでパーツが年内に入らないのです。
腰下組み付け完了。今回はクラッチあたりまで先に組んでから組み付けたので、持ち上げるのが体力のギリギリ限界でした。
そのまま残りのパーツも組み付けていければ良いのですが、焦げたピストンを綺麗にしておこうとアシカさんの阿蘇動画をみながら磨きまくります。
概ね綺麗になりました。
ちか君が「プラグ抜いて無負荷にしてクランキングしまくって、オイル回してから始動すると良いですよ」と言うのでやってみたら、本当に具合良かった。クランクをクランクで回すw。
カタカタ異音がするのと、シフトダウンがやけに硬いのと、不具合はありますがエンジンのパワーの出方そのものは絶好調です。もう一回調子の悪いところは開けてみる必要がありますが、走らせるのは3月のことでしょうから、のんびり直します。
凄いですね、私もいずれは同じような作業を想定しております。非常に参考になりました。ありがとうございます
ただ今、ヨシムラのハイカムST1入れて21000km位です。
you tube バイク グロム M125で、いくつか上げてます。